第八話「魔導学院への第一歩」
「……暇だ。」
本当に暇だ。
あの怪我から約2週間と少し。
毎日ベッドに横たわり、治癒魔法を受けるだけの日々。
歩こうにも体中が痛くて立てやしない。
エイドたちが持ってきてくれた本を読んで暇をつぶす毎日。
だがその中に、魔導学院についての本があった。
「たしか、1歳か2歳の時に読んだ本にも載ってたような……」
ページを開いてみる。
本の内容はこうだった。
学院とは、3つの国一つ一つにある専門の学校。
ここ、魔導国家「オスクディア」には、魔導学院というものがある。
……うん。ここまではあの本で読んだな。
この本には続きがある。
基本的に学院には10歳で入学することが多い。
魔導学院の就学内容は入学から3年間は生活魔法などの基本的な魔力操作を必要とする魔法の実習、魔力に関する知識の定着などの徹底的な指導をされる。
4年目から3年間は攻撃魔法の応用。習う内容は結構あるらしい。
魔導学院では、他の国との交流会などを活発に行っているらしい。
へえ。いいな。めっちゃ楽しそうじゃん!
そこから学院を卒業し、そのまま冒険者になるのもあり。
医療魔法<ヒーリングマジック>を極めて治癒士になるのもあり。
固有魔法<アスペクトマジック>を極めて、冒険者の中で格別な存在になるのもあり。
固有魔法実習中に才能があると見出されたものは、魔導防衛隊や冒険者の主軸なパーティーから勧誘が来ることも少なくないそうだ。
俺はエイドに剣術も習っているし、魔剣士になれちゃったりするのかな?
「いやぁ〜!将来行けたりしないかな〜。」
魔導学院。
まだ四年も先の話だ。
だが、この文字を見ているだけで胸の高鳴りが収まらない。
ここの世界の学校がどんな学校なのかも見てみたいし、ダメ元でエイドやフィオナがお見舞いに来た時に聞いてみるか。
——
数日後のある日。
エイドたちは俺のことをよく心配しているそうで結構な頻度でお見舞いに来てくれている。
よし。今日は魔導学院のことを聞く日だ。緊張するぅ。
「父さん、母さん。ちょっと相談があるんだけど。」
「なんだ、改まって。」
「僕、本で読んだ魔導学院に行ってみたいんだ!」
ついに言ってしまった。どんな顔をしているのだろうか。
「お、おう。いいぞ……というか、もともと行かせるつもりだったんだがな。」
へ?もともと行かせるつもりだった?なぁんでそれをいわないんだよぉぉぉ!
「行くつもりだったの!?なんで言わなかったの!?」
「最近は剣術に打ち込んでたでしょ?だから、今言うのはどうかなと思って9歳になった時に言おうと思ってたのよ。」
「すまんな言ってなくて。だが、魔導学院に入るには魔術とかの基本知識が必要だと聞いたことがある。」
「基本知識?」
「話長くなるけどいいか?」
「うん!」
……結論から言おう。
エイドの説明と昔話は想像以上に長かった。正直、魔導学院の話が4割、昔話が6割だった。
気づけば、外は夕焼けになっていた。なのでここは要約する。
魔導学院の入学に関しての試験は3つあった。
第一試験 筆記
・魔物学
・魔法理論
・世界史
うーん。いかにも難しそうな感じだが、エイドが言うにはそこまで難しいのは出ないらしい。
いや、このエイドの「らしい」が一番怖いんだよな。覚悟はしておこう。
第二試験 魔力適性検査
・魔力量
・魔力制御の素質
・属性適性
を、魔導具を使って測るらしい。
ついに!ついに俺の属性適性がわかる!
だが、特に魔力制御の素質で落ちる人が多いらしい。
第三試験 面接
・なぜここに来たいと思ったのか。
・ここで学んだことをどう活かすか。
うわぁ。あるあるじゃん。まあ、この面接関しては俺は有利かもしれないな。
なぜかって?前世で会社の面接をしてたからだよ!
エイドの昔話は割愛だ。
やることが決まったな。
まず一番やらなければならないのは筆記だな。
何度も言うが、エイドの「大丈夫」とか「らしい」が一番信用ならないんだよな。ほら、大樹林のこともさぁ。
まあいい。今は治療中で暇なので、エイドたちに次の見舞いの時に筆記に関しての本を持ってきてもらうように頼んでおいた。
——
次のお見舞いの日。
「よお!ロイ!」
「父さん!」
「最近調子どうだ?」
「うん!最近は調子良くなってきたよ!」
まだまだ、立ったりはできないが治癒魔法のお陰で治ってきている。
「そういえば、これ。持ってきたぞ。」
「ありがとう父さん。」
おぉ!すごいな!魔物学や魔法理論、世界史についての本が数冊あった。
だが家にはこんな本はなかったはずだが……?
「これだけあれば筆記試験の基礎については学べるだろう。まあ、まだ4年後のことだが今から学んでおいて損はないよな。」
「ありがとう父さん!ところでこの本たちはどこから持ってきたの?」
「これは村の人からもらってきたんだ。息子や娘が王都に行っちゃってもういらないってのをかき集めてきた。」
そこまでして持ってきてくれたのか!
「本当にありがとう父さん!頑張って学ぶね!」
「がんばれよ!父さんはそろそろ行くが、他に用事はあるか?」
「うん!特にはないよ。」
「じゃあまた来るからな」
「ばいばい!」
どれもこれもワクワクするものばかりだ!
本を手に取る。
表紙には「初級魔物図鑑」「基本魔法理論」「三大国の歴史」と書かれていた。
「よし……まずは基礎魔法理論から見よう。」
魔導学院への第一歩。
今の俺にできることは、10歳までに基本的な魔法や魔物に関しての知識をこの頭に入れることだ。
4年後、必ず学院の門をくぐる。
そう決意し、俺は最初の1ベージを開いた。
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