第24話:『神の権限、譲渡(リストラ)願います』
「対象、個体名:レオン・レムリア。戦闘能力、予測値を大幅に超過。……出力を最大へ固定」
無機質な音声と共に、守護者たちの瞳が赤く発光する。
だが、その脅威を前にしても、レオンの口角は獰猛に吊り上がったままだ。
「予測値だと? そんな数字で俺の限界を決めてんじゃねぇよ!」
レオンの大剣が奔り、鋼鉄の巨躯を紙細工のように両断する。魔法耐性を持つはずの外殻も、彼の純粋な武力と、アルティナが事前に付与した「演算崩壊」の術式の前では無力だった。
一方、アルティナの指先は、空中に展開された光の鍵盤の上で、残像を残すほどの速度で踊っていた。
「……プロテクト層、残り三。……各国の魔力供給バランスを調整し、戦争を誘発させてエネルギーを回収する仕組み……。ふふ、あまりに効率が悪く、悪趣味なアルゴリズムですわね」
アルティナの背後に、巨大な数式の環が現れる。
それは遺跡のシステムと彼女の脳を直結させ、一秒間に数億回の演算を行う「神域のハッキング」だった。
『警告。管理者権限の侵食を確認。……強制リセットを実行……』
「させませんわ。――論理爆弾、投下」
アルティナが最後の一打を叩き込む。
刹那、部屋を埋め尽くしていた赤色の警告灯が、一斉にアルティナの瞳と同じ「銀色」へと染まった。
「――お疲れ様ですわ。貴方の『世界運営』は、今日をもって倒産(サービス終了)です。……これより、このシステムは私の管理の下、最適化させていただきますわ」
轟音と共に、すべての守護者が動きを止めた。
レオンが肩で息をしながら剣を収め、アルティナの隣に立つ。
「終わったか? ……で、この場所を手に入れて、次は何をするんだ?」
アルティナは、空中に浮かぶ莫大な世界データを見つめ、静かに鉄扇を扇いだ。
「まずは、この世界を縛る『魔力消費による枯渇』というバグを取り除きます。……それから、あの方たちに教えてあげなくてはなりませんわね」
彼女の視線の先には、教団の本拠地、そして母国の元王太子たちがいた。
「――神の奇跡も、運命の筋書きも、すべて私の『計算下』に置かれたことを」
アルティナの手には、今や一国の命運どころか、世界全体の「設定」を書き換えるための鍵が握られていた。
最後までお読みいただきありがとうございます!
もし「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、作品ページ下部にある**【☆☆☆☆☆】**からの評価や、ブックマーク登録で応援をいただけますと非常に嬉しいです!
皆様の応援が、執筆の最大のモチベーションになります。
評価・感想・ブックマーク、ぜひよろしくお願いいたします!




