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『鉄壁の軍神令嬢、隣国で「詰み」を宣告する』 〜婚約破棄して私を追放した無能な王子、私が守るのをやめた瞬間に国が滅びそうですが……今さら戻ってこいと言われても、もう手遅れですわ〜  作者: 影山ネル
【第2章:要塞都市の守護女神(アイギス)〜私の領地に手出しはさせません、たとえ神であろうとも〜】

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第23話:『世界のバックヤードへ、ようこそ』

扉の先に広がっていたのは、幻想的な魔法の世界とは対極にある、無機質な回廊だった。

天井には規則正しく並んだ発光体が、アルティナたちの足音に反応して淡い白光を灯していく。


「……信じられんな。魔法の残滓を微塵も感じない。なのに、これほど巨大な構造物が自律して動いているとは」


レオンが警戒を解かぬまま、壁の継ぎ目を見つめる。アルティナはその滑らかな壁面を指でなぞりながら、頭の中で膨大なデータを処理していた。


「魔法ではなく……電子と回路の理ですわ。レオン殿下、ここは神が作った聖域などではありません。……何世代も前の先人類が遺した、『世界管理サーバー』の成れの果てですわ」


回廊の突き当り。巨大な広間に出た二人の前に、空中に浮かぶ無数のホログラムが投影された。

そこには、大陸の全地形図と、それぞれの国に蓄積された「魔力総量」がリアルタイムのグラフで表示されている。


「これは……グラナード王国に、レムリア帝国?なぜ、我が国の軍事配置まで筒抜けなんだ!」


驚愕するレオンの視線の先、グラフの一つが真っ赤に点滅していた。


「――異常値(バグ)の検出。対象、個体名:アルティナ・フォン・グラナード。……世界の予定調和(シナリオ)を大きく逸脱した行動を確認。……排除プロトコルの検討を開始します」


部屋全体に無機質な合成音声が響き渡る。

それと同時に、床下から数体の「守護者(センチネル)」――魔法耐性に特化した鋼鉄のゴーレムたちが這い出してきた。


「排除、ですか。ふふ、面白いことを言いますわね。……あの方たちが拝めている神の正体が、ただの自動管理プログラムだったなんて」


アルティナは動じず、鉄扇をバサリと広げた。

彼女の脳内では、すでに遺跡の基幹システムへの逆ハッキングが完了しつつあった。


「レオン殿下、前衛をお願いしますわ。……五分(三〇〇秒)だけ、この鉄クズたちの相手をしていていただけます?私は、この『傲慢な神』の権限を剥ぎ取って、リストラ(解体)して差し上げますから」


「……はっ、五分もいらねぇよ。お前がその椅子を奪い取るまで、一歩も近づけさせやしないぜ!」


レオンが大剣を抜き放ち、鋼鉄の守護者へと突っ込む。

アルティナは、空中に浮かぶ仮想キーボードを高速で叩き始め、世界の(システム)そのものを書き換えるための「演算」を開始した。


追放された令嬢は、いまや一国の再編を超え、この世界そのものの「管理者」へと手を伸ばそうとしていた。

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