第25話:『世界は、私の指先で踊る』
聖光教団の本山、聖都。
そこでは教皇をはじめとする高官たちが、北の遺跡から放たれた未曾有の魔力奔流に震え上がっていた。
「何が起きておるのだ! 神の啓示が途絶え、大陸中の魔力回路が書き換えられておる!」
混乱の極致にある大聖堂。その中央の空間が、前触れもなくガラスのように割れた。
現れたのは、転移魔法の常識を超えた「空間転移」を果たしたアルティナと、その傍らに立つレオンだった。
「――お騒がせしておりますわ。教皇聖下、ならびに迷える羊の皆さま」
アルティナが鉄扇を閉じると、聖堂の空中に巨大なホログラム――世界の設計図が投影された。
「な、なんだその不浄な光は……! 衛兵! この魔女を捕らえろ!」
「無駄ですわ。――全物理演算、停止」
アルティナが軽く指を弾いた。
刹那、駆け寄ろうとした衛兵たちも、振り上げられた剣も、教皇の震える指先までもが、完全に時を止めたかのように静止した。
魔法ではない。アルティナが書き換えた「世界の基本法則」による、絶対的な命令権の行使だった。
「貴方たちが奇跡と呼んでいた現象は、このサーバーが排出する残滓に過ぎませんでした。……ですが、これからは違います」
アルティナは、教皇の目前までゆっくりと歩み寄った。
「私はこの世界の『非効率なシステム』をリストラしました。魔力はすべての人に平等に、そして論理的に分配されます。……神という名の不確かな独裁者は、もうどこにも存在しませんの」
アルティナが再び指を弾くと、人々の拘束が解けた。だが、誰も動けない。目の前の少女から放たれる、神という概念すら飲み込む圧倒的な「格」に、魂が屈服していた。
「これより、聖光教団は『世界管理機構』の広報部門として再編していただきます。……不服は認めませんわ。私の数式に逆らうことは、重力に逆らうことと同じ……不可能ですから」
レオンが不敵に笑い、教皇の玉座の横に自らの大剣を突き立てた。
「聞いたか? 今日からこの大陸の主は、この女……アルティナだ。ひれ伏す準備はできているな?」
聖都に鳴り響く鐘の音。それは教団の終焉であり、軍神令嬢による「新世界秩序」の幕開けを告げる音だった。
アルティナは、自らの演算によって平和と繁栄が約束された世界を見据え、静かに微笑んだ。
「さあ、始めましょうか。……停滞したこの世界を、完璧な美しさへと導く『経営』を」
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