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『鉄壁の軍神令嬢、隣国で「詰み」を宣告する』 〜婚約破棄して私を追放した無能な王子、私が守るのをやめた瞬間に国が滅びそうですが……今さら戻ってこいと言われても、もう手遅れですわ〜  作者: 影山ネル
【第2章:要塞都市の守護女神(アイギス)〜私の領地に手出しはさせません、たとえ神であろうとも〜】

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第21話:『事後処理は、迅速に』

神罰の光が消え、広場には静寂と、それから爆発的な歓声が沸き起こった。

跪く民衆を背に、アルティナは光の檻に閉じ込められた司教たちへ、一枚の羊皮紙を突きつけた。


「これは、教団がこれまでグラナード王国から吸い上げてきた寄付金、および土地の権利書の一覧ですわ。……すべて、レムリア帝国の管理下に置かせていただきます」


「き、貴様……!これほどの暴挙、教皇聖下が黙っておらぬぞ!」


「どうぞ、お好きなだけ報告なさって。ですが、神の奇跡を悪用し、あわや自国の民を焼き殺そうとした『不祥事』。……その責任を取らされるのが誰か、教皇様なら正しく演算(判断)されるのでしょうね」


アルティナの言葉は、刃よりも鋭く司教たちの喉元を突いた。

彼女はすでに、教団本部の弱みを握る「経済的な裏工作」も済ませていたのだ。


一方、壇上の隅で震えていたエレンは、もはや誰の視界にも入っていなかった。

聖女の光を失い、泥に汚れたドレスを着た彼女は、ただの「機能不全を起こした駒」に過ぎない。


「……アルティナ、もういいだろう。あとは俺の部下に任せろ」


レオンが歩み寄り、彼女の肩に自身の外套をかけた。

張り詰めていた空気が、彼の体温と共に少しだけ和らぐ。


「……そうですわね。ゴミ掃除にこれ以上時間を割くのは、リソースの無駄というものですわ」


その夜、帝国の前線基地となった旧王宮のバルコニー。

アルティナは、眼下に広がる静かな街を見つめていた。


「レオン殿下、お疲れ様でした。……これで当面のノイズは消せましたわね」


「ああ。だが、お前、少しは休みを計算に入れたらどうだ?顔色が白いぞ、元からだがな」


レオンが差し出したのは、温かい湯気が立ち上るココアだった。

アルティナは意外そうに目を丸くし、それを受け取る。


「……私の演算によれば、現在の疲労度は許容範囲内ですが……。せっかくの毒見役の勧告ですもの、一口だけいただきましょう」


ふー、と息を吹きかけ、一口。

甘さが脳に染み渡り、アルティナの唇がわずかに綻んだ。


「……糖分は、思考の潤滑剤になりますわね。悪くありませんわ」


「はっ、素直に『美味い』って言えばいいんだよ。……なあ、アルティナ。お前が望むなら、俺はこの大陸すべてをお前の『盤面』にしてやってもいいんだぜ」


レオンの黄金色の瞳は、冗談を言っているようには見えなかった。

アルティナは夜風に髪をなびかせ、空に輝く星々を見上げた。


「……世界すべて、ですか。ふふ、それだけの巨大なシステムを管理(リストラ)するには、今の私の演算能力でも一生かかりそうですわね」


二人の間に流れる、穏やかな時間。

だが、アルティナの魔導センサーは、遠く北の地に、これまでとは比較にならないほど巨大な「魔力のバグ」を感知していた。

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