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おっさん、魔王の玉座になる -幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX!-  作者: 椎名 富比路
3-3 LOと早食い対決 ~温泉宮廷ビバノン~

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コインスナック

 ボクたちは、第三チェックポイントへと向かう。またお仕事を頼まれるかと思ったけど、何も起きなかった。


 次は、高速道路を利用する。インターチェンジで料金を払って、突撃した。


 さすがにオープンカーでは、風が強すぎる。ボクは天井を元に戻す。閉じきったのを確認し、さらに加速した。


 競うように、マミちゃんが横づきしてくる。窓の向こうでマミちゃんがニッと笑いかけてきた。


 反対の車線には、ネウロータくんがいる。


 ただ、ケイスさんがしきりに後ろを気にしていた。


 ケイスさんの背後には、ククちゃんチームがいる。安全運転で、ボクたちについてきていた。




 更に一時間かけて、パーキングエリアに到着する。道の駅、といえばいいか。


 お昼時だけあって、食堂はどこも混んでいた。かといって、次のPAは遠い。


「ダイキ、これなに?」


 いい香りのする自動販売機が、ズラリと並んでいる。売っているのはホットサンドイッチや、うどんなどだ。


「コインスナックだ!」


 昔懐かしいコインスナックである。ボクも、大昔のドライブインでしか見たことがない。どれも、現役で稼働していた。


「おうどんって書いてる」


 チサちゃんが興味を示したのは、うどん自販機だ。


「自動でおうどんを作ってくれるマシンだよ」


 カップ麺にお湯を注げばできあがり、のタイプではない。生麺を湯切りして提供するのだ。


「すごい!」

 変わったガジェット好きなチサちゃんの、琴線に触れたらしい。


「食べてみる? きっと物足りないと思うけど」

「いっぱい自販機がある。色々食べられる」


 まるで遊園地に遊びに来た子供のように、チサちゃんは好奇心を溢れさせた。


 うどん自販機にコインを入れる。


 マシンから、ゴーッとけたたましい作動音が鳴った。中でうどんを作っているのだ。


 でき上がる間に、他の自販機も観察する。


「じゃあ、ボクがカレーライスをもらおうかな? チサちゃん、シェアし合おう」

「うん!」


 カレーは、パウチをレンチンするだけだ。白米もろとも、温める。


 昨日のカレーも美味しかったけど、レトルトカレーはまた違った味を届けてくれるのだ。

 焼きそばとカップ焼きそばくらい違う。


「急に、スケールが落ちた気がしますわね」

 インスタントな昭和遺産を前に、ククちゃんがゴネた。


「夜が豪華だから、お昼は軽めにするわ!」

「それに、第三チェックポイントはもうすぐ。おやつの時間に到着する。夜までに、軽めのスイーツを入れる予定」


 旅のしおりを読みながら、チサちゃんとマミちゃんが語り合う。


「それなら、いいですわね。我が国のスイーツは、おいしいですから」

 ククちゃんも、納得してくれたようだ。


「何より楽しいじゃない! ねえ、チサ?」

「うん!」


 チサちゃんが楽しそうなら、いいか。


 下の受け取り口から、容器に入った麺が飛び出す。


「ホントにおうどんが出てきた」

「ボクのカレーも完成したよ」


 料理が揃ったところで、テーブルに着席する。


「いただきます」

 味はチープだけど、ちゃんとしっかりしたカレーだ。


「おうどんは、いかが?」

「おいしい!」


 昨日のシメもうどんだったが、チサちゃんは気にしない。

 ボクも、人のことは言えないか。


「ハンバーガー、買い占めたくなるわね!」

「またハンバーガーですか。お好きですね」

「ジャンクは食べられる時に、食べておきたいの!」


 マミちゃんは、コインスナックでもハンバーガーを食べている。


「ラーメンもイケるぞ」

「そうね。チャーシューが思っていたより大きいわ」


 ネウロータくんチームは、ラーメンにしたらしい。


「じゃ、シェアする。あーん」

 チサちゃんが、おうどんをつまんだお箸を近づけてきた。


「ボクも、あーん」

 カレーのスプーンを、チサちゃんの口へ運ぶ。


「うーん。最高」

 チサちゃん、カレーを楽しんだ。


「昨日のカレーとは、なんか違う」

「でしょ? レトルトには、レトルトの良さがあるんだ。別の食べ物だね」

 どっちが優れているんじゃない。 


「わたくしも、おうどんにしますわ」

「ホットサンドはよろしいので?」

「おうどんですわ!」

 なぜかククちゃんは、頑なにうどんをオーダーした。作る工程が楽しかったのかな?


「出てきましたわ!」

 ククちゃんが子供っぽく、ハシャイでいる。


「なんですの? 学術的に興味があるのですわ!」


 超がつくほど、昭和遺産だけどね。


「なんか、一日目のキャンプは遠足で、今日は社会科見学をしていた気分だなぁ」

 うどんをすすりながら、ボクは考えていた。


「とおっしゃいますと?」

「いかにも、子どもが考えてくれた企画っぽいなって。子どもがウキウキするような探検が、いぱいあるなって」


 ボクは、ヨアンさんの問いに答える。


「そうですね。幼稚ですよね」

「マイナスな意味じゃないです。すごく楽しいイベントですよ」


 落ち込むヨアンさんに、ボクは訂正を入れた。


「チサちゃんが喜んでくれているから、きっといい企画なんですよ。ありがとうヨアンさん」


 ボクらが昼食を堪能している中、ケイスさんとトシコさんは早々と食事を済ませている。

 コーヒーでくつろいでいた。いや、平静を装っている。


「なにか、気になる点がありますか、ケイスさん?」 


「いえ。特には」

 ケイスさんが、あたりを見回す。

「引っかかることはあるのですが、情報が少ないです。現地でわかることでしょう。それに……」


「他にもなにか?」



「気づきませんか? つけられているんですよ、クク様が」



 えっ! 全然気づかなかった。そんな、怖いよ。



「クク様を、とは限りません。私はてっきりマミ様を狙っているのかと想像したのですが、どうもクク様を常に監視しているような目線を感じるのです」


「いつから?」


「レース直後からです」

 そんな以前から? 最初からじゃないか。


「ほら、早く口を開けなさい。食べさせてあげますわ!」

「お嬢様。自分で食べられますから」

「いいから早く! これは命令ですわ!」


 ボクたちの不安を、知ってか知らずか。


 標的にされているらしきククちゃんは、ヨアンさんに「あーん」しようと必死だった。

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