↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アカメの悪魔  作者: 海蛙
3巻(想定)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/97

70話 強くなれ

「……やぁっと勝てた…」


 現在は特訓開始から三日後、みっともなく床にぶっ倒れている。


 だけど目の前には血の兵士だった血が水溜まりみたいに広がっている。


 ようやく勝てた…。


 技術の差はあれど魔力量の差はあるはずだろう?それに僕は固有能力使ってるのにアルマくん擬きは魔力操作だけだし…どんだけ化け物なんだよアルマくん。


「凄いよアカメ!もっとかかると思ってたのに!これならアルマに自慢できるね!」


 姉さんはそう言うが…アルマくんに自慢した場合なんか少し不機嫌になって訓練を厳しくされそうなのでやめておく。


 ただ…やっぱり達成感は凄いな。もう一回やって勝てるかどうかは怪し過ぎるけど。


「姉さん、次は?」


「やる気あるね、じゃあ頑張ってみようか」


 姉さんはまた指に傷をつけ、血だまりと合わせて兵士を作り出していく。


 そうして目の前に出来たものは、悪夢と呼ぶにふさわしいものだった。


「……姉さん?」


「どうしたの?」


「何でアルマくんモデルの血の兵士が三人いるの?」


 今言った通り、何故か三体いる。


 姉さんは何を言っているの?とでも言うかのような表情を浮かべている。


「剣闘試合は多対一だって言ったでしょ?寧ろここからが本番だけど?」


「マジですか…」


 「勿論魔力量は落としてあるよ、頑張ってね」とは言うが大事なのそこじゃなくない?


 先程苦労して倒したアルマくん擬きが三体並んでいるという事実に絶望しているんだけど。


「あ、これからは攻略できる度に一体ずつ増やしていくから。どんどん強くなっていこー!」


 いやちょっと………あぁもういいや。


 どうせやらなきゃいけないなら徹底的にやってやるよもう‼






 まず、魔力操作がザルであるという事実には目を瞑るしかない。


 今でもこうして全力で循環させつつ隠蔽も並行して行い、魔力量の増加と操作の流麗化を図っているが、一朝一夕でどうにかなるものでもない。


 アルマくん擬きの血の兵士は別に作戦があって連携しているわけではない。


 ただ、状況を見てそれぞれがアドリブで合わせているだけであって…いやその方が厄介か。


 慣れないことをやっているせいかいつもよりもフェイントに引っかかってしまう。


 たまに本当に体勢を崩すことにも成功はするが、すぐに他の血の兵士がカバーするように動いてくるので迂闊に手を出せない。


 幸いにも僕には闇影の理でアドバンテージを作り出せるが、今のところは焼け石に水だ。


 読まれるどころか逆に作った障害を利用させるケースもあった。それすなわち僕の魔力隠蔽がザルであるということ。


 いつかのボルドーの部下とは違う本物の連携だ。まずはあれをどうにか崩すところから始めなければ話にならない。


「いや…でも…それだったら…いやけど…」


「おーい、アカメー。耳ついてねぇのかー」


「ダメだね、完全に一人の世界に入ってる」


「珍しいね、何考えてるんだろ?」


 魔力量自体は低く設定されているから一人一人の能力はそこまで高くない。いや、凄く強いけど一対一で戦った血の兵士と比べれば相手にできるレベルだ。となると、魔力量のゴリ押しか?いや、本来ならば剣闘試合想定で、もっと多くの人と戦わなきゃいけない。魔力でゴリ押しなんてしていたらすぐにガス欠する。落ち着け、僕の第一目的はリアを助けることだ…そのために強くなっているのだと自覚しろ…まず初動から考えよう、一旦距離を取る方がいいのか、闇影の理で他の二体の動きを制限しつつ一体に向かっていく方がいいのか…まず距離をとるばあ


「アカメー!眼を覚ませー!」


「わっ!」


 急に耳に爆音が飛び込んできて変な声をあげてしまった、何事だ⁉


 音の方を向くと、湊くんが不満そうな顔をしていた。


「もう授業終わったぞ、何をそんなに考えてんだよ」


「え…あ…」


 呆けながらも時計を見ると、確かに授業は終わっていた。


 周りを見れば陽さんと葵くんも立っている。


 集中し過ぎてて気づかなかった…。


「あはは…ちょっと考え事してて」


「しっかりしろよ?お得意のお菓子食べてないからじゃないか?」


 失敬な、僕は配るのが好きなのであって年中パクパク食べてるわけじゃない。


「アカメくんっ、僕クッキー作ってきたんだ。良かったら食べてよ」


 ここで食べたらお菓子大好きっ子みたいになるじゃないか、貰うけど。


 僕、陽さんと箱からクッキーを取り出し、次に湊くんが貰おうとした時、葵くんにジローっと見られる。


「…食べるの?」


「何でだよいいだろ」


「いいけど」


「いいのかよ」


 じゃあ何なんだ…と湊くんも一枚貰った。


 口に入れるとバターの香りと焼き菓子特有の香ばしい香りが広がってとても美味しい。


 思わずホッと一息ついてしまう。


「美味しい…」


「ほんと?よかったぁ」


 葵くんも微笑んでくれるのでこちらも和むというものだ。


 ずっと気を張ってるからこういう時間はありがたい。


 この状態がずっと続けばいつか倒れるだろうけど、少なくとも約一か月だ。そのぐらいやり通さなくてどうする。


「湊―、飯買ってきたぞー!」


「おーサンキュー。じゃ、俺行くわ」


「うん、またね」


 湊くんはそう言って自分のグループに戻っていった。


「僕お手洗い行ってくるね」


「準備して待ってるね」


 葵くんも離れ、陽さんと二人きりになる。


 陽さんが対面に座り、僕の眼を覗き込む。


「何かあった?」


「…うん、ちょっとね」


「そっか」


 それ以上は何も聞いてこなかった。


 逆に僕の方が不安になってしまう。


「…その、いいの?何も聞かなくて」


「話したいような雰囲気じゃなさそうだし。どうせまた危ないことしようとしてるんでしょ?」


「うっ…」


 剣闘試合…殺し合いに参加しますなんてそんなこと言えるわけがない…。


「でも」


 陽さんは僕の手を上から優しく包んで身を乗り出す。


「また、誰かを守ろうとしてるんでしょ?」


「……うん、守りたい」


 あのリアの笑顔がもう一度見られるなら、それを邪魔する障害があるならば、何が何でもぶち壊してやる。


 僕の眼に宿る覚悟を納得として代えてくれたのか、頷いて席に戻る。


「うん、なら頑張っておいで」


「ありがとう、陽さん」


 本当に…陽さんには頭が上がらない。


 今度は、リアと一緒にこの日常に戻ってきてもいいかもしれない。姉さんと一緒の時は陽さん達はリアとちゃんと話せなかったろうし。


 また戻ってこれるように、頑張ろう。


「むー…なんかいちゃいちゃしてた?」


 いつの間にか戻ってきた葵くんが不満顔を作っている。


「し、してない!ちょっと相談を!」


「そ、そうだよ!聞いてあげてたの!」


「相談ってなにさ!二人でじゃなくて僕にも分けてよ!」


 いや言いたいけど…言えるわけないし…。


 この後の今日一日、葵くんの機嫌を取ることを二人で頑張りました。


さながらメタ〇クウラの如く……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。