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アカメの悪魔  作者: 海蛙
3巻(想定)

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68話 取り戻す為に

「お帰りなさい、どうでしたか?」


 シアさんのゲートで帰って来てすぐ、不安そうにシアさんがベルに尋ねる。


「話はついた。一月後、アカメが剣闘試合で戦うことでリアの処遇は決まる」


「そうですか…」


 シアさんは複雑そうな表情を浮かべる。


 話がついたのはいいけれど、結局のところ僕の実力が全く足りていないことには変わらないからだろう。


  ベルは近くの椅子に腰かけ、シアさんが作ってくれたサンドイッチの包みを開け食べ始めた。


「何、心配はいらんだろう。あそこまで啖呵を切ったということは死ぬ気で強くなる覚悟はあるということなのだろう」


「…当然でしょ」


 挑発的な物言いをされたので、自信満々そうに返してやる。


 虚勢であることなんてベルにはバレバレであろうが、こんなところで弱気なことなんて言えるか。


 どの道もう強くならなきゃいけないんだ、行けるとこまで行ってやる。


「あれ?アカメくんは向こうで食べたんですか?」


 僕がサンドイッチを持っていないことを不思議に思ったのかシアさんが首を傾げる。


 ……マズい、でも嘘つくのも違うような……。


「あぁえっと…ごめんなさいアヴァリスに奪われました…」


 それを聞いたシアさんは膨れ顔を作る。


「もうっ、アカメくんのために作ったものなのに!食べて欲しいのでちょっと座っててください!」


「は、はいっ!」


 た、食べて欲しい…な、なるほど、そうか。そりゃせっかく作ったんだからね。


 それならお言葉に甘えて…とベルの対面に腰かけた直後、厨房の扉が開け放たれた。


「アカメっ!」


「ね、ねえさっ、ぶッ」


 レイ姉さんが入って来て、そのまま僕目掛けてダイビングヘッドをかましてきた。


 僕は為す術なく椅子ごと後ろに盛大にぶっ倒れた。


 後頭部を強打し、危うく意識が飛びそうになる。


 そんな僕の様子など気づかないように、若干涙眼になりながら肩を揺さぶってくる。


「大丈夫だった⁉どこも怪我してない⁉」


「いぃ今!今した!姉さん落ち着いて⁉」


 見かねたベルが姉さんの首根っこを掴んで持ち上げる。……助かった。


「落ち着けレイ、お前のせいでアカメがくたばるぞ」


「うぅ、あうぅ…」


 よっぽど心配だったのだろう、重症だこれは…。


 僕は起き上がり、眼に涙を溜めて唸っている姉さんの手を握る。


「姉さん、聞いて」


「…なに?」


「僕はリアを取り返したい。だけど今の僕では出来そうにないんだ、力を貸して」


 姉さんは目を見開き、僕の顔をマジマジと見る。


 そして垂れかけていた鼻水をすすり、涙を拭いて僕の手を握り返す。


「お姉ちゃんに任せなさい!いや!リアを取り返すためなら総出で協力するわよ!」


 何とも早い切り替え…でもまぁ、そっちの方が姉さんらしい。


 まだ奪われたと決まったわけじゃないんだ、暗い顔なんてしないで欲しい。


「よぉし!じゃあ早速準備を」


「アカメくんサンドイッチ食べてください!」


「あ、はい!姉さんごめん!」


「え、ちょっとぉ…」


「レイ様も座っててください。今まで寝てたんですからご飯まだですよね?」


「…うん」


 二人揃ってしょんぼりし、椅子に粛々と腰かけた。ベルが肩で笑っていて腹が立つ。


 シアさんはきっといいお母さんになれる。僕は今日そう確信した。





 時刻は変わって夜、僕は改めて屋敷に足を運んでいた。


 シアさんのサンドイッチを食べた後、なんだかんだいい時間となってしまい、一度おばさん達に顔を見せなきゃ心配されると思った僕は帰ってしまった。


 出鼻を挫かれまくる姉さんのあの微妙そうな表情といったら…何とも言えなかった。


 屋敷に入り、いつものようにアルマくんの待つ訓練場の扉を開けると


「アカメ!待ってたよ!」


「姉さん?どうしたの?」


 アルマくんはおらず、代わりに姉さんが仁王立ちしていた。


「アルマくんは?」


「アルマはアルマで今修行中だよ、思うところがあるみたいだからね。剣闘試合までのこの期間、代わりに私がアカメを鍛えるよ」


 そうなのか…アルマくんも自分のせいだって思ってるんだろうな…。


 それにしても、姉さんが修行なんてできるのだろうか。そりゃあ強いんだろうけど、なんか普段の印象があれだからなぁ…。


 僕の微妙な表情を受けて姉さんは少し頬を膨れさせる。


「私にだって出来るもん。それに剣闘試合では多対一になる事が想定されるし、そう言う意味での修行相手ではアルマより私の方が適任だよ」


 姉さんはそう言いながら自分の指を噛んで傷をつけた。


「アカメ、私の能力はどういうものか知ってる?」


「えぇっと…前に助けて貰った時に赤い翼を作ってくれたよね?」


「そ、せっかくならオシャレに飛び上がれるようにね」


 そんな気遣い要らんわ…。


 ただ、そのことと今回指に傷をつけたことを考えると…。


「…血に関係してる?」


「正解!」


 姉さんは勢いよく僕を指差し、その先端から勢いよく血液を出して物体を形成させていく。


「私の能力は血に流れる魔力を操ることが出来るんだ。目潰しに使ったり武器や人形を作ったり…実力差があれば逆流させてそのまま倒すこともできるよ」


 結構色々出来るかなぁ…とぼやきながら見る見るうちに血液が集まっていく。


 やがて出来上がったものは…。


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