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アカメの悪魔  作者: 海蛙
3巻(想定)

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64話 約束

「誰?入っていいよ」


「失礼します。アカメさん」


 入って来たのはフレイだった。まだメイド服であるので仕事中だったのかな。


 暗くて何も見えず、アワアワしているフレイを見て慌ててベッド横のテーブルランプをつける。


 普通は暗いと何も見えないのは当然で、たまに忘れそうになるので困る……。 


 明かりが灯り、周囲が見えるようになったのでフレイがホッと息を吐く。


 代わりにアワアワしている様子も明かりの元に晒されたが……まぁそこは元々見えていたし今更か。


「ありがとうございます。何か必要なものはありますか?あればお持ちしますが」


「大丈夫だよ、見ての通りもう寝ようとしてたから」


「そうでしたか」


 「失礼しました、ではお休みください」と去ろうとするフレイの顔がどこか不安げだった。


 それもそうだ。リアがどうなっているかも分からない今、落ち着けという方が無理がある。


 僕はフレイを呼び止め、自分のベッド横をポンポンと叩いて呼ぶ。


「ごめん、やっぱり寝付くまで少しかかりそう。ちょっと話し相手になってくれたら嬉しいな」


「そういうことなら、是非」


 フレイは部屋の扉を閉め、ベッドサイドに腰かけた。


「どう、屋敷の仕事は慣れた?」


「はい、もうだいぶ板についてきました。リナさんに怒られることはまだありますけど…」


「はははっ、フレイも頑張ってるね」


「いえいえ、これもアカメさんが助けてくれたおかげですから」


 そう言ったフレイの表情が少し陰った。


 そうだよ、僕が助けたのは二人だ。


 そしてリアは、僕の落ち度で奪われた。


「…ごめんねフレイ、僕の責任だ」


「そんなっ!そんなことありません!元々助けて頂いた身で感謝こそあれど責める気持ちなど!」


 フレイはそう言うが、これは僕の責任だ。


 アヴァリスやボルドーが関わっている時点で僕だけの手に負える件ではなかった。


 つまり、身の丈に合わないものを抱えようとしたわけだ。


 それをレイ姉さんやベル、他の皆が負債を抱える形で背負ってくれたから成立しているだけだ。


 まだまだ僕は未熟で、これから動こうとするのにも周囲の力を借りようとしている。


 そんな弱い奴が僕だ。でも、それでも…


「フレイ、聞いて」


 僕はフレイの目を見据える。


「僕はまだまだ未熟だ。今だって、人の力を借りなければまともに状況を解決することも出来ない。それでも…僕に出来ることを精一杯やってくるよ。リアは必ず連れて帰る、必ずだ。不安になるなと言えるほど強くないし、頼りないかもしれない。それでも、僕を信じて待っていて欲しい」


 フレイは目を見開き、そして包帯で分からないが微笑んだように見えた。


「…はい、勿論です。頼りないだなんて思ったことは一度たりとてありません。貴方はずっと私の、私たちの英雄です。その人が信じろと言うのならこれ以上に信じるに足ることがあるでしょうか」


「…中々恥ずかしくなること言ってくれるね」


「本心ですから」


 そっか…なら期待には応えないとね。


 この期待にすら応えられないのなら、いよいよ僕はただの腑抜けだ。


「期待して待っててよ」


「はい承りました」


 フレイの顔から多少の憂いが抜けたような気がする。


 僕としても新しく覚悟を固め、立ち向かう理由をまた一つ増やす。


 ベルがどんな策を考えているのかは知らないけれど、出来る事ならなんだってやってやる。


「では、もうそろそろお休みになられた方が。お疲れでしょうし」


「そうだね、じゃあ…ん?」


 そこでふと気づいたことがあった。


「フレイ、髪綺麗になった?」


「そっ、そうでしょうか?リナさんにお手入れできるものを借りて一応やってはいるのですが…」


 以前は奴隷だったこともあってか手入れが出来る環境じゃなかったのかもしれない。


 それが今じゃ、凄くさらさらで光沢もあるように見える。


「うん!凄く綺麗」


「あ、ありがと、ございます…」


「フレイって包帯で分かりづらいけど綺麗だよね。所作とか綺麗だなって思う事多いし」


「ひゃっ!も、もうよろしいですか⁉ゆっくりお休みになってくだしゃい!」


 突然フレイは勢いよく扉を開けて出て行ってしまった。


 あれぇ?まだ褒めたかったのに…もしかしてキモかったのか?


 それか……分かりづらいなんて言葉が余計だったのか?


 リアの事で思い悩んでいたようだから少しでも紛らわしになればと思ったが…これじゃ気分を害してしまっただけだったかもしれない…。


 ごめんフレイ…と思いながら、いそいそと電気を消して床に着いたのだった。


鈍感系を書くと、少々反吐が出そうになる時があるのですが……練度不足ですユルシテ。

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