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アカメの悪魔  作者: 海蛙
3巻(想定)

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60話 最悪な日

「よぉし、お前ら。庭の手入れをするぞぉ」


「おー!」


「……なにこれ?」


 休日の昼下がり、天気もいいし予定もないしどこか散歩でもしようかと家を出た時だった。


 少し歩いたところで突然アルマくんが現れ誘拐された。


 …本当にびっくりした。困惑している間に問答無用で連れていかれたのだから。


 説明を求めるような視線を送っているとアルマくんはとても面倒そうにしている。え?連れてきたそっちだよね?


「リア様と猫を飼う時に約束したそうじゃないか「るびー!」。…ルビーを飼う時にこのチビがお手伝いとやらをするって「りあ!」うるさいぞ!」


 リアもアルマくん相手には遠慮がなくなってきたな。仲が良くて大変よろしい。


「アルマくん、名前は呼んであげないと」


「ぐっ…悪かったよリア。…話を戻すぞ、今回庭の手入れをさせるのもその約束の一環だ。お前もリアと一緒に頭を下げたんだろ、なら最後まで責任を持て」


 あ、アルマくんが素直に謝った…!じゃなくて、そういうことだったのか。


 ならそう言ってくれればいいのに、何故拉致紛いのことをやって連れてきたのか。


 服をクイっと引っ張られたのでリアの方を見ると、不安そうにこちらを覗き込んでいた。


「…ごめんねお兄ちゃん。嫌じゃない?」


「嫌じゃないよ。ルビーとは仲良くやってる?」


「うん!お日様が出てるときは外に出してあげられないのはざんねんだけど、一緒に寝たり一緒に遊んだりしてる!」


 満面の笑みでそう話すので無意識の内に頭に手が伸びる。


「そっか、じゃあお手伝い頑張ってルビーに会いに行かないとね」


「うん!頑張る!」


 両手を上に広げてやる気満々なようで何よりだ。


 アルマくんがやれやれとばかりに息を吐く。


「終わったか?じゃあ軍手つけろ」


 仕事内容としては庭の草むしりだった。


 まぁリアもいるし、そんな道具を使うとかよりはこっちの方がいいか。


 かなりの広さがあるので大変そうではあるが…お兄ちゃんとしての威厳を見せる時が来たか。


「雑にやるなよアカメ、一本一本丁寧に抜いて整えろ」


「…時間かかるよ?」


 効率重視で爆速でやろうと思っていたのをアルマくんに見抜かれた。


「いいか、ベル様とレイ様が住む屋敷だ。雑な仕事なんてしていいわけないだろ」


 そう言われては口を噤むしかない。


 ベルは知らないけれどレイ姉さんなら許してくれるとも思うが、そのレイ姉さんにお願いをした結果が今だ。適当なことは出来ない。


「分かったら早くやれ。俺はあっちで庭木を整えてくるから」


 そう言ってアルマくんは剪定鋏を持って行ってしまった。


 まぁ、せっかくのいい天気だ。リアと一緒に日頃のお返しが出来ると考えれば奉仕作業も悪くない。


「よし!リア頑張るぞ」


「うん!」


 リアはやる気を出し、自分の足元にある伸びた草を一生懸命毟り始めた。


 僕はどこからやろうか…一緒にやるのもいいけどこういうのは端っこからやるのが好きなんだけど…。


 そう思って端の方に眼を向けて気づいた。


 あれ?ここら辺だけ草が伸びてて他は綺麗なんだけど…?


 他の場所にも眼をやったが同じ、リアと僕が今いる場所だけ整えられていない。


 もしかして…と思いアルマくんの方を見ると目線がばっちりあってバツが悪そうに逸らされる。


 アルマくん、リアが手伝える範囲以外は事前に終わらせてたな?


 なんだかんだ本当に面倒見良いよな、流石うちの師匠と言うべきか。


 無意識にニマニマしながらアルマくんに視線を送っていると、さらにバツが悪そうにそっぽを向いて行ってしまった。


 全く、素直じゃないんだから。


 これは早いとこ終わらせてアルマくんをからかいに行かねば。


 でもからかったら夜の訓練が地獄と化しそうだからちょっと怖いな。



 そんなことを考えていた時だった。


 ことは一瞬であった。


「よう、お前がベルんとこの新顔か。思ったよりひょろいな、覚醒もまだだしよぉ」


 突然耳馴染みのない声が聞こえてすぐさま後ろを振り返ると、そこには筋骨隆々の大男が立っていた。


 誰だこいつ…それよりも近づかれたことに一切気づかなかった。


「ようやく二人揃ってアルマの手が届かない位置まで来てくれたな」


 リアはその大男の姿を認めると血相を変えたように怯えて動けなくなってしまう。


 目の前の大男は拳を引いて殴るような構えを取ると、そこに魔力を集中させ…る…


 は?ヤバいだろこれ…!


 凡そ僕が相対した中でも圧倒的に飛び抜けた魔力反応、その矛先がリアに向けられている。


 僕は反射的にリアに覆いかぶさって守ろうと体が動く。


「ッアカメ‼リアぁッ‼」


 アルマくんが今まで見たこともないような切羽詰まった顔でこちらに向かって来るが、それでもこれは間に合わない。


「守ってみろ、そんでもって死ぬなよ小僧!」


 僕は山勘で出来得る限りの魔力を収束させてその攻撃に備えた、が


「ヵヒュッ」


 肺から変な空気が漏れ、身体から聞いたこともないような音が鳴った。


 視界が暗転し、次に開けた時には空中にぶち上げられていた。


 風が凄いのとそれに煽られて自由が利かない身体で辛うじて分かるだけだ。眼は霞んでほとんど見えていない。


 全身が受けた衝撃で悲鳴を上げ、血を撒き散らしながらも身体が打ち上げられる勢いは止まらない。


 耐えるような呻き声が聞こえるので何とかリアを抱えているのも分かる。よく離さなかった、偉いぞ僕……。


 そして、次第に勢いを失った身体が今度は落下していく。


 そのまま勢いは落ちることなく加速し続け、廃れた建物にぶち当たって床や壁を四~五枚ほど貫通する。


 何度も強い衝撃に襲われ意識が飛びそうになるが、ギリギリのところで身体は勢いを失った。


「ぅあ…かっ…」


 指一本動かせない。殴られたであろう箇所が特に酷く、全く修復が追い付かない。


「…お、お兄ちゃ…」


 リアは何とか生きているようだ。良かった…。


 段々と掠れた眼が元に戻り、リアの事が見えるようになる。


 頭から多少出血しているようだが、動けはするようだ。


 通常であれば救急車ものだが、魔力操作を覚えていなくとも悪魔の身体であればまだ修復の範囲内だ。


 では問題は僕か。まずい…早く治してここから離れないと。


 何処に悪魔が潜んでいるか分からない、音を聞きつけて集まってくるかもしれない。


 はやく…はやく…。


「本当にアヴァリス様の狙い通りになるとはな。凄まじい御方だ」


 焦る僕に、一つの足音と声が近づいてくる。


 その姿を認め、リアは先程の大男を見た時と同様…いやそれ以上の怯えを見せる。


「初めまして、泥棒くん。そこの餓鬼を返して貰いに来てやったぞ」



 最悪な日が始まる。


投稿を始めて二か月、1000pv達成することができました!

皆々様が読んでくれたからですとってもありがとう!!

活動報告にも書いてみたので興味のある方は是非是非!!

まぁだまだ書きます!!

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