エピローグ 二人の決意
「…報告は以上になります」
簡易的に作られたテントの中で俺こと橘弘人は所属する支部の隊長に当たる人物に今回の事の詳細を京香と共に報告していた。
先生の上司に当たる人物であるためいつもよりも緊張する。
因みに先生の姿はない。主張で西の方にある禁止区域に出向かれているそうだ。
「……長谷川が出払っている時にこのようなことが起こるとはな。お前たち、よくやってくれた」
「「はっ!」」
この学校で教師兼対邪霊・悪魔用の護衛として派遣されている長谷川さんは教会の本部の方に定例報告に向かっていた。
先生もいないこの状況…明らかに狙われたとも取れるが…。
なんにせよ、本当にタイミングが悪かったとしか言いようがない。
「疲れているだろうし下がって休め、と言いたいところだが、聞かなければならないことがある。かの悪魔狩りが助太刀に入ったというのは本当なのか?」
「はい、事実です」
京香が澱みなくそう答え、本当に考え方が変わったのだと分かって目を見張る。
以前の何処か危うい雰囲気はかなり和らいでおり、すっきりしたような理性的な目をしている。
それを隊長も感じ取ったのか少々驚いたように背筋を伸ばす。
「君が悪魔に助けられたと堂々と言うとは…どういう風の吹き回しだ?」
「どうも何も…現実を見なければならない時が来ただけです。それに、私は悪魔狩りに助けられた。これは紛れもない事実ですから」
支部隊長は京香の言葉を受け少々考えるように下を向く。
「…ふむ。お前の成長が伺えて私も嬉しく思う。だからこんなことを言うのは心苦しいが…此度の件、悪魔に助けられたということは口外せぬように」
「!何故でしょうか!」
言外に納得がいかないという意味を込めて発言をする。
支部隊長が疲れたようにため息をつく。
「分かるだろう。本来であれば悪魔は危険な存在だ。実際にはお前達を助けたのかもしれないが、この情報は世に公表するのは危険過ぎる。他の悪魔が悪魔狩りの存在を利用するとも限らんしな。既に深淵内にいた生徒たちには口外せぬよう頼んだ。お前たちも口外しないように」
「ですが!」
「納得がいかないもの分かる。が、まだ悪魔狩りがこちらの味方とも決まったわけではないだろう。飲み込め、お前達」
「…分かりました」
渋々ではあるが、そういう理由なら了承するしかない。
確かに悪魔は危険な存在だ。悪魔狩りに恩があろうとそれは変わらない。
話は以上であると隊長に下がるように命じられ、俺達は部屋を出た。
そのまま無言で暫く歩き、周囲に騎士が居なくなったところで京香が口を開く。
「……仕方がないとはいえ、あまりいい気分ではないわね」
俺は静かにそれを肯定する。
「だが、仕方がないさ。それだけ人間と悪魔の間にある溝は大きい」
「そうね。支部隊長の言う通り、まだ悪魔狩りが私達の味方と決まったわけでもないし」
悪魔狩りから受けた言葉を思い出す。
戦い続けろ、と奴は言っていた。そうすればまたいつか会えると。
つまり、あいつも戦い続けるということだ。
何が目的かは分からない。だが、あいつは確かに目的があって行動しているように思える。
なら、俺たちがやることも一つだ。
「強くなるぞ、京香」
「誰に言ってるの。私の方が強いのに」
まだ何が正しいのかも、何が間違っているのかも分からない。
だけどただ一つ、自分の信じた選択だけは貫き通したい。
そんな青い誓いが、今この場で為されたのであった。
ここまでが二巻として想定していた内容になります!
一巻が終わった時よりも多くの人に読んで貰えて嬉しい限りです!本当に!本当に‼
明日は一巻の終わりにつけたようなキャラ紹介とちょっとしたssを投稿できればなって思います!
では、明後日から始まる三巻も是非是非!




