↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アカメの悪魔  作者: 海蛙
2巻(想定)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/49

37話 親睦会(勝負)

親睦を深めようと僕たちが一番最初に向かった先はスポーツ施設。

 

バドミントンのコートのネットを隔て、あちら側に上谷さん、京香さん、弘人くんがいる。


……なんで?

 

仲良くする流れじゃなかった?何で戦う気満々なの陽さん?

 

僕の疑問に応えるように陽さんがネットの奥の上谷さんを指差す。


「どうせならちゃんとすっきりしましょう!清々堂々勝負よ!」

 

呆気に取られる上谷さんであったが何となく意図を察したようで、両手で拳を作ってふんっとやる気を出している。

 

本人たちがすっきりするのなら、まぁいいか…。


「どういう感じで対戦するの?チーム戦?」


「いや、個人戦にしようかなって。私は上谷さんと戦うから後は好きに決めて」

 

流石に適当過ぎるだろう陽さん。

 

ここまで勝手なのも珍しいが…何とか調子を戻そうと頑張っているのだろうか。

 

しかしどうしようか。向こうは男女一人ずつでこちらは男三人(見かけは)。

 

向こうのコートにいる京香さんが手を挙げる。


「じゃ、私審判でもしてるね」


「え、いいの?」

 

せっかくならやりたいんじゃないかと思ったが、京香さんが指差したこちらの状況を見て考えを改めた。


「そちらがバチバチしてるから誰も戦えないでしょ?」


「あー…ごめんね?」

 

こちらのコートでは何故か葵くんと湊くんが既に戦う気満々だった。


「…ようやく決着をつけることが出来そうだね湊くん」


「言ってろ。体力測定でのお前の成績で万に一つでも俺に勝てると思うなよ?」


「アカメくんに全敗したくせに」


「それは言っちゃいけんだろう⁉」

 

まぁ、とりあえず…そことそこ試合決定で。

 

ということは、と弘人くんと視線を交わす。


「じゃあ俺たちだな。楽しくやろうぜ」


「うん、お手柔らかに」

 

本当に、お手柔らかに。実力分からないけど精霊教会の騎士なんだろう?一般人(悪魔)に本気はやめてね?

 

試合の内容は五点先取。負けた方は勝者にフードコートのメニューを一つ奢るということで決まった。

 

初戦は陽さんと上谷さんがコートに立った。

 

じゃんけんに勝った陽さんがシャトルを構えながら上谷さんを見据える。


「負けたらドヤ顔で勝利宣言するから。覚悟しておいて」


「私も同じことしようと思ってました。気が合いますね」

 

陽さんが打ち出し試合が始まる。

 

とは言ってもほとんど運動の経験がなさそうな二人とも、可もなく不可もなくなラリーが続く。

 

少し経って上谷さんのコートにシャトルが落ちる。


「ら、ラインぎりぎり超えてない⁉」


「超えてないよ!」


「超えてたよ!京香どう⁉」

 

京香さんは上谷さんのことをじっと見てから一拍置いて答える。


「超えてないです」


「え…でもちょっとくらいは」


「超えてないです」


「一応私の味方だよね!なのに少しも譲る気ないのね⁉」


「勝負ですから。真剣にやって下さい」

 

勿論京香さんが正しいのだが、見ていて少々不憫である。

 

審判が公正に判断してくれたことにより、何故かもう陽さんはドヤ顔気味な表情を浮かべる。


「お仲間に味方して貰えなかったようね。残念残念」


「陽さんでしたか。試合中の煽り行為は慎んでください。正々堂々やりましょう」


「あ、はい」

 

京香さん強いな。

 

その様子を見て上谷さんがドヤ顔を返す。全然反省してないなこの人。

 

そんな遅々としたプレーを何とか二人はやり切り、五対三で陽さんの勝利であった。


「私の勝ちー!」


「も、もう一回!もう一回ぃ!」


「また今度やってあげるわよ。でも今は私の勝ち!」


「くうぅぅ!」

 

本気で悔しがる上谷さんと本気で喜ぶ陽さん。

 

上谷さんがあんな表情もするのかというのもあるが、あんな風に陽さんが笑っているのを見るのはいつ以来だろう。

 

…良かったね、陽さん。

 

この光景が見られただけでも今日遊んだ価値はあったと思えるくらいの満足感は得たが、勝負はまだまだ続く。

 


続いては葵くんと湊くん。


「本気で来てよね!」


「泣いても知らんぞ…」

 

意気込む葵くんではあるが、正直勝負の結果が見えていそうな湊くんはここにきて渋い顔をする。

 

そして試合が始まってみても予想は覆らなかった。

 

あっという間に四点取られ、葵くんの目に若干の涙が溜まる。


「…うぅ」


「…あー、なんだ。俺お腹空いてないから奢ってくれなくてもいいぞ?」


「ひと思いにやれよ!」

 

遊びのバドミントンでそんな一言は出てこないよ葵くん。


「…はぁ、見ていられませんね」

 

そこで審判をしていた京香さんが葵くんのコートの方に入っていく。


「え、な、何?」


「私が貴方の代わりに戦います」

 

そう言って京香さんはラケットを渡すように手を差し出す。


「おいおい、悪いけどもうさっさと終わりたいんだが?」

 

湊くんはこれ以上一方的な試合はしたくないとげんなりした顔をする。

 

葵くんはその一言にムッとし、京香さんにラケットを託す。


「頑張ってね!」


「はい、承りました」

 

京香さんは何度かラケットを素振りすると、軽く頷き湊くんの方を見る。


「安心して下さい。すぐに終わります」

 

そして本当にすぐに終わった。

 

結果は五対四。あの後一点も取らせずに、いやほぼ一方的に湊くんを蹂躙して勝っていた。

 

流石に湊くんが不憫でならない。

 

息を荒げて大の字でぶっ倒れているところを見ると、いつかの日の体力測定で負かした日を思い出す。

 

湊くんも運動神経は悪くないのだが、如何せん戦っている相手が悪すぎると思う。

 

葵くんの方はまさか勝てるとは思ってなかったのか京香さんの手を握ってぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。微笑ましい。

 

僕は倒れている湊くんをコートの外まで運び、手を合わせる。


「仇は取るから」


「死んで…ないぞ…」

 

息も絶え絶えでツッコミの切れが悪い。相当だな。

 

コートの中に戻り、ネットを挟んで弘人くんと対峙する。


いよいよか…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。