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アカメの悪魔  作者: 海蛙
2巻(想定)

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27話 転校生

学校に着き、教室に入ると葵くんが僕たちを迎えてくれた。


「アカメくん陽ちゃん!今日新しい人が教室に来るって聞いた?」


「新しい人?」

 

クラスメイトが増えるということだろうか。相馬が居なくなったからその人員補充?

 

頭に?を浮かべていると横から湊くんが説明してくれる。


「諸事情で入学式から来られなかったらしくてな。五月終わりの今にもつれ込んだって話だぜ」


「へー、そんな子が」


「それ今から僕がアカメくん達に説明しようとしてたんだよ!」


「誰が言っても一緒だろうが!」

 

まぁた喧嘩してこの二人は…。

 

僕は鞄からチョコレートの個包装を一つずつ取り出し、器用に片手で開けながら二人の口にねじ込んだ。


「はい、ストップ」


「「むぐっ」」


強制的に黙らされた二人は目を丸くして僕の方を見る。


「感想は?」


「え…?」


「チョコレートの味の感想は?」


「「お、美味しいです…」」


「うん、よろしい」

 

呆気にとられた二人は目を見合わせていた。

 

少々強引であったが、喧嘩が止まったので良しとしよう。

 

満足気にドヤ顔をする僕の腕を陽さんが引っ張ってくる。


「どうしたの?」


「…私のチョコレートだよ?」


「違うよ?」

 

本当に何で陽さんは僕の鞄にあるチョコレートを全部自分のだと思い込んでいるのだろうか?

 


程なくして始業のチャイムが鳴り、長谷川先生が教室に入ってくる。


「お前らぼちぼち席着け」

 

全員が着席したことを確認すると長谷川先生は廊下の方を見る。


「今日から新しい仲間が増えるぞ。事情があってな、本来お前らと一緒に入学するはずだったんだが今日になった。他のクラスにも一人ずつ増えてるから優しくしてやってくれ」


先生が廊下に向かって「入ってきていいぞ」と言うと、教室の扉が開かれる。

 

入ってきたのは女の子。明るい色の長い髪に端正な顔立ち、スラッとした品のある出で立ちにクラス中の視線は奪われた。


「初めまして、上谷桜と申します。今日からよろしくお願いしますね」

 

花が咲くような笑顔でそう自己紹介するとクラスの男子のテンションが露骨に上がったのを感じた。

 

こんな子が入ってきたのだからテンションをあげるなという方が無理な話だろう。


かくいう僕も視線を奪われている。でも容姿がどうとかいうより…なんだこの感覚?

 

自己紹介が終わり、その後のホームルームもつつがなく終わって授業までのちょっとした空き時間に御影さんの周りには人が殺到した。

 

何とかお近づきになろうと男女ともに彼女の前に集まっていく。


「す、凄い人気だね…」

 

葵くんが若干引いたような声をあげる。


「あんだけ可愛けりゃそうなるだろ」


「そういうものかなぁ。湊くんは行かなくていいの?アカメくんと陽ちゃんは僕に任せて行ってきていいよ」


「お前こそ行って来たらどうだ?その女みたいな容姿で相手にされるかどうかは知らねぇけど」

 

お互いに笑顔で牽制し合ってる。今転校生の話だったよね?

 

でも陽さんや葵くん、湊くんが周囲におり、変わらぬ日常感があって何だか安心する。

 

のほほんとしていると不意に上谷さんが立ち上がり、集団を抜けてこちらに歩いてきた。

 

何事かと思ったがそんな僕の疑問など関係なしにこちらに近づいてくる。

 

そして、葵くんの前で止まった。


「え、な、何?」


「貴方、女の子?」


「お、男だけど何⁉」

 

考えるように顎に手をやりながら上谷さんはそんなことを言う。

 

葵くんの秘密は皆には打ち明けていないので当然男と返答するが、上谷さんの訝し気な目は解けない。

 

僕は見かねて葵くんと上谷さんの間に割って入った。


「ごめんね。だけどいきなりそんな質問するのは失礼じゃないかな?」

 

上谷さんは少々驚いたように目を開くと、今度は僕をマジマジと見始めた。


「…貴方も、大丈夫かしら?」


「だ、大丈夫って何?そんなにおかしいところある?」

 

御影さんは僕の言葉に首を横に振る。


「いえ、そういうことではなくて…何と言うか…」

 

そこまで言ったあたりで陽さんが机をバンっと叩いて立ち上がる。


「…さっきから何?アカメや葵くんを馬鹿にして何がしたいわけ?」


「ば、馬鹿になんてしてないわ!ただ心配というか…」


「もういいから。こっちに来ないでくれる?」

 

僕や葵くんが侮辱されたと受け取ったのか、陽さんは完全にキレていた。

 

その様子を感じ取ったのか、御影さんは僕と葵くんに頭を下げた後に踵を返して席に戻っていった。

 

…一体、何だったのだろうか?

 

上谷さんが離れて行った後も陽さんはプンプン怒っている。


「…全く、失礼過ぎない?初対面であれはないでしょ」


「まぁまぁ、陽さん落ち着いて」

 

僕は宥めるようにチョコレートを渡す。

 

一応受け取ってはくれるが中々怒りは収まらないらしい。結構きてるようだな…。


「は、陽ちゃん大丈夫だから。アカメくんも僕もそこまで気にしてないよ」


「…ふんっ」

 

葵くんに「ふんっ」しても仕方ないでしょ。

 

どうしたものかと考える傍ら、先程の上谷さんの表情が妙に頭に残ってしまっていた。

 

まさか感づかれた…?いや魔力隠蔽は完璧なはずなんだけど…。

 

いや、感づかれたというより…なんというか…。

 

特に言語化できるわけでもなく、僕は何とも言えないもやもやを抱えたまま今日を過ごすこととなった。


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