表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【彼女の計画_外伝】新作公開!影たちの物語 ~瞳の章~『彼女の無意識 』―指揮者と雑音の行方―  作者: Taku
【彼女の計画_外伝】 影たちの物語 ~沙織の章~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/49

第2章 沙織の章 第2話 【選ばないことの快感(小学五年生)】

夏休みの自由研究で、沙織は近所の公園でスケッチをしていた。

ベンチに座る親子。

砂場で遊ぶ子どもたち。

それをただひたすら描き続ける。


でも、描きながら、沙織は考えていた。

私は、この人たちを選んでいる。

描く対象として、選んでいる。

この人たちは、私が選んだから、今ここに存在している。その思考自体が、気持ちよかった。


ある日、見知らぬ女性が話しかけてきた。

「お嬢ちゃん、絵が上手いね。私も描いてくれる?」


沙織は顔を上げた。

四十代くらいの女性。

少し疲れた顔をしている。

沙織は一瞬で判断した。

この人は、私の絵で満たされるタイプだ。

描いてあげれば、すごく喜ぶ。

でも――


「ごめんなさい、今日はもう帰る時間なんです」


嘘だった。

まだ一時間は描ける。

でも、沙織はあえて断った。


女性は残念そうに去っていった。

その後ろ姿を見送りながら、沙織は胃のあたりがじんわりと温まるのを感じた。それは、誰かを描いて喜ばせるよりも、ずっと深い充足感だった。私は、この人を描かなかった。この人の期待を、私が潰した。


家に帰って、沙織はスケッチブックを開いた。今日描いた絵を一枚一枚見返す。

そこには、自分の「選んだ」人たちだけがいる。その事実が、沙織を満たした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ