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第1章 Eの章 Eの告白 第3話 【真実の後に】
それからしばらく、Eはずっと考えていた。自分が見たものは何だったのか。あの女性は、瞳に似た別人だったのか。それとも、何かの錯覚だったのか。
でも、やがて思うようになった。
――真実は、一つじゃないのかもしれない。
あの日、あの場所で、私は確かに「誰か」を見た。その人は、瞳に似ていた。そして、それを別の誰かが見ていた。
それだけで、十分なのかもしれない。
真実が何であれ、あの瞬間、私は「伝えなければ」と思った。その気持ちは、間違いではなかったのだから。




