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第1章 Eの章 Eの告白 第2話 【瞳との再会】
待ち合わせは、かつての会社近くのカフェ。
数年ぶりに会う瞳は、少し年を重ねていたが、優しい雰囲気は変わらない。Eは、あの日見たことを話した。非常階段の二人と、それを見ていた「観察者」のこと。そして、自分が置いたあのメモのこと。
瞳は静かに耳を傾けていた。
Eが「3月11日の午後2時46分ごろです」と言ったとき、瞳の表情が変わった。
「その日、その時間……私は会社にいませんでした」
瞳は説明した。毎年3月11日、彼女は東北を訪れ、追悼イベントに参加している。社内報にも写真が載っていた。あの日、あの時間、彼女は確かにそこにいなかった。
Eの頭が真っ白になった。
――じゃあ、私が見た「瞳さん」は誰だったんだろう?
――そして、それを見ていた「観察者」は?
瞳にも、答えはわからない。
ただ、一つだけ確かなことは、Eが見た「瞳」は、瞳本人ではなかったということだ。
帰り際、瞳は静かに言った。
「あのメモ、ちゃんと届いてましたよ。ありがとう」
それだけだった。




