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第1章 Eの章 Eの告白 第1話 【不在の証明】
あれから数年が経った。
新しい会社での暮らしにも慣れ、後輩もできた。あの頃のように「見ているだけ」で終わらない毎日を、それなりに送っている。
それでも、時々、あの日のことを思い出す。非常階段の二人と、それを見つめていた「観察者」。
確かに見た。あの光景は、今も目に焼きついている。
でも、一つだけ、ずっと気になっていることがあった。
3月11日、14時46分。
あの日、資格試験の合格メールが届いた時間。東日本大震災が発生した、あの日付、あの時間。私はその時間を、はっきりと覚えている。
Eは、思い切って瞳にメールを送った。
「お久しぶりです。Eです。もしお時間があれば、お話ししたいことがあります」
返信は、翌日に来た。
「覚えていますよ。久しぶりですね。わかりました、会いましょう」




