13/47
第1章 Eの章 Eの真実 エピローグ 【窓の外】
Eは今も時々、あの日のことを思い出す。
3月11日、14時46分。
非常階段の二人と、それを見ていた「観察者」。
そして、自分が置いた一枚のメモ。
あの二人が誰だったのか、今もわからない。
あの「観察者」が誰だったのかも、わからない。
もしかしたら、あの「観察者」は、最初からいなかったのかもしれない。
もしかしたら、私の見間違いだったのかもしれない。
でも——それでもいい。
(私が見たものは、私の中で確かにあったことだ。それだけで十分だ。)
もしあの日、あの時間に合格メールが来ていなかったら。
もしあの日、渡り廊下に出ていなかったら。
もし純に会っていなかったら。
でも、その「もし」は、もう考えない。
だって、それが自分の選んだ道だから。
窓の外では、今日も誰かが誰かを見ている。
その視線の先に、また別の誰かがいる。
その誰かもまた、別の誰かを見ている。
視線の連鎖は、どこまでも続く。
その連鎖の中に、自分もいる。
(私も今、誰かを見ている。そして、誰かに見られている。)
それだけで、十分だ。
---了---
※Eの章_「Eの告白」、「Eの選択」へ続きます。




