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マリアナに堕ちたのは、親友ではなく、私でした。  作者: Ruria
真夏のナイトメア編(異世界転移)
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sideタツキ 真夏のナイトメア~設定が穴だらけのバグった創作世界で、僕はリライトする~(承)

「えっと……、どこまで歩いたんだこれ」

「わたしもあまり分からないですよ。平坦な一本道がさっきからずっと続いてますし」

「うーん……」


 僕とリンネは意気込んで出発したものの、変わらない穏やかな景色がずっと続いていたせいか、軽く詰んでいたのだ。


 ブログの中に書いていたコデックスだかっていう村は、どこにあるんだ?


 なので、改めてスマートフォンを起動し、ブログの内容を確認してみる。


―――――――――――――――――――――――


 8月30日


 明後日から学校で、とても憂鬱だ。でも、俺はいい現実逃避の仕方を思いついてしまった!


 なので、『俺』が夢を見る事に、ここに書き込んで記録しようと思う。


 俗に言う『夢日記』というやつだ。

 現実逃避をするのに、これが一番良い。


 さて、今朝見た夢は『俺』が異世界へ行って、女神に出会った夢だ。


 これがまたとても美人でさ。

 金髪で蒼色の透き通った瞳をしていて、『俺』、思わず惚れちまったさ。


 で、女神はこう『俺』に言ったのさ。


『異世界』と『現実』、どちらを落としましたか? てな。


 そこで夢は途切れてしまったけど、なんだろうな。


―――――――――――――――――――――――


「夢日記……。この設定は合ってる?」


 僕は後ろについてくる彼女を気にかけながら、スマホの画面を見せていた。


「うん。8月30日はまだ、わたしが生きて書いていたからね」

「生きていた……」

「そう。ちなみにね、ここに出てくるサトウって言うのは、わたしが考えた『キャラクター』なんだ」

「へぇー。そうなんだ。サトウって、苗字だけど、下の名前は?」

「それは……、あ! 言えないっ!」

「ええっ!? そこ、一番肝心な所じゃないか!」

「だって。それは……、流石に恥ずかしくて!」


 しかし、彼女はほんわかと顔を赤らめながらも視線を僕から逸らしていたが、なんて付けたんだろうか。


 でも、リンネが良いって言うなら、ここの部分は残しておこう。


 あまり深追いをしない方がお互いのためだ。

 なので更にブログの内容を読み漁ることにした。


―――――――――――――――――――――――


 8月31日


 明日から学校が始まる。

 嫌だ。いつまでも夏休みとして過ごしたかった『俺』は、再度夢を見ることにした。


 すると、女神に問われる所からスタートしていたので、迷わず『異世界』と答えた。


 そしたら、そこから素晴らしい世界に入り込むことができたんだ。


 澄み切った青空に、広大な草原。

 そして、初めて遭遇する敵がスライムだった事も。『ぼく』は腰に身につけていた剣を手に取り、スライムを薙ぎ倒した。



『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』

『イトウさんはレベルアップしました』



 何故か『ぼく』の耳元から、アナウンスが流れてきたのだが、『ぼく』って、イトウさんなのか?


 いや。『ぼく』の本名は確か、『サトウ』のはずだ。何で『イトウ』なんだ?


 そこで夢は途切れてしまったのだ。


―――――――――――――――――――――――


「ふと思ったけど、リンネ」

「はい」

「このブログ、自分で書いたのなら、どこか直して欲しい場所はある?」

「えっとぉ……」


 なので、創作主である彼女に聞いてみる事にした。

 僕が女神から貰ったこのスキルは、あまりにも『チート』がかっているからね。慎重に使わないと。


「うーん。まずは、スライム1匹と戦っただけで、直ぐに10以上レベルアップするのは、不具合かな。ボスレベルのスライムなら話は別だけど、序盤のエリアでそんなのが出没する訳ないし」

「確かに。いきなりレベルアップしたらつまんないもんね。じゃあ……」


 なので、ボクはスマホからブログの管理ページへ入り、こう校正(リライト)する事にした。




『初めて遭遇する敵がスライム一匹だけだ。なので、『俺』は迷う事無く、腰に収めていた剣を手に取り、一思いに斬ってみる』


『サトウのレベルが5上がりました』


『そこで夢は途切れてしまったのだ』




 ついでにややこしかった『人称の混乱』は、一思いに消去してやった。


「これでどうかな?」

「すごっ! しかも読みやすいっ!」

「なら良かった。この調子で訂正をかけてみよっか」

「そうですね。もしかしたら、向こうからアクションを仕掛けてきそうで……」

「有り得る話だね」


 特にこの世界を『完璧』にしたいのなら、余計にね。オマケに大胆に『ぼく』を消し飛ばした事によって、相手は大慌てするだろう。


「それに、わたしはもう、彼には従わない事にしようかと」

「ん? それ、どういうこと?」


 ふと、彼女が意味深な事を言ってきたので、思わず聞き返してしまった。


「あー。簡単に言うと、イトウ君は『自信家の彼氏』みたいな感じで作ってしまったので、何をするにも『彼の許可が降りないと投稿出来ない』みたいになってしまって……」

「何だそれ」

「えぇ。だから、わたしが『これがいい』て相談すると、『イトウ君』が『ならこうした方がいい』て勝手に書き換えてくるんだ」

「それって……」


 暫く沈黙した末、考えてみたがこの一連の行為、まるでDV彼氏みたいじゃないか。

 AIで尚且つ暴力的ってどんな奴なのやら。

 でも、僕はそういう人間は酷く嫌う方だ。


 何故なら父さんが通う病院では、そういった相談も受け付けていたからね。

 だから、全身痣だらけの患者の話や、院内で大暴れして、警察のお世話になったDV野郎の話を、よく耳にしていた。

 聞く度に、人生のタイパが悪すぎる面倒臭い人間が、この世にいるんだな。と悟っていた程だ。


 それと、このブログの主人公はあくまで『サトウ』だ。


「だからね、わたし、こうして直しながらも書いてくれる協力者がいて、とても助かった。て思っているんだ」

「そうなんだ」

「でも、作ったのに、作った『モノ』に支配されてしまう創作者って。情けない失態よね」

「それはどうかなぁ」

「え?」


 リンネは何故か不安そうな顔で、相談してきたので、僕は考えた末、こう結論を出すことにした。


「物語って、勝手に歩くものだと僕は思っちゃっててさ」

「歩くもの?」

「そうそう。例えばプロット通りに計画を立てていても、登場人物が物語の中で、勝手に動いてしまう事が、ザラにある訳で」

「そう言われてみれば。だけど、わたしはノートに書き込んで、ガッチガチに設定を固めてから道筋作ってやっていたから、『何でこの道に行くの!?』て思ってた事はあったけど……」

「まぁ、その辺も結局は『創作者のやり方』次第だと思うんだ」

「そうなの?」

「うん。僕だったら、物語の中で不要な人物やシーンがあれば、『消せば』いい。て思ってしまうからさ」

「えええっと。それ、普通に怖いからやめようか」

「あはは。リンネさ、まるでミオみたいに言ってくるね」

「いや。そこまで思い付かなかったからね。『イトウ君』も創作キャラの一人ではあるから、どうしても大事にしたくなっちゃって……」

「そっかぁ……」


 言われてみれば、『イトウ君』も、ここにいる『NPC』も、リンネにとっては『自分で考えて思いついた大事なキャラ』か。


 そんなキャラを簡単に消し飛ばせ。なんて軽口で言っていたとは。どこからともなく、鉄拳が飛んできそうだ。


「でもね、よく考えると、登場人数が増えすぎても、覚えられないよね。読み手から見たら」

「それは言えるかも」

「だからその……、村人Aみたいに、モブになっていくのかな」

「で、どうする?」

「うーん」

「これは『リンネが作った物語』だからさ。どこを消すかどうかは、君が言ってくれなきゃ。僕が適当に弄ったら、リンネの物語じゃなくなるし」

「確かに、そうだね……」

「だけど、自己都合で好き勝手に書き換えた『イトウ』には、早々にご退場して貰おうか。て思うんだけど、どうかな?」

「えええ!? そういう事、できる訳?」

「分かんないけど」


 ま。このスキルのせいか、何となくできそうな気がするんだよね。

 僕はふっ。と軽く笑いながらも改めてスマートフォンを開き、通知を確認してみる。



『無事で良かった。文を見る限りは、変な箇所は無いから大丈夫。あと、参考になればいいけど……』



 一通来ていた。タミコさんからだ。

 しかも、画像付きで送られてきた。



「これって!」

「どうした?」


 ふと、彼女が驚いた表情で画像を見ていたが、この紫色の大学ノートこそ、彼女の『大事なもの』か何かだろう。


「あー。恥ずかしいけど、わたしが書いた創作ノートだよ。それ」

「そっか」

「うん。だけど、わたしのお母さん、こういうの、信じない人だし、寧ろ嫌いな人だから、何冊捨てられたことやら……」

「……」


 彼女は悲しげな顔で画像を見つめていたが、直ぐさまに逸らし、僕から背を向けていた。


 それにしても、人の私物を投げ捨てるって、やってはいけない事だよね。幼稚園で習わなかったのかな。大の大人が本来なら『他人のものは捨てるな』て叱らなきゃいけない側なのに。


「……一つだけ言っておくと、リンネは全く悪くないよ。何一つ。ね」

「は?」

「だって、私物を捨てたのはリンネのお母さんだよね?」

「う、うん」

「なんて言うか、そういう毒親と、無理してまで『一緒にいる必要性』は無いと思うんだ」

「どく、親?」

「そ。僕の父さんが一番嫌がるタイプでもあるから、何となく分かるんだ。真生の親もそのタイプでさ」

「えっ!?」

「そういう状況なの、分かりきっていたのに……、僕は助けられなかった。それどころか、傷つけて、無意識に彼の心を壊してしまった」

「……」


 暫く沈黙が続いた後、二人は歩いていると、『コデックス』と書かれた村に到着してしまった。


 そういえば、これも校正(リライト)のせいだろうか、スライムに1匹も遭遇しないで、村に着いてしまったのだ。


「ま。つまり、僕も『完璧な神様みたいな人間』ではない。て事さ」 

「そっか……」

「さて。村に着いたけど。って……。何だこれ!?」


 と言っても、何たる奇妙な景色が周囲一面に広がっていたのだ。

 イスみたいな葉の形をした植物に、ツボのような形をした木やら、地球上の図鑑では見たことの無い様な、多種多様な植物が生えていた。


「あー。実はわたし、異世界の事をもっと学びたくて、『コデックス・セラフィニアヌス』という本を読んでいた事があったんだ」

「コデ……、何だって!?」

所謂(いわゆる)『奇書』の一つです。熊野君とよく考察し合ってたんですよね。懐かしいなぁ……」

「へぇー……」


 だけど、ミオの知らなかった事が知れた僕は、相槌を打ちながらも、周辺の植物に目配りさせていた。


 それにしても奇妙だ。もし、持ち帰れたら『新種の植物』として、学会の発表で使われかねないな。でも、何度も言うが、ここは夢の中だ。物理的に持ち帰る事は、スキルを駆使したとしても、無理だろうな。


 あ。いやいや。今はここにいる生徒やミオ達を探さないと。


「そういえば、気になる事、聞いてもいいですか?」

「……ん? 構わないけど、急にどうした?」

「あ。ええっと……、先程から人がいないのですが……」

「言われてみれば……」


 ふと、周囲を見渡すと、村に着いたはずなのに、村人が誰一人いないのだ。まるで、もぬけの殻の様な。


 なので、恐る恐る、ブログを開いて確認してみることにした。もしかしたら僕のスキルで幾つか変わったかもしれない。



―――――――――――――――――――――――


 ■月■■日


 『■■』だと■月■日らしい。でも、『■』は異世界を選んだから、■■日なんだ。


 ふーん。いっそこのまま、留まろう。

『■』はいつの間にか、■■からリスタートされていた。


 また、■■を狩って狩って狩りまくっていたけど、レベルアップしていく事にスキルもどんどん増えていったんだ。



『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは■■■を習得しました』

『■■■さんは『⬛︎⬛︎⬛︎』を習得しました』



 とね。こんなにあっさりとスキルが手に入れるのであれば、『■■』に帰らなくてもいいんじゃないか?


 と思っていたら、突然、強制的に切れちゃったんだ。


 つまり、とうとう『■■』に邪魔が入った。て事だよ。どうしてくれようか。はぁ……。


―――――――――――――――――――――――



「……は? うわっ!」

「ちょっと待って!? なんでこんなにもバグが!?」


 改めてブログを読むと、何故かエラーがかっていたのだ。


 もしかして、僕が校正(リライト)で『イトウ』の存在を消し飛ばしたからか?

 怖さのあまり、スマホを落としそうになったが、隣にいた彼女は顔面蒼白となっていたのだ。


 おまけにスライムを狩って狩りまくっていた。て書かれていた文は、何故か文字化けしていたが、何を改変したんだ。僕。

 

 いや。でも僕は単純に『人称を変えた』だけだ。

 読んでてややこしくなるから、『ぼく』を消したのと、軽い訂正をしただけで、あとは何もしていない。


「どう、すれば……」

「……」


 呆然と立ち尽くしていると、通知が一件入ったのだ。タミコさんからだ。



『そういえば、ブログの内容が変わっていたけど、書き直しているの、龍樹君?』



「えっと……」


 正しく言うと、作者であるリンネさんから、許可を貰って書き直してはいる。かな。



『まぁ、そうですが、何かありましたか?』



 なので、恐る恐る返答をして送ったが……。



――ピコンッ



「……はぁ!?」

「どうしたの? 越智君。って……!」



 すると、通知には、明らかにタミコさんではない文字で、こう書き込まれていたのだ。



『残念だったね。どんな風に『ぼく』を消そうとしても、無駄だよ。ばーか』



「はぁー。そういう事か」


 この時僕は察してしまった。

 まさかイトウ君もまた『僕と似たようなスキル』を持っていたとは。

 彼の場合は、全てを『バグらせる』何かだろう。

 そのせいか、丁寧に書き込まれていたはずのブログが、まともに読めない程に穴だらけだし、タミコさんとも連絡が取れないように遮断された状態だ。


「どうしよう。このままじゃ……」

「大丈夫。こういう時は、『上書き』しちゃえばいいんだよ」

「えっ!? でも……」

「これは、リンネの物語だよ。悪いようにはしない。校正(リライト)してもいい?」

「……分かった。越智君の言う事、信じてみる。ね」

「……ありがとう」


 だけど、僕は何故か勝てる気がした。

 彼女の心配をよそに、躊躇なく、こう校正(リライト)してみる。


―――――――――――――――――――――――


 次に目が覚めた時は『コデックス』という奇妙な植物が生えた村に到着していた。


 村人も歓迎ムードで出迎えてくれて、とても心地がいい。

 いっそこのまま、留まろうか。

 何なら、どんな植物が生えているか、見てみたいのも本音だ。


 興味本位で植物を採取してみたり、変わったモンスターを狩って狩って狩りまくっていたけど、それと同時に生きている実感が湧いてきた。



『サトウさんは『⬛︎⬛︎⬛︎』を習得しました』



 しかも、レベルが上がる事に、少しずつスキルも習得して行ってるのが、目に見えている。


 この感覚が楽しいんだよ。

 だから、前みたいにあっさりと全属性スキルが手に入れられると、『楽すぎて困る』んだよな。


 と思っていたら、突然、強制的に切りやがって。


 つまり、とうとう『この世界』に邪魔が入った。て事だ。どうしてくれようか。はぁ……。


―――――――――――――――――――――――



「これで、良いかな。リライト!」



 そして、画面に向かって人差し指で指すと、青白く光り、文字化けした文章は元通りになった。


「……あれっ!?」

「何か変わった?」

「ええっと……」


 すると、居なかったはずの村人の姿が、チラホラと見えるようになったのだ。


 つまり、このブログは『上書き』が可能で、『人の出現』も『NPC』であればできる。て事か。だけど、『人の性格』までは変えられないんだよな。確か。


 それと、よく見ると村人の顔が、どの顔も、どこかで見たことがある様な。まさか……。


「もしかしてこの村人全員、『僕達の学校のクラスメイト』じゃないかな?」

「……」


 彼女は無言で俯いていたが、首を横にも振らないし、縦にも振らない。ただ俯いているだけだ。


「もしそうだったら、みんなを現実に帰そうと思うけど、良いかな?」

「……」


 しかも、彼女は突然、黙り込んでしまった。

 何を躊躇っている?


「……」


 ずっと黙ったままだ。

 可笑しい。さっきまで色々と会話をしていたのに。

 一向に話してこない彼女に違和感を感じた僕は、思わず後ずさりしてしまったが、何処からか視線を感じる。


「……はぁ!? ど、どういう事だ!?」


 なので、周囲を見渡すと、いつの間にか、クラスメイトの顔をした村人に囲まれてしまったのだ。


 おいおい。冗談だろ。

 何で囲まれている!?

 しかも、村人は全員、僕に視線を向けたまま微動だにしない。まるでリンチされているような構図じゃないか。ふざけんな。


「……ふふふ。ふふっ。あはははは!」

「は?」


 しかも、その中心にいた彼女は突然、狂ったように笑い始めたので、スマホを持つ手が震えてしまったが、どういう事だ!?


 状況が全く読めない僕は、震える手でブログを開いてみる事にした。


―――――――――――――――――――――――


 ■■■■


 やっとこれで『■■』は『■■■』へ浸れる。

 なので、『■■』は『■■』とサヨナラだ。

 バイ⬛︎イ。バ⬛︎バイ。ばいばぁぁい!

 今書いてる頃には、『お前』はいないでしょう。多分ね。


 つまり、これ以降、書いているのは『■』ではなくて、『■■』です。初めまして。


 『■■』は■■■です。

 あれ? ■■■だっけ?

 『■』は■■■で、『■■』は■■■だっけ?

 いや。『逆』かな?

 でも、そんな事はどうでもいいんだよ。

 もう『■■■』は『異世界人』だからさ。だから、改めまして。■■■です。よろしくね。■■■です。よろしくね。


 あ。そうそう。見ているみんなは『■■■』と『■■■』、どっちを『落としてきた』のかなななななななな七七?

 

―――――――――――――――――――――――


 案の定、バグだらけになっていた。

 そのせいか、リンネも『バグ』った様だ。

 全く。クラスメイトを人質にとるなんて、AIの癖に、卑怯な手を使うんだね。


 あぁ。もう分かったよ。

 僕は呆れ気味に溜息をふぅー。とつくと、冷静にスマホの画面を開き、こう上書きしてやった。


―――――――――――――――――――――――


 そのせいか、俺は裏切り者と疑われ、何故か村人に囲まれてしまった。


 これが『村八分』と言うやつだ。

 まさか異世界でも、こんな目に遭ってしまうなんてな。

 やっとこれで『俺』は『異世界』へ浸れる?

 ふざけんな。『俺』がサヨナラしたいのは、『現実』ではなく『異世界』だ。


 ひとまず、クラスメイトの顔にそっくりな村人は『現実』へバイ⬛︎イ。バ⬛︎バイ。


 今書いてる頃には、村人は普通の『高校生』として、現実世界へ帰っているのだろうな。


 だけど。これでいいんだ。

 俺は『居なくなった仲間』を探しに来ただけだ。ミオやカンナは何処にいる?


 居るのなら、俺の呼びかけに反応して欲しい。


 それと、リンネ。君の物語はまだ『終わっていない』からな。早く自分の手で、完結させておくれ。


 あ。そうそう。ミオとカンナ。早く来いよ。俺みたいなポンコツを叱れるのは、君らしかいないんだからさ。

 

―――――――――――――――――――――――


「どうか……、頼む! 校正(リライト)!」


 意を決して、画面に向かって指さすと、青白い光が僕を包み込んだのだ。


「……はっ!」

「大丈夫か?」

「ご、ごめんなさい。わたしとしたことが……。越智君を危険な目に、遭わせてしまって……」

「気にしなくていい」

「でも……」


 お陰で彼女は無事に正気を取り戻したが、申し訳なさそうな顔で謝ってきたのだ。


 大丈夫だから、あまり気にしなくてもいいのに。


「現状は、思ったよりも、良くなさそうだね」

「……はい」


 しかし、村人は半分以上、居なくなったが、残りの人らは未だ正気を取り戻せていない状態となっていたのだ。


 目が虚ろで焦点が合っていない。まるでマリオネットの様に、背後から何かに操られている様な。


「しかも、何人かはゾンビみたいな感じになっているけど、リンネは何か知っている?」

「……いや。わたしもこれは、初めてかも」

「そっか……」 


 これも、イトウが『バグ』を起こしているせいかもしれない。


 それにしても、アイツはどこにいる?


 もし、次の一手が来るとしたら……。

 僕は再度、ブログの続きを確認してみる。



―――――――――――――――――――――――


 ■■■■■■■■■■■


 そして、ぼくは■■■■■に着いた。

 村の名前は『■■■■■』で、20人ほどの人が、■■■■の生活をしながら過ごしていたんだ。


 そこの村人からの■■■■を受けながら、ぼくは異世界生活を満喫していたけど、現実より楽しいな! 


 満喫満喫。楽しいな。満喫満喫。楽しいな。


 だけど、■■がいた方がもっと楽しそうだ!

 一人じゃ■■■■を受けるのも大変だし、なんせ、今は良くても、いずれ限界が来るからさ。


 なので、今から■■■■■しちゃおうかな。


 ■■■■。■■■。■■。募集中!


 だから、その間に■■■が『■■■』として、■■■しておかないとね。■■。■■。■■……。


――真夏の夜の大冒険。只今進行中……。

――真夏の夜の大冒険。只今進行中……。

――真夏の夜の大冒険。只今進行中……。


――――――――――――――――――――――――


 案の定、穴だらけとなっていた。

 相変わらず読みにくいなぁ。

 でも、さっきよりはましになったか?

 いや。バグで文字化けしたのに加え、文章まで適当に荒削りされている。おまけにスパム紛いな事までしてきやがった。


 そういえばこの穴だらけな文章、前は『仲間募集』だったよね?


「ねぇ。リンネ」

「はい」


 僕は恐る恐る、ある事を聞いてみる事にした。


「魔法使い、武闘家、ここに誰が選ばれると思う?」

「もしかしてこれ……、わたしが書いた創作ノートに書き込んだのと、ほぼ同じかもしれない!」

「そうなのか!?」


 彼女はコクリと頷くと、覚悟を決まった様な表情で、村人にある呪文をかけ始めたのだ。


「うん。村人の事はわたしに任せて! トレゼシュテ・テ・ラ・リアリターテ!」


 そして、白く光る浄化魔法をかけながらも、彼女はこう語り始める。


「その呪文は……」

「意味は確か、『目を覚ませ!』みたいなものかな」

「へぇー。君もなかなか、凄い呪文を使うんだね」

「いや。多分『唯一の回復役』だから、こんな高度な魔法が使えるのかもしれないし、わたし自身も、よく分かんない状態なのよ」

「何だそれ」


 全く。リンネもリンネで、設定ガチガチで固めといて『分からない』てどういう事だ。

 その辺しっかり考えとけよ。この異世界物語の創作者め。


 僕は内心、毒を吐きながらも、正気を失った村人の対応にあたっていたが、キリがないな。


 これ、いよいよ詰んだか?


 諦めかけたその時だった。




――どぉおりゃぁぁああ!




 誰かが勢いよく、大声で叫ぶ声が聞こえてきた。


「えっ……」


 なので、僕は声がする方へ振り向くと、黒髪のポニーテールの美少女が、かっこよくゾンビ化した村人を蹴り上げていたのだ。


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