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神獣、あるいは災害級魔獣と呼ばれる彼らは、この世界で最初に生まれた存在だった。
彼らは彼らの次に生まれた存在、リトル――プレイヤーやその他の存在からは原住民と呼ばれている――達を見守り、干渉は最低限にとどまった。
しかしリトルの1種族が文明を持ったことや、リトルの総数が増加した結果、この世界はその負荷に耐え切れず、まるで病に冒されたように寝たきりになる者や、それどころか体がバラバラになりリソースに還る者まで現れ始める。
その結果、神獣たちは、2つの派閥に分かれることになった。
1つ目の派閥は、この世界を閉ざしたままにするという派閥。彼らはリトルの個体数を管理しようとしたか、あるいは自らを休眠状態にすることで不足したリソースを回復させようとした。
2つ目の派閥は、世界の外側からリソースを確保しようとした派閥。彼らは1つ目の派閥と対立した経緯を持つ。結果として2つ目の派閥による強行は止まらず、彼らの行動によってリソースが多少回復されたのだが、結果として外の世界にこの世界の存在が知られることとなった。
そして存在を知られたこの世界は、外の世界。プレイヤー達にとっての現実の人々による侵略を受けることになった。
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闇の巨人は、外の世界からもたらされた技術によって生み出された存在であるデミ達もこの世界の住民であると考えていた。しかし考えは異端とされ、他の神獣たちからは認められることがなかった。
しかし彼が考えを変えることはなく、他の神獣たちの管轄から外れた異物が残る嫌われた地、穢れた教会を拠点としてデミ達を保護することになった。
普段は表に出ることのない彼だが、唯一デミ達からは長老と呼ばれている1体とは交流があり、彼を橋渡し役として今もこの地を治めている。
稀にデミを滅ぼし、リソースを回復すべきだという過激な主張を持つ他の神獣の勢力からの侵攻を受けながらも、彼は数少ないデミの保護に尽力していた。
そんな彼は、目の前に居る男を見下ろしていた。ただそれは見下しているわけではない。その巨体では普通に立っているだけでそういう状況になってしまうというだけだ。
不思議な気配のする男だった。外の世界から来た異物に違いはない。しかしその体を冒す毒からは懐かしい気配を感じ、その体内には脈打つもう1つの呪いが混じっている。そしてその精神体はおそらく、元はリトルだったのだろう。
デミを庇護下に置く異端であるからこそ、彼はその気配に戸惑う。他の神獣であればただの異物と判断する彼を、闇の巨人は割り切ることができなかった。
だからこそ、彼は正々堂々と正面からの対面を望み、彼が武器を構えるのを待つ。
守護すべきデミの安寧のためには戦うしかないと知りながら、心に葛藤を抱えたままに、彼は戦いに挑むのだ。
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ハルトは弓を取り出して構えたところで違和感に気づく。
「(Eの気配がないな)」
そう思い魔装が使えるかどうか感触を確かめてみると問題なく手に魔力が集まる感触がある。どうやらこの空間に連れ込まれた際に分離されたというわけではなく、あくまで意識が表に出てこれなくなっているだけということらしい。
「正々堂々1対1での勝負か。警戒が足りなかった俺が悪いとはいえ、だいぶ厳しそうだ」
まだ動く気配がないあたり、先手は譲るということだろうか。そんな余裕を見せつけられれば普通は程度の差はあれど怒りが湧くところだろう。しかし相手の実力を肌で感じているハルトの心にはそんな気持ちは生まれなかった。
「(アンダイングと同程度かそれ以上。あの時よりも多少の技量とステータスの上達はあると思いたいが、それでもEと2人の時の戦闘力には及ばないのが現状だ)」
その考えに、一瞬逃げという選択肢が脳裏をよぎる。しかしすぐに逃げ場なんてないことを思い出す。
「(無理と断言する要素はないが、この異界から逃げる手段に心当たりがあるわけでもない。仮にこの異界から脱出できたとしても、その場所が安全とも限らないってのも最悪だ)」
戦わずに済むならばそれに越したことはない。そう思いあれこれと考えを巡らせてはみたものの、その結果は、避けようがない事実を確認しただけに終わった。
とはいえ、どうしようもないと理解したことで覚悟は決まった。戦いの最中に余計なことを考えずに済むなら、その思考は無駄ではないのだろう。
「『さあ、挑め』か。わかった。やってやるよ」
弓に魔力を込め、現れた矢を引き絞る。幸い的は大きい。ダメージが通るかどうかはともかく当たらないということはないだろう。
「ふっ」
そんな考えで射った矢は予想に反し、その巨体に当たる直前虚空へと飲み込まれる。
「マジかよ」
「オォォォォォ」
そして、ハルトが攻撃を仕掛けたことで、その巨体がとうとう動き出す。
最初の一撃は低いうなり声をあげながらただ単に腕を振り下ろすだけ。その動きは巨体らしく一見緩慢であるかのように感じる。しかしそれは錯覚に過ぎない。巨体のためにゆっくりとしているように見えるだけで遅くはなく、そのうえ攻撃範囲が広く避けるために走る距離は短くない。かすめただけで体がバラバラになりそうな一撃が躱しにくいとなれば間違いなく脅威といえるだろう。そのうえ詳細は分からないが飛び道具に対する耐性まで持っているとすると苦戦は必至。
「なんでここまで高難易度な相手とばかり当たるのかね……」
愚痴を呟きながら腕が打ち付けられた結果起きた振動と突風に体を揺らす。
ただのゲームであれば強敵との戦いは楽しいものかもしれないが、命がけとなると話は違う。もっと楽な相手が出てきてくれるとありがたい。ハルトはそんなことを思うのだった。
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立ち止まれば押しつぶされ、逃げれば壁が迫ってくるかのようだ。
振り返り矢を射るが虚空に呑まれ効いている様子はない。そんなことをしている間に距離が詰まり、圧迫感を伴って壁のような腕での薙ぎ払いが襲い来る。
「クソゲーかよ」
悪態を吐きつつ視界が悪くなり始めたあたりで身を翻し、迫りくる腕を避けるべく横に跳ぶ。どこまでも続くかと思われるような闇だが、どうやら範囲は有限らしい。外に踏み出して何が起こるかわからない以上、下手な行動はできないが、だからと言って迫りくる壁のような腕をどうやって躱すというだろう。
「"ラピッドアクション"……? くそっ、使えなってマジか」
頼みの綱だったスキルは何故か不発に終わり、まともに跳躍もできない。どうやらこの空間ではアビリティが機能しないらしい。
かなり不利な状況ではあるが、Eとの意思疎通が取れない時点で不測の事態の想定はしている。分の悪い賭けではあるが、チャンスは残っていた。
迫りくる壁のような威圧感に焦りを覚えつつ、ハルトはインベントリから鳥型の魔物の素材を取り出す。
「――魔装」
最初にEの存在を確かめようと試したその能力は、使えるという感触があった。その期待通り、ラピッドアクションとは違い魔装は発動できる。
翼が生え、それにより飛翔するハルト。しかしそんな咄嗟の行動では振り切ることは叶わず、追ってきた手の指先が足を掠める。その痛みにハルトは慣れない羽ばたきを続けることができず墜落した。
「痛っ……掠っただけなのに、ハンマーに撃たれたみたいだ。曲がってないよな?」
そう呟いたはいいものの、自分の体を確認する暇もなく追撃が来る。
相手は巨人。サイズ以外は一般的な人型を保っている。つまり腕は2本あり、片腕の攻撃を避けたからといって安心はできない。痛む体を労わる余裕もなくハルトは再度駆け出す。痛みはあるものの走行機能は無事だったようでまだ何とかなりそうだ。
そう思う一方で、拭えない違和感を覚える。
今回使用した魔装は背部であり、翼が生えるというものだった。そして魔装のデメリットには、発動した部位はアバターの機能によって保護されないという点がある。つまり部位破損するようになるのだが、今回足については魔装を使っていない。つまり保護が有効で痛覚は受けないはずだが、どうやら相手の攻撃にはこの機能が働かないらしい。
インベントリは使えるあたり、アバターの全機能が使えないわけではないようだが、万全の状態でも苦戦必至の相手を前に機能制限がかかっているのは危機的状況だった。
「クソゲーどころか無理ゲーか? って、そもそもゲームって考え事態が不謹慎か」
困難な状況に乾いた笑いが出る。諦める気はないのだが、状況を打開する策も見当たらない。
魔力とスタミナ、そして集中力を消耗し着実に不利な状況に追い込まれながらも耐え凌ぐことしかできずに時間が過ぎていくのだった。
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ハルトが闇に囚われている間に、Eは実体化して猛攻を凌いでいた。
「おい! 起きろハルト!!」
「君が望むなら、君に体を与えよう。その体から出て、自由を得るんだ」
ひび割れた素体、それは脆く儚い印象を相手に与える。いずれ朽ち果てるのだろう。そんな想像は、目の前の光景を見れば瞬く間に打ち消される。
Eが剣で攻撃を凌ぐ。しかし打ち付けられた拳はその振動で剣を取りこぼしそうになるほど激しいものだった。
「(くそっ、呪いの進行を遅らせるためには離れるわけにはいかないのに)」
「私はこうして時間を稼いでいるだけでいい。本来は"彼"に負担をかけないために私が手を下すところだが、こんな形で妨害されるとはね」
そう語るのは、先ほどまで椅子に座り身じろぎ1つ取らなかった長老と呼ばれた存在。そんな彼はどこに隠していたのだろうかと思うような胆力を発揮しEと交戦していた。
闇の巨人に実体はない。他の神獣やデミを傷つけることなくこの教会を守っていたのは、その特異性あってこそのもの。彼は精神に干渉し、そこで相手の戦意を喪失させることができた。
だが、闇の巨人の能力の凶悪さはそこではない。彼と戦っている間、意識は闇に囚われ相手の肉体は無防備になる。闇の巨人単体であればそれほど凶悪ではないそんな状況だが、協力者がいる場合、無防備な肉体を攻撃することでいともたやすく相手を葬ることができる。そのことを理解していた長老は、その恐るべき手段を用いてハルトを倒そうと画策していた。
しかし間一髪のところでEの妨害が入り、ハルトは一命をとりとめることになる。
だが、Eの実体化はヒュドラーの毒と拮抗する呪いがハルトの体から失われるということを意味する。すでに毒の影響が深刻な彼の体のことを考えれば、一刻も早く長老を倒さなければならない。
そんなことを考えているEに、長老は再度提案を持ち掛ける。
「なぜそのプレイヤーに固執する? 君はリトルだろう。体を得て自由になりたくないのか」
「あんたが持っていた設計図、それがあれば確かに俺は肉体を得ることができるんだろうな。だがそれになんの意味がある? 本来死んだ存在は蘇らない。それなのに俺がこの世にしがみついて、こうして存在するのは、きっと意味があるからだ。
そしてそれはたぶん、こいつを助けることなんだよ」
「感情的で憶測ばかり。そんなものに何故君は命を懸ける?」
「きっと」「たぶん」
そんなあいまいな言葉が他人に響くことはない。だがそれはE自身も理解している。だから心の底からその妄想を、自分が存在していることに理由があると信じているわけではない。それでもEにとって都合のいいその物語を信じたいと思う気持ちに偽りはなく、他人に理解される必要などなかった。
「それは俺が自分の気持ちに正直に生きなかったことを後悔してるからだよ。理屈ばかり並べて、社会のためだとか言って自分の周りの人間のことを第一に考えてやれなかった。自分が助かったって、一生犠牲にした誰かのことを想って生きるなんて望んでないんだよ!!」
それはハルトを犠牲に体を得るという長老の提案への回答であり、そして、取り戻せないアンダイングや同僚達との日々に対する後悔の叫びだった。
攻防の中言葉を交わす2人。叫びながら剣を振るうEと、それを理解できないとでもいうように冷めた目で見る長老。
苛烈を極めた攻防の中で、先に有効打を与えたのはEだった。
「俺に、力を寄越せ! ――邪魂呪術 喰蒼炎」
自身の肉体を構成する怨念から力を奪い取り、その力を込めた一撃は怪しく揺らめく蒼炎を纏い相手を襲う。危険を察知した長老はその攻撃を防御するのではなくとっさに回避しようとしたが、散った炎の1片まで避けきることは叶わず、火の粉が体にかかる。
しかしその程度で動きが鈍ることはない。そう考えた長老は、Eの説得が無理だと判断。同時に先ほどの能力を使った攻撃から、毒による自滅狙いの時間稼ぎはEを追い詰めてしまうと判断。手痛い反撃を食らう前に倒すことを決意し、一転して攻勢に出ようとした。
だが、その判断は少し遅かったらしい。
「っ……これは……」
「熱くはないだろうが、あんたにその火が消せるか?」
アンデッドの性質を持つEが放つ攻撃である以上、それは通常の火ではない。鬼火という概念から生まれた命を吸い取り燃え上がる炎は、例え火の粉のように小粒でも吹き消えることはなく、憑りつけば激しく燃え上がった。
相手は自我を持っているが、もとは廃棄された精神体の宿っていない素体だ。Eにはその炎が効くという確証はなく、その攻撃は博打だった。しかし結果だけ見れば、効いているどころか弱点を突くことができたように見える。
「私が、消えていく……嫌だ、私は、消えたくない……」
そこに先ほどまで機敏に動いていた面影はなく、始めの印象に近い老いて朽ちかけた存在であるかのように弱々しい動き。攻勢に出ようとした名残で足を前に踏み出し、Eに対して拳を突き出すが、足元がおぼつかず拳が届く前に膝から崩れ落ちた。
「俺ならその炎を消すことができる。これは交渉だ。今すぐにハルトを開放しろ!」
地面に倒れ伏せ、炎を消そうとしているのか息を荒げて体を擦る長老。Eはそんな彼を持ち上げ胸倉を掴むと、その体を壁にたたきつけて怒鳴りつける。焦りの滲むその言葉に対し、長老は観念したのか、ゆっくりとした手つきで何かのサインを出した。
「何をしてる? 答えろ!」
「"彼"に合図を出した。撤収と伝えた」
そう長老がそう言い終えるのが早いか、ハルトの体から黒い霧状の何かが這い出してくる。それは先ほどハルトの体に入り込み、彼が昏睡状態になった原因と同じであるように見える。
そんな黒い霧状の何かはハルトの体を離れると、長老の体へと集まってくる。その様子にEは長老を掴んだままでは危険そうだと判断し、その体を手放す。
炎を消すには燃えている場所に直接触れる必要があるため、この状態では火を消すことは叶わない。しかし黒い霧が対処しているようで、蒼い炎は視界から消えている。対処は任せても問題ない。そう判断したEは真っ黒な状態で床に横たわる長老を横目にハルトの様子を確認する。
「間に合ったのか? ひとまず息はしてるな。となると毒の浸食を抑制するのが先決だ」
そういいつつ、もう一度長老の様子を確認したが、しばらく動く気配はなさそうに見える。Eはそんな自分の直感を信じ、今はハルトの体を侵す毒の影響を軽減しなければと、彼のアバターへと帰るのだった。
前話に載せる予定で忘れていた登場する勢力の説明です。
今後の内容も載せたので、ネタバレを嫌う方は読まないでください。あと、それなりに長いです。
ようやく(まだ触れられてない部分が多くあるものの、)構想段階で登場する予定だった勢力がすべて登場したので載せられるという感じですね。
全部ストーリー内で説明できるように頑張るつもりですが、いかんせん複雑かつ過去の回想とか故人の話とか回収できるかわからないので、あまり期待はしないでください。
【勢力】
・リトル(原住民)
電脳世界の住民。生き物全般をひっくるめているので、文明を持っている人型の種も、獣も魚もまとめてリトルと呼ばれる。
特別な力はない。かつて現実世界からの干渉によって何体かのリトルが実験により命を落とした。
人型のリトルは、アバターの素体の試作品が動き出した存在であるデミの元となった存在である。
・神獣(災害級魔獣)
電脳世界で誕生した自我を持つ存在。
リトルに対して友好的である一方、現実世界からの干渉に対して非常に敵対的である。
主に2つの派閥に別れており、干渉を拒絶する派閥と、現実世界への侵攻に積極的な派閥がある。
派閥が別れていることから察せられるように、神獣同士でも敵対的な関係にある個体と友好的な関係にある個体がいる。
・パンドラ
主犯が属する組織。電脳世界の存在を知り、利用しようとする勢力。
電脳世界を理想郷であると考え、神獣の排除と電脳世界の支配権を得ようと画策する。
セカンドプラネットの製造に携わり、プレイヤー達を先兵として送り込んだ張本人である。
・プロメテウス
電脳障害について調査、治療法の確立を目標として活動している組織。
セカンドプラネットに救援を送り込んだ組織であると同時に、パンドラと敵対している。
・ゼウス
現実世界の人間が電脳世界の存在を知るきっかけを作った組織。電脳世界の発展を目的に一部のリトルによって作られた。
一部の神獣を唆し、現実世界のリソースを得るために暗躍。現実世界への干渉手段を獲得したのち、人間の体を乗っ取ることに成功する。
しかし現実世界で電脳世界のリソース不足を解消することは難しかったほか、人間の体を得た構成員とそれ以外の構成員の間の格差によって内紛が起き組織は壊滅する。
残ったのはその内紛を知らないゼウスに協力していた現実世界の人間や、リトルに乗っ取られていた存在を親に持つ子孫たちであった。彼らはリトルに乗っ取られた人間から、電脳世界のすばらしさについて説かれ、いつかその世界の住人になれるという謳い文句で協力させられていた。その結果、現在のゼウスの構成員は電脳世界を故郷あるいは肉体の枷のない楽園であると考えている。そして、本来の電脳世界のリソース不足解消という目的とは真逆の、現実世界の人間が肉体を捨て電脳世界の住人になることを目的とした組織になってしまった。
初期にリトルたちが運営していたといっても、現在のゼウスの構成員は現実世界の人間に過ぎないため、彼らは神獣に現実世界からの侵略者であるとみなされたほか、アバター技術の確立のためにリトルでの実験を繰り返し、電脳世界に大きな被害を出した。
そんなアバター技術の研究中、電脳世界で活動していた研究者たちは、その多くが神獣によって精神体を抹消されることとなったのだが、根絶まではいかず、残った構成員はパンドラを設立したり、ゼウスの残存勢力として活動している。
・ヘロス
ゼウスに所属していた一部のリトルは、人間の肉体を奪い受肉したことで、リソース制限のない現実世界を知ることになった。その中でも一部のリトルは、ゼウスから離反し現実で人間としての生活を謳歌することを選んだ。なお彼らの離反がゼウス内部の不満を煽る結果となり、組織が崩壊する原因となっている。
ヘロスは、そんな彼らの俗称であり、特定の組織を指す言葉ではない。そんな彼らだが、電脳世界から現実世界への侵攻を察知し、楽園である現実世界の崩壊を危惧する。そして電脳世界からの侵攻によって起こる人体への影響を電脳障害という名称で公表。プロメテウスの設立に関与している。
ただし、これは一部のヘロスの独断による行動であり、自分たちヘロスもまた電脳障害とみなされる危険があるほか、電脳障害の治療を受ければリトルの人格が消滅するというリスクがあり、不用意な行動にヘロス同士の間で対立が起こる原因となった。
・プレイヤー
自己犠牲によって成り立っていた後期の人間によって運営されたゼウスだったが、非効率かつ自己犠牲を厭う構成員たちが離反。新たにパンドラという組織が編成される。
そのパンドラによって、神獣たちを牽制し研究を円滑に進めるために巻き込まれた一般人たち。
一万人ほどが巻き込まれたが、その過半数はプロメテウスにより救護された。しかしパンドラの妨害により数百人程度のプレイヤーは現在も電脳世界に囚われている。
神獣はパンドラ構成員もプレイヤーも等しく現実世界からの侵略者であるとみなしており、プレイヤーは神獣をゲームクリアもといログアウトに関係しているであろう討伐すべきボスモンスターであると考えているため、お互いパンドラの思惑通りになっていることも知らずに交戦している。
・NPC
パンドラが洗脳した原住民たち。そのため神獣は彼らを攻撃しない。
・アンブロシア
ゼウスとは違うアプローチで電脳世界のリソース不足の解消を目的として活動し、同時に現実世界の危機を電脳世界の技術を用いて解決しようとする組織。
現実世界と電脳世界の融和を目的としているが、悉く失敗に終わっている。
本来は阻止する予定だったセカンドプラネットの発売だが、それも失敗に終わり、現在はセカンドプラネットによって起きた騒動を利用して、一般人の中から有能そうな人物に目星をつけ、パンドラからの保護や、神獣による殺害からの保護を行っている。
ただ、リトルやプレイヤーの精神体の蘇生技術を保有していることや、度重なる失敗によって生死観や感情が歪み、融和を目的にしていながら、過去の作戦の失敗の原因となった勢力への恨みを持っていたり、躊躇いなく異常な行動をとる者もいる。




