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サイドストーリー:主犯勢力編第1部
主犯の1人は、事件現場を訪れていた。
できる限り危険を冒さずにセカンドプラネットを手中に収める。それが彼らの目的だ。システムメンテナンスと称したエリア封鎖のように、他のプレイヤーやNPCから干渉を受けない措置の下でしか活動しない。……通常は。
ハルトに接触した主犯の1人のように例外もいるが、大半はそういった思考で動いている。
そんな彼は、戦場跡であるものを探していた。
「……ない。戦闘を行ったNPCの残骸はあるが、それ以外に何もない。運がいいのか感が鋭いのか。この短時間で持ち出されたらしいな。となると、この廃棄物から果たしてどれくらい情報を引き出せるか次第か」
そういって彼はアンダイングが消滅した地点でスクリーンを展開。何かの処理を行うと、そのエリアにあったデータの残滓が彼の手に集まっていく。
変化が収束したころ、彼の手には1つのオーブが握られていた。
「この情報を使わなくても、短時間で移動できる距離などたかが知れているか」
そうしてオーブを入手したあと、ふと気づいて追加でスクリーンを操作する。すると数体の無機質なアバターが出現し、周囲を探索するために散会する。
労力を払ってまで求める遺物。それは彼らが求めるセカンドプラネットを掌握するための鍵。あるいはそれに繋がるヒントだった。それだけ重要なもののため、巧妙に隠され、主犯たちの力ではその存在を知るのが限界であり、検索をかければ場所が出てくるという都合のいいことは起こらなかった。だからと言って広大なセカンドプラネットの世界を低スペックで不完全な探索しか行えない無人機での捜索は非効率であるとされ棄却される。
その後に用意された案。それが今回の騒動を引き起こすきっかけ。プレイヤーという無自覚な先兵を使い、セカンドプラネットの隅々まで捜索の手を広げるという計画だった。
はじめはセカンドプラネットの存在を公表するのかと反対意見も出ていた本案だが、これ以上何も成果が出ない状態が続くのは好ましくない。結果として計画は実行に移された。
そんな計画に成功の兆しが見えた。プレイヤーのアバターに仕込んだビーコンが反応し、情報を発見したと報告が入ったのだ。しかしいざ反応があった座標を封鎖し探索してみると、すでに情報は誰かの手によって持ち去られたあとであった。
主犯はそのことに強いいら立ちを覚えた。というのも、彼らはセカンドプラネットのデータ資源はすべて自分たちのものであるという思想を持っている。だから彼らがたとえ労力を払わなくても、目的のために呼び込んだプレイヤーに何も事前説明をしていなくても、この場所にあった情報の所有権が自身のものであると疑わない。良識のある人物ではそうはならないだろうという思考ロジックではあるが、その前提を踏まえると情報を持ち去られたことを奪われたと感じるのは自然な流れだった。
そんな彼は、オーブに収集した情報を解析にかけ、情報を持ち去った人物の居場所の特定を行おうと本拠地に戻るのだった。




