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c-01

 これは、ヒュドラーの再封印後、戦闘服を着た兵士のようなアバターがセカンドプラネット内に大量に送り込まれてきたときの話になる。


 低レベルでヒュドラーの瘴気を浴びたプレイヤーがいた。

 彼はヒュドラーを眠りから醒ました張本人であり、リスポーン地点が1つ消失するかという危機を作り出し、多くのプレイヤーに恐怖を与えた人物だった。

 しかし彼の行動によって事態は動いた。目覚めたヒュドラーという存在はセカンドプラネットのシステムに多大な負荷をかけ、その結果としてセカンドプラネットのシステムに救出隊を送り込むだけの隙が生まれた。その結果、外部が観測している範囲内で8割のプレイヤーが救出隊によって回収された。ヒュドラーに挑んだプレイヤーやシキというイレギュラーがいなければ救出隊が間に合わなかった可能性も高く、上手くいったのはただの結果論でしかないため手放しに彼の行動を褒めることはできないが、それでも彼が今回の救出劇の影の立役者だったことは違いない。


 そんなとあるプレイヤーだが、当人は呪いのよってグズグズに溶け、モンスターと見間違われるのではないかという姿で地面を這いずりまわっていた。彼をプレイヤーの1人として識別し、回収することはできるのか。不安に思われたその救出劇だが、結果を言えば成功した。

 救援に駆け付けた戦闘服を着たアバターを前に、急に抱えられた当人は困惑しもがいたようだが、抵抗できずにゲートに押し込まれ、無事に肉体へと帰る。


 なぜ通常のプレイヤーから逸脱した彼を救出することができたのか。それは今回送り込まれたアバターは自立したAIだったことが理由となる。そしてプレイヤーかどうかを判断するのはデータで識別されており、容姿や言動は基準に含まれていなかった。

 無理に人間を送り込んで、途中で潜入を妨害されて精神を破壊されたり、入ったはいいものの帰還するためのパスが閉じられ、セカンドプラネットに閉じ込められては間抜けもいいところだ。ということで無人で救助活動が可能なAI搭載型のアバターが使用されるというのは自然な流れだろう。

 しかし被害者をこれ以上増やさないためとはいえ、人命救助をAIに一任するというのは大きな決断だったのだろう。それだけ高度なAIを造り出す技術も、そのAIが十分な能力を発揮するために必要な機材も簡単に揃うものではない。むしろ没入型で現実と大差ない体験が可能なVR技術が確立された時代においても、それほどの技術の存在は公表されていない。


 ハルトがNPCの人間味のある反応に驚いたように、セカンドプラネットの技術水準はこの時代においても異常なほど高かった。


 セカンドプラネットのシステムを掌握している陣営と、その運営を妨害した勢力。その2つの対立は、火種となって多くの人を巻き込もうとしている。


「っ、はぁ、はぁ……俺、無事なのか?」


 VR機材を吹き飛ばすように目覚めた男は、自分の腕を、体を確かめるようにペタペタと触り、そして安堵したようにため息を吐く。

 彼がヒュドラーを目覚めさせたプレイヤー。ゲートに無理やり押し込まれる形で現実に戻ってきた彼の意識は混濁していたが、だからこそ一刻も早く現実の感触を確かめようと奇人変人にも見える動きで自分の存在を確かめた。


「あれは、悪い夢だったのか?」

「いいや、君が記憶していることは、間違いなく君の身に起きたことだ」


 返事があるはずのない独白。自分しかいないはずのベッドルーム。投げ飛ばしたVR機材の違和感。安堵で目を覆っていた手を放したら、病院の景色でも広がっているのだろう。誰かがいるのは病院だからだと、背筋を伝う冷や汗と、激しくなる呼吸を落ち着けようと深呼吸して、目を開ける。

 しかし目を覚ました直後であっても自分の部屋を見間違えるはずがない。そこにあるのはVR機材を着ける前に見た見覚えのある場所。

 誰かが自分の家に侵入している。そのことを察した彼は後ろを振り返り、声の主の正体を確認しようとするが、それよりも先に頭の上から袋を被せられる。


「君には悪いがこちらも仕事なんだ」


 袋の中でじたばたと暴れるが、相手の力は想像以上に強くあっさりと袋詰めにされた男は、そのまま部屋を連れ出される。

 せっかくゲームから抜け出したと思えば誘拐されてしまう。一体彼がなんの目的で自分を連れ去るのかわからず、これから自分が何をされるのか。彼はただ恐怖に体を震わせることしかできなかった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あ [一言] 魔族?の意識が出てきた辺りから思っていた話動画違ってきたので読むのを辞めました
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