第十二話 あの日見た花
「あれは……」
「なんでしょうね? あれ?」
私の言葉に続いて隣でアーロンが呟く。
空に浮かぶあのキレイな光。
あれは間違いなくフェイトが昔見せてくれたものだ。
私が小さい時に夜に駄々をこねて
「キレイなお花が見たい」
って言っていたら魔王の討伐に向けた話し合いに来ていたフェイトが私の声に気付いて見せてくれた魔法。
『わぁ! きれいな火の花!』って言ってたら『これは花火って言うんだよ。本物とちょっと違うけど』って言って教えてくれた『花火』という魔法。
フェイトは本物ではないって言ってたけど私はあんなキレイなもの見たことがなかった。
そして「わがままお嬢様にプレゼント」って言ってほほ笑みながら言ってくれたその顔は小さかった私の心から離れなかった。
だから、見間違う訳がない。
でも、なんで今?
昼だからってわけじゃないけど今する意味はない……もしかして!?
「アーロン!! 急いで砦の外の様子を確認してくれる!?」
「ファリン様どうされたのですか?」
「いいから早く!」
「は、はい! おい! 外の様子を確認して来い!」
「はっ!」
近くにいた騎士が、返事をして向かう。
先ほど魔物を退けた事もあり見張りは手薄になっている。
さらに、フェイトが見張りをしてくれると言っていたので、私の指示によりフェイトについての話し合いをしようとした為見張りの兵士もこっちへ向かっている。
もしかしたら、あれはフェイトからの合図なのかもしれない。
私が胸騒ぎを感じていると様子を見に行った騎士が走って戻ってくる。
「アーロン様! ファリン様! ま、魔物の群れが迫っています!」
「なに!? フェイトが見張っていたのではないのか!? まさか裏切りか!?」
「そんな訳ありません!! もし万が一仮にそうだとしたら合図なんて送らないはずです! 何か訳があるはず……。 何があったかは後でフェイトに聞くとして今は魔物の群れをなんとかするのが先決です!」
「そうですね……おい! 皆で迎え撃つぞ! 各隊配置につけ!」
アーロンの声によって騎士たちが戦闘の準備に入っていく。
でも、フェイトに何があったんだろう。
頼りすぎるのは良くないけど魔物の群れとはいえ、フェイトのあの力なら問題はないはず。
フェイトに何かあったんだろうか……。
私はその光景を眺めながらフェイトの無事を案じた。




