唐突に始まる代理戦争
大きく息をして、腹の具合を確かめる。
ヘソの辺りがとても痛い、当たり前だ、針で刺されたのだ。
痛くなかったらマゾだ、それ以外考えられない。
アイアンメイデンに刺されて気絶していたら、いつのまにかベッドの中であった。
アイアンメイデンかウンディーネのどちらかが運んできたか、それともどちらともが運んで来てくれたのか、二つに一つだろう。
ベッドの中で、今日一日を振り返る。
朝起きたら親父が居て、それでアイアンメイデンを連れてきたらかわいいアイアンメイデンになってて……
それで代理戦争を知って、郵便局に言って公正人の所に行って、それで代理戦争を行うことを決めて………
家に帰ったら水の精霊に魔力を奪われて………
信じられるか? これ今日一日の出来事なんだぜ?
俺は苦笑気味に笑って大きく仰向けになる。
天井の染みは多くて、殆どが化け物みたいな顔に見える。
―――、あれ? 何かおかしいぞ?
天井の染みは普段俺が目にしているものだ、それでも、見た事がないシミがある。
まるで蜘蛛の様な、目が八つあって、口元にクワガタの様な鋏がある。
「―――、」
あぁ、これはもしかして…………
心の中でカウントを始める、そのシミを不意を付くように、細心の注意を払って。
1,2の、…………さ
「主嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼!!」
甲高い響きと、口元が大きく開く。
天井のシミは消え、変わりに大きな怪物となる。
六本の腕と二本の足、それはまるで、先程行った蜘蛛に似ている。
いや、なんでそんな冷静になってんだ。
先程までの修羅場よりも怖いぞ、これは。
俺は歯を噛んでベッドから飛び起きる。
そうだよな、始まりの合図なんてないよな、だって、殺し合いだしな。
くそ、でも始まったのか、代理戦争。




