ピチャピチャ(意味深)
二枚の御札はどうやら『封護』のルーンが書かれた紙らしい。
それを体に身につけると、どんな攻撃も一度までなら無効に出来るという優れもの。
しかし攻撃の判定は緩く、タンスに小指をぶつけるだけで『封護』が発動してしまうらしい。
使い勝手が悪い能力でもあり、使い所を見極め無ければならないお札である。
「しっかし、最後の贈り物が意味分からんのだよなぁ………」
俺が手に持つのは液体の入った瓶。
液体は無色透明で振るとピチャピチャと瓶に液体がぶつかる音がする。
「…………一応、何かしら試してみるか」
俺は瓶の蓋を開けて、液体を掌に零してみる。
プルプルとして、ゼリーの様な感触のそれは、俺の熱で溶けて行く様に見える。
………あれ? 何だか体が重い………。
この感覚は、郵便局でアイアンメイデンに魔力を移した様な感覚と似ている。
―――ま、さか。この液体に、俺の魔力が吸われているのか?
だとしたら不味い、これ以上吸われたら意識が途絶える!!
何とか振り払おうとして、液体が大きく宙を舞った。
俺が振り払ったのではない、液体自身が飛んだのだ。
ピチャ、と地面に着地をすると、液体は転がる様に動き、リビングから離れる。
俺は重い体を動かして、その液体を捕まえようとする、が、体が思うように動かない。
傍から見れば俺が液体に付いて行く様に見えるだろう、如何にも間抜け面な顔をして。
瞼が重い、肩が重い、足が重い、手が重い、全身が重い。
体を動かす全ての筋肉が労費している、早くあのドリンクを見つけださなければ。
廊下辺りで、動く液体を捕まえ様とするのを止めて、俺はリビングに戻ろうとする。
しかし、もう遅かった、体全体は大きく唸りを上げ、足に力が入らなくなり、四つん這いになる。
せめてその格好で進もうとしても、一歩踏み出すたびに手が地面に投げ出され、そのままバランスを崩して仰向けになる。
アイアンメイデンに格好つけて魔力を注ぐんじゃなかったと、後悔しながらも、やはりそれでもいいかと思い、一人納得する。
このまま死んでしまうのだろうか、そう言えば、魔力が無くなればどうなるのか、誰にも聞いた事が無かったな。
そんな事を考えながら、俺は眠る様に意識を落とした。




