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第12話 黙らせ方

 「なんなんだ! 帰ったんじゃないのか」


 予定外の事態と味方の死によって混乱に陥ったガインらゴロツキ一同は、当初の目的を忘れてしまっていた。


 「ようこそ、皆さん。今日はどのような御用向きでしょうか?」


 ジョンはM1905を構えたまま、角に追いやられたゴロツキ達に微笑んだ。


 「いったい、俺たちをどうしようっていうんだ?」


 ゴロツキを代表してガインが、ジョンに向かって尋ねる。


 「人の店に勝手に入っておいて、そんなこと聞くなよ」


 「くっ!」


 「まぁ、安心しろよ。逆らわなきゃ、これ以上の死人が出ることはないって」


 ジョンがそう言って、彼らの前に地図を差し出した。


 「お前らが集金した金をどこに備蓄しているか聞きたいんだが、教えてくれるか」


 「なぜ、お前なんかに!」


 ガインが反抗すると、ジョンの持っているM1905が火を吹き、もう一人のゴロツキを撃ち殺した。


 「拒否権があるとでも思うのか? 逆らっていい立場じゃないんだよ」


 「おい! 大丈夫か!」


 「動くな!」

 

 倒れた味方に駆け寄ろうとしたゴロツキを、ジョンが抑え込むように怒鳴る。


 「主導権はこちらにある。貴様らに残されているのは、正直に話すことだけだ」


 「クソッ!」

 

 ガインが渋々と、地図の一点を指さして示した。


 「だが、もうないであろうな」


 「どういうことだ?」


 ガティールがすごんで前に出るも、ジョンが軽く考えた後に彼を止めた。


 「落ち着け、ガティール。ただ、こいつらがただの下っ端ってだけのことだよ」


 ジョンはガインに銃口を押し付けると、そのまま外へと連れて行った。


 「貴様らの集金は、何時に来るんだ?」


 「さぁ。何時だったかな?」


 「おいおい。あんまり怒らせるなよ。弾だってタダじゃないんだからさ」


 ジョンは持っていた銃のグリップエンドでガインを殴り飛ばした。


 口の中が切れたガインは、血を流しながらジョンの方を向くと、含んでいた血を吐きつけた。


 「おまっ……せっかくの一張羅が、台無しじゃねぇか」


かかった血を気にするジョンの姿を見て、ガインの顔に余裕が出たものの、ジョンが次にとった行動により、その表情は苦悶へと変わった。


 ジョンは、ガインの膝の皿に向かって踏みつけるように蹴りを加えた。


 ガインの膝は、曲がってはいけない方向に「ボキッ」という音を立てて折れ曲がり、立っていられない状態になった。


 「アガァッ! 足が……!」


 「痛がるなよ。話ができないじゃないか」


 痛みで横たわるガインの髪を掴んだジョンは、そのまま引きずり上げると、薄ら笑いを浮かべて話を続けた。


 「教えてくれなきゃ反対もへし折るぞ。どうする?」 


 「わ、分かった。教えるよ……」


 震える声で答えたガインが指した場所に、ジョンが地図へ印をつけた。


 「合言葉とかあるか?」


 「え?」


 「いや、いいよ」


 ジョンはそう言ってガインの頭に銃を構えると、そのまま引き金を引いた。


 ハンマーが落ちるのと同時に、彼の頭から脳漿と赤黒い液体が飛び散った。


 「ご苦労さん、クズ野郎」


 ジョンが店の中に戻ると、怯えきったゴロツキ達の視線が彼に集まった。


 「安心しろ。あんた達のリーダーが責任を取ってくれたよ。お前たちの命までは取らねぇ」


 ジョンの言葉に、ゴロツキ達は安堵からヘナヘナと崩れ落ちていった。


 「帰りたきゃ、帰っていいぞ。ここを溜まり場にしないのならな」


 ジョンの言葉に、何人かはふらついた足で出口に向かって歩いて行ったが、ウェアキャットだけがその場に留まっていた。


 「お前は帰らないのか?」


 「私には行く宛がないの」


 ウェアキャットの答えに、ジョンは少し考える。


 「お前、名前は?」


 「キャッシーです」


 ジョンはしばらく彼女を眺めた。


 「お前、行くところがないんだったら俺に協力してくれよ」


 「何をすればいいの?」


 「難しいことは言わないよ。ちょっと道案内をしてほしいだけなんだ」


 「わかりました」


 承諾したキャッシーを仲間に加えることになったジョン達は、隠れていたクラレット・シュナウを呼びに向かった。


 「終わったぞ」


 「え? ええ」


 何も聞かされていないクラレットは、おどおどしながらジョンに付いて行くと、そこで繰り広げられた惨状を目の当たりにした。


 「嘘! 彼らを殺したの?」


 「全員じゃないがな」


 「なんてことを・・・・人殺しなんて・・・・」


 唖然とした表情で呟くクラレットに対し、ジョンが釘を刺すように答える。


 「なら、金を吸い取られ続けている方がよかったか?」


 「いや、でも殺すなんて・・・・」


 「奴らはあんたを殺る気だったぜ」


 「そんなこと・・・・」


 ジョンはクラレットの前に立つと、彼女を背後の木までジリジリと追い詰めた。


 木に押し付けられたクラレットに、ジョンは覆いかぶさるように顔を寄せた。


 「命のやり取りをしてる奴に向かって、そんな目をするなよ。お前を助けてやったのに」


 「それは、感謝しているけど・・・・」


 「なら、そんな顔で俺を見るな」


 「ちょっと! どんな顔してるって言うのよ!」


 顔を赤らめながらクラレットがジョンを突き放すと、そのまま家へと走って帰っていった。


 「あらら、つれないことで」


 ジョンがそう言って店へと戻って行くと、ガティールとキャッシーが死体を片付けていた。


 「おい!お前ら何してんだ」


 「え?店二死体がアルのはマズイだろ」


 ジョンに止められたガティールは、何かあったかのように振り向いて答えた。


 「何言っているんだ。こいつらの光物を外せって言ってるんだよ。もったいねぇ」


 ジョンは、そう言ってしゃがみ込んむと、目の前にある死体から指輪やバックルを取り外し始めた。


 「お前らも外すの手伝え」


 こうしてジョンは、二人にも手伝わさせると、死体からの装飾品を外させた。


 

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