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魂粥術師(こんしゅくじゅつし):陰陽六氏とエクトプラズマーズ  作者: 金澤 弥芳


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18/24

18 忍ばずの3ニン

楽々が振り返ると、血泥にまみれたタケルの顔がそこにあった。

「タケル・・」

タケルの身体は発光したモヤに覆われている。

「俺の女に手を出したヤツは残らず、ブツギリにして、生首団子3兄弟にしてやっからよー」

楽々はタケルの脛を蹴り、

「何を偉そうに。誰のせいでこんな目に合ってると思ってるバカ」

「今、姫の窮地を助けるヒーローの登場シーン何だから、格好つけさせろよ」

「黙れ、ちんちくりん。お前の女じゃねーし」

「いずれはそこに収束する」

「格好つけんなバカ」

タケルは、人差し指を立て、シッ。静かにのポーズ。

「こんなウザイヤツに借りを作るのは最悪だし」

と、楽々が飛び出そうとするのを制し、

タケルは、メス幹部に向かって地面を蹴り推進する。

しかし、原始ちゅうるんが2匹、蛇行し距離をつめてきた。

タケルは、なめらかさに動きながらも要所要所に爆発的な打撃で顔面をとらえ、シャリンシャリンと鱗が舞っていく。

やはり、忍者は人との一線を画す

瞬間的に確認できるタケルの両目の周囲は異様に血管が浮き上がっている。

眼球を動かす筋肉が恐るべき発達をしているのだ。

眼球の動きも眼振のように速い。

表情がややグロテスクである。

チーゴナーがアイマスクをしている理由の一つに見た目の問題もあるのかもしれない。

「タケル、魂粥を回せるようになったの?」

「まだ1/3ってとこだが、すぐにチーゴナーになってやっから。」

楽々も、この姿は嫌なのよねと、目の周囲に血管を剥きだし、原始はちゅうるんに白金の魂粥玉をヨーヨーのようにうしてブチ当てていく。

玉臣は、ブレイキングダンスのように、回転しながらまばゆい蹴りをバシバシ当て、地面に落ちる鱗の量が増えていく。

この3忍強いのかも。

烏崑の胸が高鳴る。

タケルは、さんちんの構えから、襲い掛かる原始はちゅうるんの懐に入り込み、鳩尾を掌底で突き上げた。

すると、原始はちゅうるんは嘔吐するように口から胃袋がビロンと広がった。

その胃袋がタケルの身体に貼りつき巻き込み、原始はちゅうるんの顎が外れ、そのまま呑み込まれていく。

シンとした1秒後、中から爆発し、原始はちゅうるんの半身が吹き飛び、顔を出したタケルは、原始はちゅうるんを脱ぎ捨て、

「オッシャー!」

と雄たけびを上げるなり、眼前にしなる尻尾のムチ。

メス幹部である。

タケルは咄嗟に全身を硬化しながら、跳び退くが、間に合わない。

尻尾の先端が上からタケルの口を捕らえ、唇が縦に割け、閉じてある歯が剥き出しになり、そのまま、胸から腹にかけスパッと斬られ、着地と同時に、背部からオス着衣がタケル蹴りつけ、腸がこぼれ落ち、慌てて、腹に納める。

「タケル!」

「舐めるな。蛇どもと一緒だと思うな」

タケルは地面にM字に座り込み、半眼で動きを見せない。

腹腔から尋常でない出血が流れ落ちている。大動脈でもブチ切れたか。

みるみる血色が失われていく。

楽々と玉臣も新たに到着した着衣「はちゅうるん』を前に歯が立たない。

数々の尻尾に叩きのめされ、楽々に続いて玉臣もバッタリと倒れ込み、地面にバウンドした。

着衣『はちゅうるん』はもとより身体能力がバグっているが、それに加えて自身の身体の使い方も熟知している。

元より勝ち目などない。

「なんだお前は?」

タケルにとどめを刺そうと尻尾を振り上げようとしたメス幹部の尻尾を烏崑が握っていた。

「バカか、逃げろ」

楽々が息も絶え絶えに呟く。

「烏崑・・」

玉臣も呟く。

メス幹部が尻尾に力を込めるが烏崑はずっしりと動かない。

「力だけは何故かあるんだよね。野獣モードのトリガーはこれであってくれ」

烏崑は、ポケットにあったスピッツを齧り割り、破片ごと嚥下した。

血液特有の鉄の味がする。

頼む。何か起こってくれ。

・・・・・・・。

ダメだ。あの時の絶頂感の予感すらしない。

・・・・・。

ダメらしい。

着衣のオスが烏崑に尻尾で打撃を与えると、烏崑は卒倒した。

烏崑が後頭部を打ち付ける間際、楽々がスライディングして烏崑の頭を守った。

「何であんたが、出てくんのよ。バカ。早く逃げて」

楽々ははちゅうるんの前に立ちはだかり、烏崑を逃がそうとする。

だが、膝が震え尻もちをつき、そのまま、烏崑の肩を枕に仰向けとなる。

楽々と烏崑にとどめを刺そうと近づく進化はちゅうるんに、玉臣が魂粥玉ヨーヨーを連打した。

ふいを突かれた『はちゅうるん』は顔面の鱗でガードするも、鱗と眼球が飛び散り、

「この猿どもが」

と、玉臣に襲いかかった。

粉雪が舞いはじめ、視界がはっきりしないが、玉臣が進化はちゅうるん相手に善戦している音がする。

烏崑がの肩に楽々は頭を乗せたままである。

楽々の荒い息遣いを感じる。

烏崑はふと横を見ると、楽々の唇があり、血が滲んでいる。

「楽々、こんな時に変な事言ってごめんだけど、キスしてくれない?」

「は?な、何言ってんの?」

「血とキスが僕の眠っているものが目覚めさせるトリガーかもしれない」

「は?」

「ごめん、早く」

楽々は仰向けのまま、烏崑の唇を見つめる。

「な?そ、そんなのした事ないし」

玉臣は、尻尾をぶち当てられ、吹き飛ばされ、タケルにぶつかる寸でに、片手を光らせ、地面を突き、角度を変え、タケルの顔面に手が当たる程度ですんだ。

タケルは首を後屈し白目を剥いている。


楽々は、まだ烏崑の唇を見つめている。

「唇をつけるだけでいいから」

「そんな事言ったって」

・・・・・・・・・。

「もう!」

楽々はむぅと目を瞑り、キスをしたが、目測がズレて顎だったので、唇にキスをし直した。

むぅ・・・・。楽々はやめどきが分からず、しばらく鼻呼吸をした。

分厚い唇はとても柔らかく温かく、血の味がした。

「これでいい?」

楽々が唇を離す。

烏崑は鼻腔からスーッと息を吸い込み、脳天に駆け抜ける何かを待った。




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