13 イカれる老い人(おいびと)とタケルのテポドン
ボウシという名前はダブルミーニングだったのだなという余韻を残し、烏崑は閉まった扉を睨みつけ、
「おい、じじぃ!」
あいっつ腹立つ。
またガバッと扉が開き、
「そうそう、もし困ったり、心肺停止あったら、『著変あーりー』と叫ぶと自警団が駆け付けてくれるから頼って下さい」
「ちょ待ッッッ」
バタン。
烏崑が扉を開けるとボウシの姿は既になかった。
あー、もう意味分からん。
ボウシみたいなのが参戦したところで、戦力にならないでしょうが。残っていなさいよ。
いいや。もう何もしない。30分ここから1歩も出ない。
烏崑はソファに腰を沈め、背もたれに寄り掛かったが、落ち着かない。
前のめりになり、顔を覆った。
ズダダダダダダン。
・・・・・・。
硝煙のにおいがふと鼻をかすめる。
いやいやいやいや・・。
烏崑は、リュックから人魚のミイラを取り出し眺めてみる。ミイラとはいっても恥じらいはあるようだったので、干からびた二つの突起に備品の丸シールを貼ってやった。
逆に卑猥なのかもしれないがまぁいいや。
あれから、こいつはスンとも言わない。
心臓に耳を当ててみると、
ズドン!
足元から何かが爆発したような地揺れがあり、テーブルのペンが床へ転がった。
地下があるなんて聞いてない。
続く音に耳を澄ますがシンとしている。
ん?遠くでナースコールが鳴っているような気がする。
どうしよう。
ナースステーションに行って、ナースコールを受けに行くか?
いやいやいやいや、死ぬって。
でも、歌舞伎町だからって、まともな老人もいるかもしれない。単に転倒して骨折して血を流して困っていたりするかもしれない。
普通の老人がいるとして、こんな施設怖くて仕方ないだろうに。
いや、関係ない。他の事を考えよう。この人魚の胸のシールを貼っているのはやはり不自然だろうか。
いや、でもあの時恥じらっていたようだったしな。
丸シールを付けたり剥がしたりしていたが、ナースコールが気になる。職業病なのか。
烏崑は軽く舌打ちをすると、人魚のミイラをリュックにしまい、ドアの前に立ち、意を決しドアを開けた。
え?
薄暗い廊下を浴衣のような病衣を着た爺さんと婆さんが睨み合っていた。
爺さんは鎖鎌を回すように、蓄尿バッグをブルンブルン回している。
蓄尿バッグとは、排尿障害のある人に、膀胱と蓄尿バッグに管を通しておしっこが自動で溜まるようにしているものである。
黄色い尿がタプンタプンしている。爺さんの名札には『よしお』とある。
婆さんは両手を後頭部に組み、腰を奇妙に捻り回し、これまた腰の前で蓄尿バッグが扇風機のように円を描いている。
名札には『みさき』とある。
烏崑はドアをソッと閉める。
え?なに?状況が全く分からない。
いやいや、何かの間違いだろう。
忘年会の出し物の練習だろうか。それにしては何か殺伐としていた。
それにあの出し物のどこに需要があるのだろうか。
いや、何か見間違えたか。現実的にあり得ない。
烏崑はドアをソッと開ける。
ガビーン。
全く同じ光景が広がっていた。
よしおとみさき。ブンブンとお互いの蓄尿バッグを回している。
そして少しずつにじり寄り距離を縮めていく。
ガビーン。
ボウシのガビーンの由来はコレか。コレなのか。
蓄尿バッグのチューブの長さがやけに長く、伸縮性がある。そして尿バッグの中にトゲトゲした重石が入っている。戦闘用にカスタマイズされているのだ。
よしおはどことなく柄本明に似ている。
ブルンブルンブルンブルン。
みさきは長い白髪をざんぎり頭にした夏木マリといったところか。痩せているが筋肉質である。
キエエエエエエエエエエ!
みさきが腰をクイと捻ると、尿バッグがよしおに飛んで行く。
よしおはチューブを手放し、マトリックスのようにのけ反り、尿バッグをかわす。
そしてそのままブリッジをして、股間の上でヘリコプターのようにチューブ付き蓄尿バッグを回す。
そのまま離陸するのではと烏崑は接地面に目をこらした。
よしおは腰を動かしながらみさきに近づいていく。実に気持ち悪い動きである。
よしおの目がキラリと光り、腰をひねらせ、蓄尿バッグは蛇行させながらばばぁの顔面をとらえるその刹那、ばばぁは咄嗟に蓄尿バッグにモンゴリアンチョップ。
しかし狙いは外れチューブに。
打撃点を支点にチューブが腕に巻きついていく。
よしおは凄まじいチン力で、一本釣りのようにすると、絡めとられたばばぁは、後頭部を床に打ち付け、そのままM字開脚で床を引きずられていく。
よしおがブリッジから立ち上がったところ、みさきは両腕をバネに、よしおの首元に両足で飛びつき、フランケンシュタイナーで、床によしおの顔面を叩きつけた。
フラ~っと立ち上がったよしおに畳みかけるみさき。
春麗のスピニングバードキック、あの、逆さまになって、足をクルクル回転させるやつである。
アレにプラスして、股間から出ているチューブで3本足となった、秘技トリプルスピニングバードキックである。
ボコボコボコ。
よしおの顔面がひしゃげていく。
みさきはついに仕留めにかかった。
膝立ちで戦意喪失のよしおの正面で、腰をクイと捻ると蓄尿バッグのチューブは鋭く線となり、よしおの首にクルクルと巻き付いていく。
よしおの顔はみるみる青くなっていった。
そしてあっという間によしおのゲージがゼロになった。
みさきは踵を返すと、北棟へ戻っていく。
ズルズルズル・・
じじぃが引きずられてゆく。
烏崑は非現実的すぎる光景に、唾液が出ない。カスッカスの声で、
「あ、あの、おばぁさん」
ギンッ
恐る恐る声をかけてみたが、凄まじい目力で睨まれた。
つい心臓が肺の後ろに隠れる。
助けを求めようと、人影に声をかけようとしたが、落ちているかりんとうのようなものを拾い喰いしているばばぁだ。
「あの・・・」
ばばぁは、「見つかってもた」とかりんとうのようなものの残りを全部口に詰め込む。
じじぃがひきずられていく。ズルズル・・・
行ってしまう。
老人施設ってこんなんじゃないよな。絶対おかしいよな。おかしくあってくれ。
いや、そんな事はどうでもいい。引きずられているじじぃは間違いなく心肺停止している。
そういえば、自警団が助けてくれるとか。何だっけ?何て言えばいい?
「す、スタッフ~、スタッフ~」
カスッカスの声しか出ない。
もぐもぐもぐ。新しく見つけたかりんとうだと思っているものを渡そうとしてくるばばぁ。
「い、いやいらないです。いらないですって」
そうだ。思い出した。
「ちょ、ちょちょちょ、ちょへんあーりー。ちょへんあーりー」
烏崑の声が館内に反響する。
かりんとうばばぁはまだ付きまとう。
「いや、いらないですから、そもそもそれかりんとうじゃねーから。それにそれどころじゃねーし、あっこでじじぃが死んでっから」
上目使いに見つめるかりんとうばばぁの唇が紫色になってくる。喉詰まり・・・。
何やねんこの多重課題。
「えい」
烏崑は延髄チョップを食らわした。
ツポーン。
喉奥からかりんとうもどき(うんこ)が飛び出す。
この衝撃で吐き出すかあの世へ行くか半々だと思ったが、良い方に転がった。
「どうなされました?」
ワラワラと歌舞伎町自警団と書かれたタスキをかけた数名の老人が駆け付けてきた。
「何か事件・・」
パホウッ
タスキに『会長のユウジ』と書いたじいさんが口を開きかけるなり入れ歯が吹っ飛ぶ。
入れ歯を拾い、装着しようとするがはまらない。
・・・・・・。
ユウジは装着できていないのに喋り始め、入れ歯が飛ぶ。
パホウ。
・・・・・・・・・・。
「ユウジさん、その入れ歯、あんたの違うじゃろ。しゅきぴの加奈子さんのじゃよ。どれ、ワシの使ってみ。ぜったいシンデレラフィットじゃって」
と、タスキに『はると』と書いてあるじいさんが、自分の入れ歯をカポッと外し、ユウジに渡すと、ユウジはそれをそのままカポッとはめ、
「シンデレラ」
と目を輝かせる。
「ちょうど死んだ婆さんの入れ歯を舐めてるところに緊急コールがあったからついな。メンゴメンゴ」
「まったくユウジさんは加奈子さんが大好きなんじゃから」
ゆあと書いたばあさんが華やぐ。
ユウジは舌を出し、
「テヘペロ。はるとのランチはニラレバ」
「へいかい(正解)」
「じゃろ」
はるとは予備の入れ歯を着用し、
「こんな事もあろうかと予備を持ってきておいて良かった。ファインプレーじゃな」
「ん?予備をわしがもらえば良かったんじゃないか?」
と会長のユウジ。
「ちげーねー。テヘペロ」
「はるとと間接キスしちゃったじゃんよ」
「間接っていうよりもぅ、ディープね」
「テヘペロ」
わははははははは。
「ニラ臭い」
「テヘペロ」
わはははははは。
「テヘペロ」
「テヘペロ」
わははははははは。
烏崑はおそるおそる声をかける。
「す、すいません。よろしいでしょうか?」
「どうした」
「向こうでじいさんが死んでいまして」
じいさんを引きずったばあさんはだいぶ遠くへ行ってしまっている。
「なぬ?それを早く言わんか。ボケェ。どうすればいい?」
「どうすればって、あのじいさんの首に巻いたチューブを切らないと」
「拓海、こういうの得意だよな」
拓海と呼ばれる、襟足にだけ残る毛がロン毛のじいさんが、自分?と指を差す。
「そうそう、拓ちゃん、昔無免許カリスマ美容師だったじゃない、切っちゃいなさいよ」
「よ、無免許カリスマ美容師」
「え~、カリスマじゃないよカリズマだよ」
どうでもいいわ。
拓ちゃんは、紙パンツからハサミを取り出し、
「ムリだよみんなも来てよ。あの婆さんは北の3階だよ。ヤバいよヤバいよ。引きずられてるじーさんは南の3階だ」
老人達はワラワラと、
「拓ちゃんバチクソゴミ強いから大丈夫よ」
「ホント、見た目もゴミみたい」
「メクラチビゴミムシよりゴミだし」
「ゴミを通り越してゴミだしね」
「そうだね、ゴミが一目置くゴミだしね」
などと応援している風にディスられているが、
「あ、そっか、なら行けるかも」
と拓海は小走りで、ばばぁに追いつき、尿道から出ているチューブに両手で摑まり、トットットッと転び、真っ青なよしおと一緒に引きずられていく。
・・・・。
拓海は背中を引きずられながらチューブを手繰り、みさきの股間をのぞき込み、
「キヒヒヒヒ。履いてない」
とばばぁの股間を指さす。
どこにはしゃぐ要素があるというのだ。
烏崑は痺れを切らし、
「いいから、早く切って下さいよ」
拓海がよしおの首に巻きつくチューブを切ると、ビャッと水?が顔にぶっかかる。
みさきは構わず、行ってしまった。
顔の真っ青なよしおを取り囲む烏崑と自警団。
そして、指示をクレとばかりに烏崑の顔を覗き込む七人の老人達。
クレクレ・・クレクレ・・。
老人達の圧・・・。
途方に暮れる烏崑。七人の珍獣をコントロールして心肺停止のじじぃを何とかしなくてはいけない。
クレクレ・・クレクレ・・。
まずは心臓を押して、身体に血流を回さないと。脳に酸素を届けなきゃ、脳が死ぬ。
「会長さん、心臓をマッサージ」
ユウジ会長はとっさに自分の入れ歯をポイと投げ捨て、自身の口に手を突っ込み始める。
「いや、何をやってるんですか?」
「もご?」
会長は口から手を出し、
「ひんぞうのマッサージ」
「自分のじゃなくて、よしおさんの!」
「ふぇ?」
「それに喉に手を突っ込んで行く先は肛門ですから。心臓には出会いませんから」
「ふぇ」
烏崑は首を振り、僕がいけなかった。
病院ではテンパった医者が主語のない当たり散らすような指示で、スタッフの正常な判断を阻害し救命に時間がかかり、脳に障害が残す事がある。
烏崑はよしおの心臓マッサージをやって見せる。
「こんな感じでお願いします」
「ふぇ」
「はるとさんは紙に何時何分に何をやったか時系列で記録をお願いします。応接室にクリップボードとペンと紙があります」
廊下の壁のフロアマップを見ると、ナースステーション横に静養室というのがある。
きっとナースステーションに治療の物品はひととおりあるだろう。
「拓海さんとはるとさん、ストレッチャーでよしおさんを静養室に運びます。誰かAEDの場所は分かりますか?」
「以前に使用した事があります」
なんと普通の受け答えを出来る人がいた。
名札には『つむぎ』とある。
「助かります。つむぎさん、気を付けながらダッシュで静養室まで持ってきて下さい」
先に静養室に到着した老人達が腰をトントンしながら僕を待っている。
残念ながら僕は有棘骨病による全身痛で、老人達より遅いのだ。
到着するなり、再びユウジ会長に心臓マッサージを頼み、はるとさんに時系列の記録を頼み、ナースステーションで救急カートらしきものを探す。
病院でもないのに救急カートなどあるのだろうか。
あー、止められてたけど救急車を呼ぶべきだったかな。
あのうさん臭い『ボウシ』は手の平を返す可能性が、吐き気がするほどある。「何で救急車を呼ばなかったんですか?責任は全てあなたです」何て言われかねない。
あー。今からでも呼ぶか?呼ぼう。僕には手に負えない。
固定電話で119をプッシュし、耳に当てた直後、視界にヌッと手が伸び、フックスイッチを押され、電話が切れた。
「呼ぶなっつって言われなかったか?」
見ると、小柄な若い男が睨んでいる・・のか?目つきが悪いだけなのか?剣道着のようなものを着用している。ということは、
「魂粥塾の塾生さんですか?」
「ボンクラどもと一緒にするな。俺は奴らと格が違う。俺は百地健。じきにエクトプラズマーになる男だ」
エクトプラズマーとは魂粥術師の西洋での呼び名である。
『俺は海賊王になる男だ』みたいに。なんか痛いヤツのにおいがする。
この人は十数年後に今のセリフを黒歴史として振り返る事が出来るだろうか。
タケルは「あーめんどくせぇ。やっぱり北が兵器を送り込んできやがった」と、素早く倉庫のスライド式の扉を開き、救急カートを引き転がす。
「あのおばぁさんが、兵器なんですか?」
タケルは救急カートを物色しながら、必要なものをピックアップして雑に上に置いていく。
「北棟の大城組が南棟の赤嶺組に、昔の因縁だかでチョロチョロ仕掛けてきやがる。多分そのババァは認知のチーゴナーで、こっちに送り込まれた。運悪く能力を発動してりゃ、このじじぃはバラバラんなってる」
「北棟のスタッフもいないんですか?」
「ったりめーだろ。凄まじい数の獄獣が長野に出現した。こんなクソ施設に比べて優先順位は格段に上だ。バカ。3階の看護師チーゴナー達が緊急呼び出しで手薄になった隙をついて、大城組がババァを拉致ったんだろう」
「獄獣って人外の事ですか?」
「ったりめーだろ。バカ。塾じゃ人外なんて古い呼び方誰もしてねぇし」
救急カートを押し、現場に向かうと、はるとはクリックボードに挟んだ紙にサラサラと記録しては、片目をつぶり、ボールペンを持った腕を伸ばし、サイズ比を測り、またサラサラと描いている。
「何を書いている?」
タケルの眼光は鋭い。
「ヒャ、ヒャー出た。た、タケルが出た」
「タケル、タケルでござる」
「タケル注意報発令中、ウーウーウー」
自警団が正気を失い、右往左往し始める。
タケルは舌打ちをし、
「だから、はると、何を書いているか聞いている」
はるとは痙攣のように唇を震わせ、
「す、すいません。久しぶりだから上手く描けなくて・・」
「なぜ、描いていると聞いている。だってあの若ぼっくりが記録を描けっていうんだもの」
烏崑がはるとの描いているものをのぞき込むと、よしおの股間を詳細に描いている。
「絵を描く時は、中央から描くのが私の癖でして・・本人の尊厳の為に、もう少し、ここを猛々しく描いてさしあげた方が良いでしょうか?これじゃああまりにもみすぼらしい」
「この絵をどうする?」
タケルの青筋がピキと響く。
「え?遺影・・かな?」
「ちんこの遺影がどこにある!」
きょとん。
「きょとんじゃねーよ」
タケルは顔を真っ赤に興奮し、鼻息荒いが怒りを呑み込み、「あー、クソあちぃ」と額の汗を拭う。
烏崑は過呼吸気味のはるとの背中をさすり、
「記録というのは、何時何分に心肺停止して、何時何分にどういう処置をしてどういう状態でと書きます」
烏崑の背後から、
「言われた物をお持ちしました」
AEDを頼んでいたつむぎである。
あーよかった。このご婦人は唯一話が通じる。
つむぎがカードを差し出す。
「なんですか、これは」
「ETC」
「いや、ETCではなくAED・・」
「ABC?」
「AED」
「TBC?」
「それはエステティック」
「DNA?」
「デオキシリボ核酸・・・AED」
「BMW?」
「わざとですか?」
「あざとくないです」
唯一の希望が音を立てて崩れ落ちる。
ドンガラガッシャン・・・・・コロコロ・・・ツン・・。
トン・・・テン。
崩れ落ちる音をBGMに心電図モニターを準備し、事を察していたタケルがAEDを持ってくる。
「くそあちぃな。AEDは俺が貼っつけっからまずは服を脱がせろ!ぼーっと見てないで早くしろ有象無象のゴミども!」
自警団達はビクっとして、ワラワラとタケルの服を脱がし始める。
「貴様らゾンビみたいにワラワラと。俺のを脱がしてどうする」
「だって暑いって言うから。ほんじゃ、誰を脱がすんでしょか?」
タケルの上着を脱がそうとしていた沙奈がとぼけた顔で首をかしげる。
「よしおに決まってるだろう」
「だだだだって、よしお、下丸出しだし」
「上に決まってるだろう。股間にAEDを貼ってどうすんだよ」
心臓マッサージをしていたユウジ会長がピンとひらめく。
「ピンポーン、なーるほどAEDを貼ってEDが復活する。こりゃいけるかもしれん。久々に小生の息子が卍解するかもしれん。あとでこっそり・・」
「じじぃ、心の声がだだもれ」
「すみません!これはあとの楽しみにしてっと」
拓海はタケルのズボンを脱がせパンツに手をかけていた沙奈婆を制し、
「沙奈っち、違うんだって。沙奈っち」
沙奈は耳が悪いらしい。
タケルは構わず、よしおにAEDをつけている。
烏崑はさっきから腕をハムハムしてくるかりんとう婆さんを剥がしながら心電図モニターの電極を3カ所よしおに貼り付けていく。
ハムハムされた場所から便臭がふわっと香る。
絶妙に不快だ。
「ひゃーー!」
沙奈婆さんはタケルの露出させた股間を見て腰を抜かし、怯え、唇をわなわなさせている。
「テテテテテテテポドン」
シャーッ。沙奈婆のオムツの中で失禁している音がする。
はるとはゾーンに入ったかのように一心不乱によしおのちんこを描いている。
揺れるテポドン。
烏崑は心の中で2度叫んだ「ケイオース(カオス)!ケイオース!」
心電図は心室細動で乱れに乱れている。
タケルは、脱がされたズボンを上げようとして、AEDが消えている事に気付く。
「AEDはどこやった?」
心臓マッサージをしていた会長の姿もない。
息子の卍解を夢見るユウジ会長がAEDをラグビーボールのように抱きかかえ走っていた。
「つむぎと拓海で会長を追いかけろ」
20m先で転ぶゆうじ(会長)。
を追い越してつむぎと拓海はどこかへ行ってしまった。
・・・・・。




