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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 96「The Puppeteer who resented the world (世界を恨んだ人形師)」

特異課本部に人形に改造された元人間の兵士たちがなだれ込んだ。

本部中枢、武器庫、北門に謎の手口で侵入。

それぞれの場所にて妖狩エージェントたちが対処に当たる。


そしてサンフランシスコから戻った琥珀と雲雀は医務室に駆けつけ、雲雀は実の姉・天音に銃口を向ける。


「あら?どうしたの雲雀。物騒よ。」


「そうよ、天音さんを疑うなんて!」


「てめぇは黙ってろ!さっきぶっ倒した人形からアンタと同じ“音”がした…どういうことだ説明しろ!」


すると、ニコニコしていたはずの天音の表情が一変。目が座り、暗い表情になり、優しく母性に溢れた顔つきが180度変わってしまった。


「やっぱりアナタには勘付かれるのね…正直に言ってあげる。そうよ、人形たちをここに招き入れたのは私…。」


衝撃の事実に二人とも硬直してしまう。雲雀は手が震えながらも銃を実の姉に向け続ける。


「おい、ふざけろよ姉貴…嘘だよな、こんなことしないよな…?」

「さっきも言ったでしょ?私がやったのよ。」


「アタシたち…仲間じゃないの…?雲雀にとっての唯一血のつながった家族じゃないの?!」


すると、彼女はその言葉に反応し、開き直った態度をとった。

ベッドに座ったまま両手を広げて二人を見下す。


「私は最初からあなたたちのことなんて仲間だなんて思ったことないわ。

それに私、雲雀が生まれた時からあなたのこと嫌いなのよ…。」


「は…?」



           天音 21歳



彼女はこの世に生を受けた瞬間、この世界を呪った。

別に生まれたくて生まれたわけじゃない。

なんで自分が生まれなければならなかったのか、彼女はそれを一生の不満というのである。


歪な世界を呪った。特に誰かの生まれ変わりではない、純粋な恨み。

つまりこの女生まれつき狂っていた。


「こいつらが嫌い、全て嫌い、構ってくるのが鬱陶しい。」


という歪んだ性根の持ち合わせていたこの女は、この世の全てを見透かしたかのような発言をすることが多く、両親は困っていたという。


しかし成長するごとに次第に両親への理解を深め、自分から歩み寄ろうと一歩進んだ矢先、弟である雲雀が生まれた。

雲雀は心臓が止まった状態で生まれ、その後妖として生を受けた。


音を操る異能を授けられた雲雀は何もしていなくても周りの音が全て聞こえてしまうという症状に悩まされ、両親は悩んでいた。


雲雀が5歳の時、大罪たちによってデイブレイクが引き起こされ、両親は二人を庇って亡くなり、天音はたった一人の姉として幼い弟を守ろう…という考えには至らなかった。


彼女は一日雲雀と寝た後に明け方になると彼を見捨ててどこかへと逃亡した。

それを知らぬ弟は街を徘徊しながら姉を探していた。


埃が舞う音、燃え続ける炎の音、灰色の風が吹き荒む音全てが頭の中で鳴り響く。

ついに耐えかねて倒れてしまった時、凱たちが助けた。


その後財団HANDに捕まり、天音も同じ実験台として拉致され、望まぬ再会を果たした。


弟は姉が姿を消した理由を知るはずもないし、彼の背後には八人の子供がおり、外面をよくしておくために一芝居打つことにした。

「そうだ、弟想いの姉を演じよう。」と。


その後度重なる実験と弟の存在で精神を疲弊した天音は皆が寝ている間、壁に顔を向けて頭を打ち付けていた。


「なんで!この私が!あんなやつらと同じ扱いを受けなきゃあならないのよ!!邪魔なガキと別れられたと思ったのに!!」


さらに爪を使って、右手の甲に刻まれた「17」の数字を引っかいて消そうとしていた。

手の甲は抉られて血まみれになり、爪の間にはどす黒い血が溜まっていく。


「いつか全員殺してやる…この場にいるやつ全員…!!いや、私の下に跪かせてやる方がいい、一生、死ぬまで私の奴隷にしてやる!!」


そして朝になれば傷の理由をごまかしてまたウソの笑顔を見せる。

病気になって歩けなくなったという仮病まで使い始めた。


「じゃあ…最初から歩けたんだな…。俺らを騙してまで何がしたいんだよ姉貴!」


「この私を姉と呼ぶな害虫が!ボスに引き出してもらったこの力で…私はこの世界の全てを壊してやる!!」


包帯だらけの男・ボスに引き出してもらった力の名は「“人形師パペティアー”」。

触れた人間を人形に変える能力を有するが、自分より弱い相手にしか効果は無い。


雲雀たちが留守の間病室を抜け出して、天音はそれぞれの場所にいる職員の一人に触れた。

その職員たちは一時間も経たぬ内に心の無い人形へと改造され、この事態が引き起こされた。


「天音さん…嘘って言ってよ!」


「嘘じゃないわ、これが本当の私よ!穢れたこの星を浄化し、私が頂点に君臨する!ボスには悪いけどあの人も踏み台にさせてもらうわ!!いけ、愚民ども!」


天音の指示で人形化された特異課職員が二人現れた。

そして現在本部内で暴れているのは、事前に改造されてストックされていた日本国民である。


「…雲雀、戦うしかないわよ!」


「くっそぉぉ!!」


雲雀は苦悶に満ちた叫び声を上げて弾丸を放ち、長年愛されていると思っていた姉との決別を選択した。

弾丸は天音の肩を貫いて、ベッドが赤く染まった。


「ごめん…姉ちゃん…!いや、『人形師』!」


「これで家族関係は解消ね…嬉しいわぁ!『人形神ヒンナガミ』、“武装”!!」


天音の妖影ゴーストは人間の欲から生まれた人形の怪異『人形神』を模した怪物。

“武装”すると体は人形のような質感になり、腕は6本に増え、頭に角を生やし、巨大な怪物と化した。


「消えなさい…人生の汚点。」


「くっ…!」



EPISODE 96「The Puppeteer who resented the world (世界を恨んだ人形師)」完

           次回 第97話

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