EPISODE 95「Marionettes March(人形たちの行進)」
雲雀たちが大罪の一人である『強欲』を倒してすぐ後のことである。
特異課本部に流れ込んだ人形軍団を真白が一人で片付けていた。
その人形たちは改造された人間であるようで、切れば血潮が飛び散る。
記憶や感情は消されて木製の人形に変わってはいるものの、服装、痛覚は残されており、残酷な仕様になっている。
敵を切る顔に余裕などなかった。
人間を守るはずの特異課の妖狩が、心を鬼にして人だったものを殺さなくてはならないのだから。
人形の攻撃は一発一発が重く、並みの人間ならば当たっただけで骨が砕けて死んでしまう。
最初真白が優勢だったものの、際限なく湧いてくる人形軍団に押され、床に叩きつけられた。
真白は術式「“絶対零度”」の真髄を発揮して周囲を冷気で包み込み、人形たちの動きを止めた。
その隙に傷口と血を同時に凍結させる斬撃「“雪寅”」で十体超えの人形たちを破壊した。
特異課の中でも上位のスピードを持つ真白は冷気をその身に纏いながら廊下に群がり職員たちを襲う人形の首を次々とはねていく。
それでも破られた壁から新たな人形たちが湧いてくる。
「どうなってるの、こんな兵力今までどこに…!」
彼は目の前で続々と倒れていく職員たちを目撃した。早く助けなければと次第に焦って集中力が偏っていく。
一人逃げ惑う職員を助けようと駆け出すと、背後に刀を持った人形が迫っていた。
「!?この人たち、武器を!」
避ける隙がなく、背中を刃で切られてしまった。
背中から出血してしまうが、すぐに凍結して止血し、反撃した。
しかし、助けようとした職員は真白の目の前で何者かに頭を撃ち抜かれてしまった。
そして一般人を改造した兵士の次は銃を持った人形兵士が複数現れた。
その正体は警察の特殊部隊の隊員たちであった。
カタカタと音を鳴らしながら人形となった隊員たちはライフルを乱射した。
真白は「“凍星”」という周囲に氷の粒を浮かせる技で銃弾を跳弾させて、隊員たちに返した。
「もう…限界、誰か来て!一人で突っ走ってすんませんでした!!アイス食べたい!」
第二の部隊が倒された部隊の後方から現れ、再び一斉射撃を開始した。
さすがに避けきれないと覚悟して目を瞑ったその時、銃弾が何かに当たった音が響いた。
目を開けると、彼の眼前にはバリアが張り巡らせており、それが全ての弾を受け止めていた。
「オラァ!!」
豪快な掛け声と共に拳を突きだしたのは、『玄武』こと凱、そして龍我。
異界での修行を急遽中断し、真白のピンチに駆けつけた。
凱は拳で弾丸を受け止めたバリアを押し出して人形兵士たちを蹴散らした。
「真白先輩大丈夫ですか!」
「君たち来てなかったら終わってたよ…。」
「なんてこった…これは祭とは言えねぇな…!真白、ここは俺たちに任せて少し休んでな!」
「そういう訳には行かないよ…ぼくだってみんなの仲間だ戦わせてほしい!」
「先輩がそういうなら…一緒に行きましょう!」
特異課本部本館。
ここに『青龍』『玄武』『白虎』が揃った。
ー特異課本部 武器倉庫ー
ここにも人形たちの魔の手は迫っていた。真白が対峙していた装備付きの人形はこの倉庫に侵入し、刀や銃などの武器を手に入れた。
倉庫内には人形たちが刀などの武器を選んでそこから出ていくつもりだ。
そしてそこにも妖狩がたどり着いた。
「ここにも湧いてやがったのか…人思いにあの世に送ってやる。」
倉庫に駆けつけたのは妖狩:『雷獣』こと雷牙。
背中から双剣を抜いて構える。
ー特異課本部 北門入口ー
北門からは強大な妖力を持つ妖が侵入した。
全身黒ずくめで顔さえもフードで見えないが北門を警備していた職員たちを皆殺しにして本部中枢を目指していた。
そこに妖狩:『朱雀』、『神狼』が到着し、対峙する。
「緊急事態につき修行を中断してしまい申し訳ない風雅。」
「良いさ、こいつら皆でボコすから!」
「やってみろ…妖の反乱分子どもめ…。」
男がローブを広げると、その中から大量の虫が羽ばたいて二人に襲い掛かる。
「ぎゃあああ虫だぁぁぁぁ!!!!」
八雲 風雅は大の虫嫌いである。
ー特異課本部 医務室ー
医務室にはサンフランシスコから戻った『猫又』こと琥珀、『夢喰』こと雲雀は医務室に駆けつけた。
雲雀は険しい表情で何者かに銃口を向けていた。
今にも引き金を引きそうなくらいに銃を握っているが、カタカタと震えていた。
琥珀も言葉が出ずに一歩下がってしまった。
そして声を震わせながら叫んだ。
「アンタが…この騒動の黒幕なのか…“姉貴”!!」
「あら、いらっしゃい。雲雀…♡」
EPISODE 95「Marionettes March(人形たちの行進)」完
次回 第96話




