EPISODE 94「MILLION MONSTERS ATTACK(超得意技の乱れ撃ち)」
雲雀と琥珀が船内で対峙したのは大罪の一人『強欲』。
黄金を生み出し、物体を黄金に染める強力な術式を持った妖であり彼の口から衝撃のニュースが飛び出した。
「俺らにとっちゃ吉報、君らにとっては悲報や。
潜り込んでたうちのスパイが特異課に総攻撃仕掛けたで。」
「何ですって…!」
「!、姉貴…!」
ー京都 特異課本部ー
本部全体に警報が鳴り響いた。
京都の何処にあるのかも分からないはずなのに、何者かが侵入したのだ。チタンよりも硬い金属の壁なのに大穴を空けられ、すでに何人もの職員が殺されていた。
殺したのは不気味な人形軍団、数百にも群がって職員たちを次々と虐殺していく。
警報は他の妖狩たちの元にも届き、真白が最初に動き出した。
「雪ちゃん、君は先に逃げるんだ。ぼくの言ってること、わかるね…?」
「…はい!真白さん、これだけは言っておきます。絶対に死なないでください!アイス用意して待ってます。」
「…ふふん、ぼくが死ぬわけないでしょ?」
そう言うと小雪をワープドアに入れて北海道へと逃がした。
真白は人形たちを屠るため、走り出した。
廊下を走っていると人形たちが真白に気づいた。
剣や弓などの武器は持っていなかったが関節をガチャガチャと鳴らしながら虫のような四足歩行で迫ってくる。
「「“氷瀑”」!!」
真白は冷気を纏った掌を地面に付けると、氷の波を作って人形たちを凍結させながら押し流した。
動いてはいるものの体が氷に覆われていて攻撃はできない。
そして彼はこの人形たちに見覚えがあった。
『弁慶』戦の時に彼が使役していた人形たちもこのように不気味な容姿をしていた。
「ということは、この人形たちは全員改造された人間か!」
人形たちは皆改造される前の服装をしており地味に人間だったころの名残があるのが残酷だ。
すると背後から新たな人形軍団が迫ってきた。
「もう人間には戻れないんだね…ならばせめてぼくの手で、送ってあげよう!『白虎』、“武装”!!」
真白は冷気を纏った爪を装備して人形たちを葬るために一人駆け出した。
クルーズ船では琥珀たちは『強欲』に翻弄されて中々反撃ができなかった。
『強欲』が地面に手をつくと一瞬でカーペットや壁が黄金に変わった。
「メス猫!」
「はいはい!」
琥珀は雲雀の背中を叩いて「“無重力”」を付与。
二人同時に宙に浮いて黄金化を回避した。
雲雀は無重力状態から『強欲』に向けて弾丸を放った。
しかし案の定弾は黄金に変えられてしまった。
金になった銃弾が床に落ちる瞬間に「ゴンッ」という鈍い音がした瞬間、雲雀が自身の指をパチンと鳴らした。
その瞬間、彼は『強欲』のすぐ目の前に接近し、眼前で一発放って目を撃ち抜いた。
「やってくれたなこのガキぃ!!」
「俺自身が音に成る…超至近距離で撃てばさすがのアンタも防ぎようがねーよなぁ!」
「クソがぁぁぁ!!!」
「!?」
その時『強欲』の妖力が一気に跳ね上がった。危険を感じた雲雀は琥珀のいる方向に指を鳴らして戻った。
「まだ欲しいものいっぱいあるのに…もっといっぱい金が欲しい!女も酒も!このまま行けば全部手に入れるはずだったのにぃぃもう少しで全てが俺の手に収まるはずやったのにぃぃぃ!!!」
「でもまた欲が出てくんだろ?意味ねーだろーが!」
「うるさいぞガキども!お前らさえいなければこんなに焦る必要ないねん!?この場で全員殺したる!全てを黄金に染めろ、『金毛狐』!」
強欲な男が発した妖影の名は、同じく強欲の大罪を司る悪魔と同じであった。
『強欲』の身体全体が黄金に染められ、巨大化していく。
船内を破壊しながら急速に成長し、ついには船を大破した。
黄金で形作られた巨大な人型狐の怪獣がサンフランシスコの海に降臨した。
狐特有の甲高い鳴き声が海から街に響いた。
二人はすぐに反重力状態で外に避難して難を逃れた。
音に敏感な雲雀はすぐにイヤフォンを装着して高音の鳴き声から耳を守った。
「くそ…あいつ暴走して激情態みたいになっちまった。」
「どうすんのよ雲雀!あぁ海まで金に…。」
「俺別に頭良くねぇけどよぉ、作戦ならあるぜ。『とにかく物量で押す!』だ!」
「脳筋すぎ!?」
雲雀はポケットから小さな包み紙を取り出して破いた。出てきたのは普通にコンビニなどで手軽に買えるチョコレート。
それを一口、二口と食べ始めた。
「そうか、アンタ妖力は無限だけど消耗は激しいから糖分取らないとダメだったんだよね。」
「メス猫、お前まだ術式保つか?」
「まだなんとか!」
すると雲雀はイヤフォンのスイッチを押してロックでアガる音楽をかけ始めた。
それと同時にリボルバーのシリンダーを手で回し始めたのだ。
『強欲』は宙に浮く二人を発見すると身体中から金の針を伸ばして二人に向かって攻撃を仕掛ける。
針は先程よりも数が多く、さらに太い針の細い針を交互に出してくる。
雲雀はその間にもシリンダーを回し続ける。
回避していたが、琥珀の足を細い針が貫いた。
貫かれた傷から徐々に黄金化が始まり、脚が重くなって高度が落ちていく。
「まだ!?」
「まだ!」
『こっちこいやガキども!どんな作戦だろうとデカくなった俺にかなうわけないで!!?』
「まだ!?」
「出来た!」
シリンダーを回し切った雲雀、そしてはるか遠くから銃口を巨大化した『強欲』に向ける。
「デカくなると的もでかくなってくれて助かるぜ…金はそんなに硬くねぇ…だったら、物量で押して押して押しまくる!!」
すると虚空から大量の穴が空いて、様々な種類の銃が固まって現れた。
穴の数は数え切れず、そして出てきた銃も数え切れない。
「俺に超大技を出させるとはな…百万の怪物に襲われて沈みな!!」
「“MILLION MONSTERS ATTACK”。」
そして銃口から100万の弾丸、いやそれを上回るほどの弾丸を一斉に『強欲』に向けて発射した。
『そんな豆鉄砲!』
「豆鉄砲も束になって集まれば鉄板だって貫くぜ!」
100万の弾丸は『強欲』の身体全体に当たり、次第に穴が空いてヒビも入っていく。
『やめろ、やめろぉぉ!!!』
「てめぇの勝手なオーケストラはこれにて終演だ!!詫びながら死にやがれぇぇ!!!」
最後は雲雀自らの音の弾丸で額を貫いて、『強欲』は金の像となったまま倒れ、海の底へと沈んだ。
全てをその手に収めようとした強欲な男の最期は何も届かない深海に落ちていく、なんと皮肉なことだろう。
『強欲』が倒されたことで琥珀の黄金化も消えた。
「大罪のなかでも雑魚の方だったな。」
「え、あれでも弱いの…?」
「本来は帰ってベッドにダイブするはずだったが予定が狂った、すぐに本部もどっぞ、姉貴が危ねぇ…!」
EPISODE 94「MILLION MONSTERS ATTACK(超得意技の乱れ撃ち)」完
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