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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 93「Alchemist of El Dorado(黄金郷の錬金術師)」

財団HANDの残党により罪なき妖たちが実験材料として誘拐された。

雲雀と琥珀はクルーズ船に乗り込み、救出に成功した。


そこでドローンを駆使するスナイパーを二人、いや正確にはほとんど雲雀一人の力で退けた。


そして特異課にボートを用意してもらおうと、琥珀が携帯電話に手を伸ばした時、突如妖たちの容態が急変した。


「なんだこれ!」

「どうなってるの!?」「いやぁぁぁ!」


なんと妖たちの体が足元から徐々に黄金に変わっていったのだ。


「ちょっとこれどういうこと!?」

「俺に聞くなよ、知らねぇよこんなの!!」


妖たちは悲鳴を上げる間もなく、全身が黄金に包まれ、像になってしまった。

雲雀は黄金像になってしまった妖の男性の側に近寄って触れてみた。


「まじかよ…ガチの金だぜこりゃ…心音はもう聞こえねぇ。」

「そんな…。」


雲雀は船の上にある階層を睨んだ。


「俺はこの金を知っている…この船に大罪のメンバーがいる!」


そして二人は上の階層へと上がっていく。さっきも通った場所だったが、まったく気にしていなかった。

船内にあるとある大きな部屋の扉を開けると、そこに広がっていたのは、壁も天井も一面黄金のカジノだった。


「うわぁ目がチカチカするぅ…。」


「無駄に豪華すぎて逆に気色悪ぃ。」


すると、さっきまでカジノに夢中だった客たちは二人が部屋に入ってくるや否や一斉に振り返った。

全員仮面をつけており、その奥にある瞳はまるで底無しの深い穴のように黒かった。


ギャンブルをする内に金や欲に取り憑かれてしまっているのだろう。

まるで生気を感じない。


天井も壁も金ではあるが、その周りには人型の像が複数飾られており、像は皆苦悶の表情を浮かべていた。

中には膝をついて叫んでいる像もそこかしこに置かれていた。


「おいメス猫…どうする、こいつら殺すか?」


「相手は人間よ、それだけは絶対にダメ…!」


「おや〜?これこれは特異課の妖狩エージェント様やないですかぁ。」


前方のステージの方から関西弁で話す男の声が聞こえた。

全身金色の服に身を包み、上着すらもギラギラするほどの金色で目がチカチカする。


やたらと成り金のような仕草でカジノを運営するこの男、手を差し出しただけで掌から金のコインを生成した。


「てめぇ、大罪の『“強欲グリード”』か…。」


「御名答やぼっちゃん。そう、俺が強欲の大罪って言われとる奴や。」


「さっきの人たちもアンタの仕業だったのね!」

「さっき?あぁ財団に売り渡したエサたちか。あいつら逃げられんように俺が体の中に金の種を植えたんや、発動したかー…大事な商売道具傷つけやがって!」


男はコインを飛ばして二人に攻撃を仕掛けて来た。

だが琥珀が重力でコインを落として難を逃れた。


「ボスの命令で財団HAND買収したのになぁ…こうもことごとく商売潰されるといくら温厚な俺でも怒るわ!」


「財団を買収!?」

「ボスってのは妖の術式を奪ってコレクションしてるって野郎かい?」


「俺もあの人にビビらされて首の皮一枚なんとか繋がっとんねん!あれもこれも欲しいのにぃ…!!」


男はスタッフにマイクを持ってくるように指示して、マイクを持つとスイッチを入れて会場全体にアナウンスした。


「今日のカジノはおしまいや!お前ら死にたくなかったらさっさとこの船から降りろぉ!!」


すると客は我に返ったが皆口々に愚痴をこぼしながら部屋から出ていき、スタッフにボートを用意するように申し出た。

男は無造作にもマイクを床に落とした。


そして船からは客が一人残らず消えた。

残るは妖狩たちと大罪の『強欲』だけである。

『強欲』は足元から金の蔓を伸ばしてステージから降りてきた。


「三人だけの特別なゲームしようや…生き残りを掛けたデスゲームっちゅうんやけど。」


「望むところだ、勝つのは俺だけどな!」


雲雀からはマゼンタ色のオーラが琥珀からは紫色のオーラが立ち昇り、妖影ゴースト・『夢喰バク』と『猫又』を“武装”して戦闘態勢に入る。


『強欲』も金色のオーラを出しながら、ルーレット台に置いてあったコインに触れる。

すると、コインが金色へと変わって二人に向かって投げつける。


それぞれ重力と弾丸で落とすことで当たることは無かったが、そのコインが床に落ちると、カーペットの一部が金色になった。


「俺の術式は「“強欲と金脈アヴァリティア・ゴールデン”」。触れた物を金に変え、金を創り出す錬金術師…さらにまた触れた物を金に変えるんや。どや、かっこええやろ。」


ところが雲雀は能力の説明を聞こうとはせずに弾丸を二発『強欲』の元に放った。

しかし目の前で黄金化してしまい、弾丸は殺された。


「はっ、最高につまんねぇなその能力!」


「坊っちゃんには分からんか?欲ってのは可能性の塊や、欲しいと思えば何でもできる…。

けど俺は富や名声をいくら手に入れても満たされない!この気持ちが君等には分かるか?」


「クズの気持ちなんて分かってたまるかよ。たしかに欲しい物があれば何でも出来るぜ?それは同意だ。

けどよぉ、人殺しに言われたかねぇよなぁ!」


続いて二発、三発と弾丸をぶち込むがそれも全て金に変えられカーペットに沈む。

雲雀は刀を抜いて銃とのダブルウェポンで『強欲』に立ち向かうが体術だけでも翻弄される。


さらに『強欲』は手から金の針を出して雲雀を貫こうとする。


「触れるだけが発動条件やないって言ったやろ!?」


金の針が雲雀の体に突き刺さる寸前、琥珀が重力で引っ張って彼を連れ戻した。


「いってぇな何すんだよ!」

「アンタ一人が突っ込んで勝てる相手だと本気で思ってんの!?」


すぐに反論しようとしたが、今回ばかりは本人でも正直難しいと判断できたようで黙ってしまった。


「そこの坊っちゃんも中々いい性格しとるねぇ。どや、俺たちの所に来るってのは?妖力みてもエグい量やしいい戦力になると思うで?」


雲雀は琥珀の顔を手で押しのけて立ち上がり、再び剣と銃を構える。


「誰がてめぇらの仲間になるって?俺はこのまま、こいつらといたい!認めたくねーけどよぉ、俺はこいつらとじゃなきゃ幸せになれねーって俺の魂が言ってんだよ!!」


「ムカつくけどアタシも同意、結局アンタがいないとなんか違うのよね。」

「うわコイツに同意された、今のナシ!」


「ほんっとコイツ嫌い!」


『強欲』はさらに金色のオーラを増幅させていると、突如頭の中にボスからの司令が届き、彼ら妖狩エージェントたちに衝撃の報を届けた。


「君らかわいいな、像にするのが惜しいわ。でも俺らにとっちゃ吉報、君らにとっては悲報や。

潜り込んでたうちのスパイが特異課に総攻撃仕掛けたで。」 


「…!、なんですって…!」


「あ゙?…はっ、姉貴!」



EPISODE 93「Alchemist of El Dorado(黄金郷の錬金術師)」完

          次回 第94話

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