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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 87「Explosive Power(爆発する力)」

この日、花は龍我に直談判し、以前のように修行をつけてもらうことにした。


「龍我先生、お願いします!」


「お願いしますって言われてもオレ何すればいいのよ。君の術式は消えた。酷な事を言うけど戦うことは出来ないんだ…。」


「それが変わるとしたら…?たしかに私はもう血液操作ができない。でもこの前妖に襲われた時に何故か反撃が出来ていたの。」


花本人は自覚していないまだ見ぬ力。

自分に危険が迫った時、「その力」は発動する。


本人の感覚としては体の内側が弾けるように躍動したかと思えばすでに終わっている。

攻撃された対象には必ず「足跡」が付いており、まるで思いっきし潰したかのような窪みが出来ているそうだ。


花は龍我に空き缶を渡してそれを自分に投げるようにと頼み込む。


「お願いします先生!」


「…じゃ、じゃあ、はい!」


龍我は花を傷つけない程度の力で空き缶を彼女に投げつける。

しかし、頭にコツンと当たっただけで何も起こらなかった。


「あれれ?」

「何も、起こらなかったぞ…。」



一方、東京。

午前11時45分頃、謎の爆発が確認された。

そこには妖狩エージェント:『玄武』こと凱が派遣されていた。


ただの爆発物案件ならば特異課は調査に来ない。

それ相応の理由があり、超常犯罪絡みなのは確定なのだ。


爆竹だとか、次元爆弾だとか、そんなものでは比にならない今回は「人」が爆発したのだ。

死傷者16名を出したこの事件、自爆テロなどとは考えにくかった。


近くで爆破現場を目撃した負傷者はこう語る。

「何くわぬ顔で突然爆発した、私の右腕を返して。」と。


自爆テロならば見せびらかしたり、不審な挙動や表情をしているものだろう、だってこれから自分が爆発するのを知っているのは自分だけだから。


しかし加害者は何も知らないような顔をしたまま爆発し、その生涯を終え、多数の死者を出した。


「きな臭ぇ…この事件、どうやら爆発した野郎は被害者みてぇだなぁ。」


凱は何か手掛かりを探すため、高所から探したり、現場近くにある建物の中から不審な人間がいないか探していた。


その時だった、サングラスを掛けた一人の男が凱の肩にぶつかって通り過ぎた。


「すんませぇん。」


「おい、痛ってぇぞ!どこみて歩いてやがる!」


男はそそくさとその場を後にした。

同時に凱は自分の腕に違和感を覚えた。


「カチカチ」と音がする、自分の腕の中からだ。

徐々に温まるような熱も感じた。

すぐに異変を感じた凱は他の一般客を押しのけて、建物の屋上へと走り出す。



屋上へと凱は特殊防護服へと服を変化させ、手刀で自分の左腕を切り落として、上空へと投げ飛ばした。

その直後、腕は赤熱化して膨張して、上空で大爆発を起こした。


「まじかよ…!」


幸い凱は「“不死アンデッド”」という不死身の術式を持っていたため、切り落とされた腕の代わりに新たな腕を生やすことが出来た。


戦慄の冷や汗を流す凱の背後で拍手をする音が聞こえた。

振り返ると、先程自分にぶつかってきたサングラスの男がいた。


「たーまやー。ハッハッハ!まさか俺の術式を見抜くとはなぁ…さすがは番犬といったところか?『玄武』。」


「お前か…爆破事件の犯人は!」


「正っ解!ボスにもらったこの力…試したくて仕方がねぇ!!」


男の名は“カズ”。

彼はポケットに手を伸ばして小石を五個ほど取り出すと、凱に投げつけた。


凱は大剣を構えて小石をカズの方へと跳ね返そうとするが、刃に当たった瞬間に「カチッ」と何かのスイッチが入る音がした。


「ボンっ!!」


と言った瞬間、小石は凱の眼前で爆破した。

飛び散った破片が凱の肉を抉り、屋上の端スレスレまで吹っ飛んでしまった。


「がっ!小石も爆発しただと…!?」


「俺の術式は「“爆弾魔ボマー”」!俺が触れた物は全て爆弾と化すのだっ!」


カズは掌を見せつけるような大胆なポーズをとって自身の能力を説明した。


そしてその右の掌から見えたものは「15」という数字だった。


「お前、「“セカンド”」だったのか…!」


「そうだ、そして俺たちは特異課に宣戦布告をするぅぅ!」


カズは次に小麦粉を手一杯に掴んで凱に投げつける。


「粉塵爆発だぁぁ!!」


カズはその強大な力を手に入れた時からテンションが狂っており、常に爆発寸前の爆弾のようにハイになっている。


凱は事前に自身の妖影ゴースト『玄武』を“武装”することでバリアを展開し、粉に触れる事なく、そして爆発から身を守りながらカズに渾身の一発をぶち込むことに成功した。


「ぐっはぁ!!だがお前にも触れられたぜぇ!!」

「しまっt」


カズはすでに凱の腹に手を当てており、凱自身を爆弾に変えた。

凱を蹴り飛ばして屋上から落とした。


「死ね、『玄武』!」


「何ぃぃぃぃ!?」


凱の体は熱を帯び、腹が膨れた後に大爆発を起こした。

この術式、抵抗が出来ないのだ。

触れた対象を爆弾に変えるが、爆弾型のオブジェクトを埋め込むのではなく、爆弾そのものに改造してしまう。


取り出すことなどそもそも無理、爆弾に変えられたからには術者を倒すか諦めるかだ。


「俺は…不死身だ!!」


「ひぃ…化物め!」



そして訓練室では花の力を調べるために二人を頭を抱えていた。


「うーん、あっ。」


と花は何かをひらめいて、再び龍我に空き缶を渡す。


「今まで私が力を使えたのは、私自身が危険な目に遭ったから…龍我くんその空き缶、私を殺す気で投げて!」


「は?!何言ってんのさ、そんなこと君に…。」

「お願い!」


花のやる気に圧倒され、龍我は空き缶に妖力を流し込んで、花に向かって思い切り投げつけた。

先程よりもパワーとスピード共に上昇し、花でも避けきれない状況になった。


脚が震えて、すごく怖い。が、花は絶対に逃げなかった。

空き缶が自分に当たる寸前、再び身体の内側から爆発するかのような弾みが生まれた。


そして捉えた、今度は完璧に捉えた。

彼女の顔の横から、白肌の美脚を伸ばして向かってくる空き缶に蹴りを入れた者がいた。


姿を一目見ようと振り返ったが、すでに背後には何もいなかった。


「何なの、今の脚は…」


「花ちゃん…その空き缶!」


龍我の声ではっと気づいた花が空き缶を見ると、空き缶には足跡の窪みが刻まれていた。



    EPISODE 87「Explosive Power(爆発する力)」完

           次回 第88話

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