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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 84「Alternative Shadows.(取って代わる影たち)」

東京チームは病院にいるNo.17の天音を保護した風雅たちだったが、院内にはすでにNo.10の妖、みさおが侵入していた。


彼が放った謎の斬撃により、病院は患者ごと真っ二つに両断されてしまう。

凱が天音を連れて外に避難し、残った二人が操に立ち向かう。


風雅は一方的に操から嫌われており、正義の味方面が気に食わないと言われた。

しかし彼は正義の味方などではなく、「悪の敵」だと言うことを言い放った。


「世界がどうなろうが個人的にはどうでもいい。だが、お前たちを好き勝手に暴れさせる訳には行かない!」


「どこまでも良い子ちゃんだな…腹が立つ野郎だぜぇ!」


操は指を折り曲げて大げさに動かすと、風雅の横にあった柱に五つの切れ込みが走った。

本能的な直感ですぐに回避することは出来たが、風雅の耳に切り傷が出来た。


「どうなってんだ畜生…!」


そこで風雅は閃いた。

先程自分が天音のために買ったオレンジジュースの缶を操に向かって投げつけた。


彼はそれを何の疑いも無く再び腕を振るうと、缶が真っ二つに切られ、中身のジュースが零れた。

風雅は作戦通りだとニヤけた。


橙色の液体が中に浮かんでいた。そしてそれらから雫がポタポタと落ちる。


「やっぱりなぁ、わかったぜお前の術式、糸だ!」


「ちっ、こんなもので俺のトリック暴きやがって…!」


「タネが分かれば対策するまでだ!「“形態モード”:“金翅鳥ガルーダ”」!!」


アスカは炎の翼を生やして、操を捕まえて病院の外へと放り出した。

炎の翼は揺らめきながら曇天の空を突き進む。


「お前の糸は長い、間合いを詰めれば伸ばす必要はない!」


「おいおい俺の攻撃が長距離専用だけだと思ってもらっちゃあ困るぜ?」


操は右手を指鉄砲の形にして、アスカの肩に狙いを定めた。すると、指先に糸の塊が生成されて、撃ち出した。


「“糸弾しだん”!」


指先から撃ち出された糸の弾丸により、アスカの肩が撃ち抜かれ、風穴が空いた。

攻撃のショックで翼は消え、血を吹き出しながら落下していく。


風雅は風のクッションを作って、落下するアスカを受け止めた。

一方、操は指先から糸を放って病院の壁に突き刺して、安全に着地した。


「アスカ、大丈夫か!」

「なんとかな…まだ動けるぞ…!」



            「“殺糸あやめいと”」

操の術式。指先から伸びる髪の毛よりも極細の鋼糸を使い、対象の切断などの芸当が可能となる。



しかし、風雅はこの術式を知っている。

以前蜘蛛糸で特殊部隊を惨殺した蜘蛛の妖の術式と似ている。


「似た術式はあれど、まったく同じなんてものはないはずだ…!」


「特異課のくせに鴉丸から聞かされてねぇのかよぉ。術式ってのはなぁ、前任者が死ねば術式は誰かに引き継がれる…ボスに引き出してもらったこの力、存分に使ってやるぜ!!」


「術式を…引き出した!?無理矢理覚醒したのか!」


「そうだぜ…!てめぇら全員コレで微塵切りだぁぁ!!」


「“狩人ハンターズ・ネット”!!」


操は妖力で作った糸を両手の指先から出して網目状に重ねて繰り出す。そして地面を削りながら二人の元に鋼鉄の糸で出来た網が迫る。

逃げ場などなかった。

しかし、風雅は『神狼』を右腕に武装して、真っ向から糸の檻に拳を当てる。


「何をしている風雅!君の腕が細切れになってしまうぞ!」


「まだ装甲で守られてる…押し返す!」


だが今のガントレットにはかつての戦いで傷ついた跡がまだ直っていない。粉砕されるのも時間の問題だ。


「風雅、俺に任せろ!」


アスカは立ち上がって再び「“炎刃”」を装備して、糸を断ち切ろうとする。


「ムリムリお前の炎で、俺の鋼の糸には勝てねぇ!」


アスカの術式「“イグニッション”」は自身を点火器に見立てて妖力を炎に変換する。

そして、その火力は彼の感情によって大きく変わる。


「俺の炎を動かすのは、俺の怒りだっ!!「“烈火”」!!」


一撃必殺の「“焔斬り”」を連続で発動する「“烈火”」により、糸の網を切り裂いた。


「なんだと!」

「燃えろぉぉぉ!!!」


さらに「“金翅鳥ガルーダ”」を同時に発動して加速し、一気に距離を詰める。


操は再び「“糸弾”」を放つが、同じ攻撃は二度は通じない。

「“烈火”」で切り裂いて、間合いを詰める。


「くそ!「“狩人ハンターズ・ネイル”」!!」


糸の塊を爪の形にして、攻撃を繰り出す。

太陽並みの熱が込められた「“炎刃”」にも負けない強度と切れ味で対抗する。


「ほらほらぁどした!お得意の炎を存分に使ってみろよ火炎放射器みたいなのをよぉ!!」


「そうか、なら存分に使ってやる!」


間合いを詰めた末にアスカは操の腹に掌をつけた。その瞬間に操の背後から炎柱が吹き出した。


「ぐあぁ!!この野郎!」


さらに妖力を込めると、糸の爪が突然伸びてアスカの首を横から貫いた。

しかし、首を貫かれた彼の体は虹色の煙となって消えてしまった。


「“陽炎かげろう”…相手に一瞬の幻覚を見せる技だ…風雅と雷牙から教わった“遊び心”の賜物さ。」


「へぇ、じゃあ俺の遊び心ってのも分かるよなぁ?」

「…!?」


よく見ると小指が動いており、気づいた時にはアスカの背中が切り裂かれていた。


「なにぃ!?」


「爪が甘いな『朱雀』!オラァ!」


さらに腕を動かして、鋼糸でアスカの全身を切り裂いた。

全身から鮮血が噴き出して腕はすでにボロボロだった。


「やめろ!」

「失せろ!てめぇは後でじっくり殺してやる!」


糸による斬撃で風雅にもダメージを与えて吹っ飛ばした。

操は病院の壁にもたれ掛かるアスカにゆっくりと近づき、指に力を入れる。


指先から伸びる糸が時折煌めいてはっきりと見える時があるが、指が動けばすぐに見えなくなる。


アスカは全身が傷だらけになっても刀を構えて最後まで戦おうとする。


「お前も昔から上から目線でムカついてたんだよなぁ〜よーし細切れにして殺してやるよぉ。」


操が腕を振り上げた瞬間、彼の右腕に青色のドロドロとしたものが付着した。


「あ?んだこれ…スライムか!」


「せいや!」


隙をついて風雅がガントレットから風を纏った一撃を繰り出して操にダメージを与えた。

歯は折れ、鼻は潰れて鼻血を流した。


「サンキュー凱!」

「花子からもらったスライムが役に立ったな!」


スライムを投げたのは凱、実は外に出た瞬間に天音を特異課本部に預けて戦場に戻り、バイクの上にあったスライムを投げてくれた。


「ふざけやがって…マジ許せん!」


風雅はアスカの前に立って彼を守る。

水色のオーラを出現させて、背後には蜘蛛型の亜人のシルエットがうっすらと見えた。


「蜘蛛の式神…完全に能力の引き継ぎだな!」


「式神?こいつらはそんなお手伝い係じゃあねぇ…ちゃんと名前があるんだよ。

こいつらはもう一人の俺たち、裏の自分。つまり魂の影、「“妖影ゴースト”」だ!」


特異課は今まで式神と呼んでいたのは、自分に宿る影の怪人、


             妖影ゴースト


「こいつがいる限り俺は常に最強だ!こいつも俺に力を貸してくれる、俺も有意義に使える、WIN-WINの関係性だ…!」


操は自身の妖影を武装して、形勢を逆転するつもりだが、風雅はそうはさせないと突っ込む。

そして拳からラッシュを叩き込み、操にダメージを与える。


しかし、深くまでヒビが入っていたガントレットはついに粉々に砕け散ってしまった。


操の妖影『鬼蜘蛛アラクネ』のシルエットは八本の蜘蛛の足から糸を垂らして風雅の腕と足を拘束してしまった。


「くっ…!」


「お前の本当の顔ってやつを拝んでやるよ…お前の影を解き放て!」


操は手刀で風雅の右腕を切断してしまった。それと同時に風雅の身体から黒いモヤが現れ、全身を覆った。


切断された右腕の切り口には黒いモヤが集まり、新たな右腕を作った。

すると、突如右腕だけが動いて操の顎をアッパーカットで打ち抜いた。


『ようやくか…ここからは俺のターンだ!!』


そして風雅の妖影『神狼』が再び彼の身体を乗っ取った。

「“激情態”」となり、狼の亜人と化した姿はパワーとスピードが格段に上昇している。

操の攻撃は完全なる悪手となった。


『神狼』は遠吠えをして、戦闘態勢に入った。


「ふ…風雅!しっかりしろ…!」


「アスカ、今の兄弟は俺でも止めれるか分からねぇ…ここは離れるぞ!」


凱は負傷したアスカを抱えてその場から去る。


『ウバッシャァァァァァ!!!!』


強烈なラッシュが人間態の操を襲う。全身からの出血が止まらず、術式を出す暇もない。

さらには頭を掴んで病院の壁にぶつける。


それだけでは飽き足らず、頭を掴んだまま壁に擦り付けながら走る。

その時の顔はまさに快楽に満ちており、不気味な笑みを浮かべていた。


『グヒヒヒ…俺がお前の代わりにこいつをぶっ殺してやるよぉぉぉぉ!!』


『神狼』は拳に風を纏ってそのまま操の腹に「“疾風弾・V2”」を直撃させる。

動けなくなるほど血反吐を吐いて、その場で痙攣してしまう。


トドメの一撃を繰り出そうとしたその時、「おい。」と彼を呼ぶ声が聞こえた。

ふいに振り返った『神狼』の身体は一瞬で石化してしまった。


「おい、何を手こずっている。少々派手に動き過ぎだ。帰るぞ。」


「お、おう…助かった…!あばよ特異課!」


現れたのはメガネを掛けた参謀のような青年で、目元には「11」と刻まれていた。


「だが、こいつだけは殺してやるぜぇ!!」


操は周囲に糸を張り巡らせ、徐々に範囲を狭くする。


「小石になって死にやがれぇぇぇぇ!!!!」


歓喜したのも束の間、突如糸に霜が付き、完全に凍結した。


「!?、この冷気は…!」


「おいたはダメよー。」


まるでファッションショーのランウェイを歩くようなモデルウォークで現れたのは、絶対零度の冷気を操る妖狩エージェント、真白。


凍結した糸は指でも軽々と破壊可能。そして二人に近づく。


「俺たちは今の君たちと争っている場合ではない…さらばだ。」


メガネの青年は空間を裂いて二人はその場から消え去った。


石化は解除され、背面から風雅が射出された。

右腕は元に戻っていた、というよりは新しく生え変わっていた。


とりあえず両チームとも保護ミッションは完了した。


EPISODE 84「Alternative Shadows.(取って代わる影たち)」完

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