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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 83「Mage of Slashes(斬撃の魔術師)」

北海道チームは真白とローズを仲間に引き入れることに成功。


その一方、花も人間が改造された人形軍団に取り囲まれていたが、全て屠っていた。

しかも人形の胴体には謎の足跡が湯気を出しながら刻まれていた。


そのことは花本人さえ認知できていなかった。


一方時は遡り、東京のとある病院前に転送された風雅たちはミッションを開始する。


雨上がりの後のせいか地面には霧がかかり、妖しさに拍車をかけているようにも感じられた。


よくある別に特別ではない、ただの病院。ここには「“セカンド”」の一人であるNo.17が入院している。

彼らはその人物を保護するために訪れたのだ。


風雅、アスカ、凱はとある病室を訪れた。

特に迷っている様子もなくスムーズにたどり着くことが出来たから、以前にもここを訪れたことがあるようだ。


そして風雅が扉をコンコンとノックすると、部屋の中から優しげな女性の声で、「どうぞ」と聞こえた。

そのまま開けると、ベッドの上には儚げな表情を浮かべ、赤髪で後髪を編んだ女性が座っていた。


「あら、珍しいメンバーね。」


「よ、よぉ久しぶり…“天音あまね”。」


凱は緊張した様子で手を挙げて天音に挨拶をした。彼女もまた笑顔で応えた。


彼女の右手の甲には「17」と刻まれていたらしいが、刃物か何かで切りつけたのか、白魚のような美しい手には無数の傷跡が目立っており、数字はほとんど見えなくなっていた。


「あっ、そうだ風雅くん…アスカくん、近くの自動販売機でジュース買ってきてくれないかしら。」


「あーはいはい。さすがに歳上の命令は断れんわぁ。」

「行こう風雅。」


二人は部屋を出て院内の廊下を歩いて道の途中にある自販機へと着いた。


「アスカ、なんか飲む?」


「俺は緑茶…じゃなくてだな。君、天音さんの妖力見てただろ。何か感じたか?あっ、緑茶はもらうぞ?」


「妖力は感じたが特に特別なものは…式神も何も感じなかった。」


「おかしいな、すでに覚醒していてもおかしくないと言うのに。」



凱は天音と病室の中で再会ついでに談笑をしていた。だがどこか気まずそうだった。


「その、腕の傷は大丈夫か?」


「もう痛みは感じないわ…それより、私の“弟”は元気?」


「あー、あいつか…今頃は海外で遠征してるさ。それよりお前さん術式には覚醒したのかい?」


「術式?あー皆が使っている超能力みたいなものね、いいえまだよ。どうして聞いたの?」


「俺たちはお前さんを狙っている悪い奴らから保護しに来たのさ。あいつらが飲み物買ってきたらとっととずらかるぞ。」


風雅は天音の分の飲み物を買って、ジュースの入った缶をまるでボールのように手の上で弾ませながら病室に戻ろうとした。


二人がベンチを横切った瞬間、そのベンチの上に誰かの

気配を感じたが、振り返った時には何もいなかった。


気のせいかとは簡単に飲み込めるはずはない。二人は立ち止まって背後に全神経を集中させる。


背後から「キリキリ」という何か金属のワイヤーのようなものを引っ張り出すような音が聞こえた。

確実に、敵が背後にいる。


いつ来るか分からない攻撃に備え、冷や汗が二人の頬を伝う。手汗と熱で握っている缶の中身が今にもぬるくなってしまいそうだ。


頬を伝った汗の雫が落ちた。

床に「ぴちょん」と音を立てるその前の刹那でアスカの合図が院内に響いた。


「伏せろっ!!」

「!」


二人が伏せたと同時に、一瞬で病院は真っ二つとなり、廊下を歩いていた他の患者は建物と共に一刀両断、首と胴体が別れてしまった。


凱は大剣によって謎の斬撃を防ぎ、天音を守った。


「やっぱ来たか…出るぞ天音!」

「え?」


凱は大剣をしまって天音をお姫様抱っこのように担ぎ、窓をぶち破って外に飛び出した。


外では術式能力により着地寸前に足元に大地のエネルギーで作ったバリアを張って衝撃を和らげた。


「おい、無事か?」

「え、えぇなんとか…。」


謎の斬撃の発生源にいた風雅とアスカは間一髪で回避することが出来たが、あと0.1秒遅ければ他の被害者同様頭と胴体が泣き別れだっただろう。


「てめぇ…穏やかじゃあねぇな、いつもの事だけど。」


「よぉ、特異課の皆様ご機嫌よう…。」


「お前、もしかして“みさお”か…!」


「操じゃあねぇ!!俺は『鬼蜘蛛アラクネ』だ!」


アスカの言葉に青筋を立てて、ブチギレて名乗ったコードネームは『鬼蜘蛛』。本名は“みさお

長い金髪に黒い服を着ている長身の青年だ。


「答えろ操、お前たちは何故こんなことを!」


「んなの簡単な答えだろうが、この世界への報復さ!この世は弱肉強食、弱い人間はこの星から全て排除し、最後に笑うのは俺たち妖だ!」


「その野望…俺たちが叩き潰す!」

「アスカさん熱いっす、物理的に。」


アスカは『朱雀』を“武装”を発動。

「“形態モード”:“炎刃カグツチ”」を顕現させ、刀身に炎を宿しながら切りかかる。


「てめぇらのその正義の味方面が昔から気に入らねぇんだよ!!」


操が指を動かすと、指にも触れていないのに、刀身が謎の力に受け止められた。


「なっ!」

「へへっ…。」


獲得したばかりの能力でアスカの刃を受け止めたのがそんなに嬉しかったのか、舌を出して挑発めいた笑みをこぼす。

そして舌には「10」という数字が刻まれていた。


「てめぇも俺の超能力でぶった斬られろぉ!」


「させん!」


アスカが突然姿勢を低くし、それと同時に風雅が操への顔面に蹴りを入れて吹き飛ばした。


「てめぇよくもやりやがったな…鴉丸の後ろを付いて回ってた金魚のゲリクソ風情が…殺してやるぅ、一番嫌いなお前だけは俺様の手で殺してやるぞぉ…!」


操は怒りにより、水色のオーラが立ち込めて妖力を一気に放出した。

術式に覚醒したばかりだというのに膨大な妖力をその身に宿しており、室内がずれた病院が揺れ始めた。


しかし、風雅はその妖力にも臆さずに真っ向から向かい、彼に宣言する。


「たしかに正義の味方ってのは善人も悪人も等しく助けようとするよなぁ。

俺は人間の笑顔と平和のために戦う、人間の外道も同じ命さ…だから助けなくちゃならねぇ。

だけど、俺たち特異課は正義の味方なんて生優しい連中の集まりじゃあねぇ。お前たち「悪の敵」だ…!」



   EPISODE 83「Mage of Slashes(斬撃の魔術師)」完

          次回 第84話

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