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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
シーズン2(旧)

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EPISODE 82「Love Warrior(愛 戦士)」

龍我はNo.19の妖を捜索中に七つの大罪の一人である『色欲ラスト』に遭遇し、戦闘が始まる。


彼女の術式は対象に矢印を貼って意のままに操る能力。龍我は対応出来ずに振り回され、重傷を負ってしまう。


さらに喫茶店のレンガの壁をぶち破るほどの落下攻撃で窮地に追い込まれたが、龍我は背中に刻まれた「6」を露わにして、血を吹き出しながらも自身の持つ全ての妖力を解放しようとしていた。


「こいつ…完全に目がイってるわね!」


『色欲』は先程まで追い詰めていた小僧の持つ強大な妖力を全身に浴びて、思わず後ずさりをした。


「残念だけどさぁ…あんたを倒すのは、オレじゃない…バイバイ、お姉さん!」


龍の顔のように見えた青色の妖力はパッと消えて、糸が切れたように龍我の体は前に倒れる。


その時、何者かが倒れゆく龍我の体を地面スレスレでキャッチしてくれた。


「やっと見つけた…思い出したよ…あんたは“金剛寺”さん!」


「…もぉ〜!いやーね〜今の私は“金剛寺”さんじゃなくて、“ローズ”ちゃんよ!!」


と女性口調の大男はおしとやかに笑いながら龍我を抱えて、喫茶店の壊れた壁を跨ぎ、ソファに寝かせた。

そしてゆっくりと『色欲』に歩み寄る。


「私のお店をあの子を使ってぶっ壊したのは…あなたでいいのね?」


「だったら何?あなたも妖みたいねぇ…でもあの子でも無理だったんだからあなたにも私を止めるのは無理y…!」


男?が全身に力を入れると、赤い薔薇の花弁と共に桃色のオーラがマグマのように湧き出して、湯気も出始めた。


「ぶっ飛ばされる覚悟はできてるわね?お嬢さん…。」


(なにがぶっ飛ばすよ…矢印を貼れば私の独壇場…死ねオカマ!)


矢印を貼るまでは自分以外には見ることは出来ない、避けることは不可能に近いのだ。

ローズの体に矢印が貼られると『色欲』の広角が上がったのも束の間、なんとローズは見えないはずの矢印を眼前で掴んだのだ。


「嘘でしょ…何あんた、もしかして見えてるの!?」


「見えてないわよ…勘で掴んだわ♡」


「化物め!人間にも妖にも私の矢印が見えるはずがない…術式はおそらく肉体強化系か、動体視力上昇の類ね…!」


「いいえ、言ったでしょ?ただの勘だって…!」


ローズはすでに『色欲』の脇腹に拳を当てており、一気に吹き飛ばした。

その巨体で忍び寄ったことにも気づかせない技術を有していた。


「くっ…こうなれば、行け人形ども!」


裏に潜んでいた数十体の人形たちが一斉にローズに向かって進軍する。

そこで大勢の人形たちがローズの上に積み重なるが、彼女は難なく薙ぎ払った。


「こいつら元人間よ!?それを意図も容易く…。」


「だからよ。もう人間じゃないなら、私は慈悲なんて“愛”は使わない…気の毒だけどこれが現実よ。」


ローズのオーラはさらに赤く染まり、薔薇の花弁の量がさらに増す。


「私を突き動かすもの…何かわかる、お嬢さん…?」


「知らないわよ、そんなのどうでもいいから死になさい!(なにが勘よ…まぐれよまぐれ!)」


ローズの超人的な勘を認めずに、二度目の矢印攻撃を仕掛けたが、当のローズはまたもや矢印を掴んで意にも返さずゴミのようにくしゃくしゃと丸めながら話を進める。


「私を突き動かすもの…それは“愛”!!お客さんの笑顔、私と仲良くしてくれる友達…それら全てには“愛”が宿っているの!その“愛”が私を強くするのよーー!!」


「何言ってんだオカマが…所詮愛なんて食べ物と一緒、噛んで砕けば全て消えるのよ…愛なんて口だけで本当は空っぽなのよ…。」


「『色欲』は愛を知れない…食らうだけだものね、可哀想に。」


ローズの拳に赤い妖力が集まっていく。そして、指先へと集約されてハートの弓矢が完成した。


「“天使キューピッド旋条銃ライフル”!」


指先から放たれたとてもファンシーなハートの矢はいかつい名前に沿って弾丸となり、“武装”した『色欲』の右の角を穿った。


「これが…私のもらった愛の力!(ごめんね…みんなからもらった“愛”、使わせてもらうわ!)」



           「“愛 戦士ラブ・ウォーリアー”」

ローズの術式。味方からの“愛”を受け取ることで、超人的な肉体を手に入れ、オーラを集約した技を放つことが可能。

そして何より強いのは…この術式は十秒間、「術者を無敵にする。」!



「これぞ愛のパワーよ!」


「何が愛よ!そんなもの存在しないわよ!」


『色欲』は建物の壁や地面の四方八方に矢印を貼り付けて、自身はそれに乗って高速移動する。

サーベルを召喚して、ローズの背後にある矢印に向かう際に斬りつける。それを繰り返す。


「いくらあんたでもこの速度の斬撃、かわすことなんて無理よね!」


「そうね、ならば受けるのみ!」


ローズは両手を構えてあえて防御の姿勢に出た。

斬撃スピードをさらに上げ、それならばと『色欲』はとある作戦に打って出た。


「こうなれば、斬撃と共に奴に矢印を貼る!同じ方向の矢印に攻撃しなければ、私も弾かれない!」


体全身にシールのように貼られた矢印で、反射的に拳を繰り出しても、ローズ自身の攻撃は弾かれた。


「同じ矢印の向き同士は弾かれるのね…あの少年は服を脱いで矢印を無効にした…なら!」


ローズは服についた矢印を払うため、黒い上着を脱ぎ捨てた。

突破口を見つけたのだ。

現れたのは筋骨隆々の肉体で、凱よりも筋肉が多い。


「脱いで何になる!さっきから私に切られ…ん!?体に、傷一つなし…ですって!!」


もう一度言おう。術式「“愛 戦士”」発動中、術者の肉体は十秒間「無敵」となる。


そして、ローズは『色欲』が次に向かう場所をただの勘にて完璧に把握し、拳を構える。


「くらいやがれぇぇぇぇぇ!!!!」



           「“ラブ拳骨ボンバー”!!!!」



右腕に“愛の力”をため込んで、一瞬の速度にて、隕石衝突と同じくらいのパワーで『色欲』の顔面を正確に捉えて、直撃させた。


地面にクレーターができるほどの威力と、遅れてやってきた衝撃波が周囲の窓ガラスを割り、建物にヒビが入っていく。

クレーターの周囲は赤熱化しており、どれほどの威力だったのかが分かる。


「オカマ舐めんな…。」


「この…私…が…醜いオカマなんか…に…!」


痙攣しながら倒れた『色欲』は脚から順に灰化して、そのまま消滅していった。


ローズは再び上着を羽織って、ゆっくりとソファの上の龍我に向かう。


「大丈夫かしら坊や。」


「あ、はい…あなたを探してたんです…急で申し訳ありませんが、オレたちの所に来てくれませんか…?」


「う~~んお店壊れちゃったし、しばらくは営業できないから、いいわ、あなたたちの所に行くわ!私はこの「喫茶りりっく」のマスター、ローズよ。以後お見知りおきを♡うっふ~ん♡」


No.19 ローズ 確保


「“七つの大罪”」『色欲ラスト』撃破



        EPISODE 82「Love Warrior(愛 戦士)」完

           次回 第83話

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