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ゴースト・ウィンド:特異超常現象捜査課  作者: さだはる
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EPISODE 79「Growling tiger shows its fangs.(唸る猛虎が牙を向く)」

「“七つの大罪”」の『暴食』が北国の妖狩エージェント・真白の氷結術式により撃破。


そして特異課に戻らない理由を冗談や話を逸らして聞かせないようにしていた真白は突如背後から現れた少女の蹴りによって気を失った。


その少女・小雪は自らを「真白の付き人」と名乗った。そして琥珀たちに謝罪した後、真白の耳を引っ張って帰っていった。


「…結局理由は聞けずじまいか。ま、オレたちはミッションを遂行するのみ、三手に分かれて探そうか。」


龍我の提案により、三人はそれぞれの場所に分かれ搜索することにした。


・分かっている情報はナンバーは「19」。

・年齢は30代後半〜40代前半

・現在は自分の店を持っている。(何の店かは分からない)


一方、女子高生に耳を引っ張られながら帰宅する真白は小雪に泣きつきながら歩いている。


「ごめんて雪ちゃん!置いていったのはごめんよ!ほら、女癖は直すからぁ!」


「それ聞いたの38回目です!…私が怒っているのは、ナンパだとか、怠け癖だとかそんなんじゃなくて…なんで仲間に本当の事を打ち明けなかったことです!」


「!…そ、そりゃああれだよ琥珀ちゃんたちも忙しいからさ!ゆっくり話せなかったというか…。」


「またそうやって逃げて、誤魔化す。私はいつもの真白さんが好きですが…そういう所は嫌いです!」


と腰に手を当てて頬を膨らませながら真白に叱りつける。

可愛く見える仕草の裏にはしっかりと真白を思いやる気持ちはたしかに感じ取れた。


「なんで本当の事を笑顔で隠してまで言わないんですか…?」


「それは…。」


その時だった、小雪の背後に二人の人影が現れた。

帽子を目深に被っており、どこか生気がないように感じた。


(気づけなかった…この僕が!なんだこいつら、本当に人間か!?)


二人の男たちは動くたびに関節からギシギシと音が鳴り、小雪の腹に拳を入れて、彼女を気絶させた。


見えなかった、彼女の体が死角となってしまっていた。雷牙に次ぐ速さを持つ真白でさえも反応できなかった。


その時真白の何かがブチッと音を立てて切れた。


「雪ちゃん!!てめぇら、何しやがったぁぁぁぁぁ」


温厚な真白から出たとは思えない、低く鋭い怒号が町中に響き渡る。


「何者なんだてめぇらはよぉぉ!!小雪を離しやがれぇぇぇ!!」


温厚な時の真白なら、徐々に凍てつくような冷気を身体から放っているが、今の激情の真白は身体から一瞬で凍結するような冷気を放出し、タイルの床もビルも街路樹も白く染まっていく。


「離せぇぇ!!」


しかし、もう一人の帽子を被った男はいなかった。

だが今の真白は自分の理性も力も制御しきれない獣と化していて、気づくことはなかった。


いつの間にか腹を殴られ、真白は地面に倒れた。


真白は再び目を覚ました。気づいた時には真白と男二人の姿はなかった。

凍結も解除され、住民が倒れた真白を心配して近づいたが、彼は人混みを振り払って走り出した。



その頃琥珀はそれぞれの場所で「“セカンド”」を搜索していた。

飲食店を虱潰しに覗いて、町の人たちに聞いても知らないと言われてしまう。


その時、琥珀の目の前から走ってきた少女を抱えた一人の男とぶつかって彼女は尻もちをついてしまった。


「いてて…どこみて歩いてんのy…!?今抱えてたのって…!」


遅れて後ろの方で琥珀の名を呼ぶ声が聞こえた。人混みをかき分けて誰かがこちらに向かってくる。


「琥珀ちゃん!そいつ追ってくれ、小雪がそいつに攫われた!!」

「!?」


やはり自分の違和感は間違っていなかった。

琥珀はすぐに踵を返して小雪を抱えた謎の男を真白と共に追いかける。


術式を使えばすぐに捕まえることが出来る。しかし、一般人の前で使えば甚大な被害が出ることは容易に想像できるのだ。


「くそ、待ちなさい!」


人間というにはあまりにも速く、動けば音がなる。

人のようで人ではない。


もう一人の男まで合流し、二人が行き着いたのは廃工場。


今は使われていないその工場内の中央には一人の男が立っており、気を失っている小雪を抑えていた。


両脇腹だけが空いている謎の服を着ており、世紀末風のジャケットを羽織っている。

そして右の脇腹には「18」と刻まれていた。


「よぉ、狙い通り来てくれたなぁ特異課!」


「あんた…「“セカンド”」ね!」

「雪ちゃんを返せ…。」


「だめだ、このガキはお前が覚醒するために必要な生贄なんだよ!」


彼の狙いはどうやら小雪ではなく真白であり、彼の何かを引き出させようとしているようだ。


「こいつが特異課に戻らない理由…それは自分の力が怖いからだ!暴走する式神の力に抗えずいつ暴走するか分からねぇ爆弾状態!」


「で、あんたらの思想を借りて言うと、真白を式神から解放し、思いのままに暴れさせること…でしょ?」

「…。」


「図星ってわけね…!」


「ふざけるなよ…僕はお前らの思い通りにはならない!」


「これでもか…?」


男はニヤけながら指先をナイフへと変化させ、小雪の白い肌へと向ける。


「おい、やめろ…それ以上そのナイフを近づけてみろ…君を殺す!!」


「ほい。」


男は真白の言葉の逆を行き、さも当然かの如く小雪の顔に傷をつけた。


「てめぇぇぇぇ!!!!」


まだ温厚な態度だった真白が再びぶち切れた。口調も顔も荒々しく変化し、指先から氷の弾丸を発射した。

しかし、指先の小さなナイフで弾かれてしまった。


「ちょっとアンタ!自分があれだけ大事だって言ってた小雪ちゃんにもしさっきの攻撃入ってたr…」


「うっせぇぞ小娘ぇ!!死ななきゃ無事なんだ、それでいいだろうがぁぁ!!」


さっきの真白とはまるで、いや確実に別人だと分かる変貌を遂げていた。

そのあまりの変化に、琥珀は思わず一歩引いてしまった。


「アンタ…誰よ…!」


「…“俺”か?俺は『白虎』!弱虫の真白に変わって俺が全てを片付けてやるよぉぉぉぉ!!!!」


すでに“僕”ではない、一人称を“俺”として自らを『白虎』と名乗った。


「小雪を離せ、ナイフ野郎…!」


すると、両頬に虎の爪型の痣が出現して黒いモヤが真白、いや『白虎』の全身を覆った。


そして変化した、『白虎』・“激情態”へと。


『全部凍りやがれ…小雪だけが無事ならそれでいいんだ…全部死ねよ、全部!!』


         

EPISODE 79「Growling tiger shows its fangs.(唸る猛虎が牙を向く)」完

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