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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 67「破邪の剣」

赫夜が繰り出した「“血楽園”」により、死体同然の扱いとなり常時体からは灰が零れ、彼女の猛攻により瀕死の重傷を負ってしまう。


しかし、風雅はあえて赫夜を誘い込み、彼女の頬を掴んで口づけをした。


(まさか…今の妾への攻撃は全て囮…?!)


(俺の全妖力を…口に集めてあんたの体内に送り込んで…魂を完全に壊す!!)


体内でビックバンに等しい衝撃が赫夜の魂に届いた。魂は傷つきヒビ割れ、暴れ狂う。


「花ちゃんを返せ…女狐!」


「おのれぇぇぇぇぇ!!!」


風雅はさらに力を入れて赫夜の魂にダメージを与え、ついに耐えかねた彼女は花の身体から飛び出していった。


花の身体は返され、髪は元の黒髪に戻った。しかし肉体の主導権を取り返したはいいものの、花の魂は完全には浮上しておらず眠ったままだ。


花の身体から赫夜が抜けた影響か血の海は消え、風雅にもたらされた状態異常も完全に治った。

魂だけとなった厄災は怒り狂い、全体に黒いモヤを纏い始めた。


「貴様だけは絶対に許さぬぞ…!八雲 風雅ぁぁぁ!!」


中央の魂を核として黒いモヤが人型を形作った。それは自らの式神『九尾』の「“激情態”」であった。


禍々しくなった狐型の亜人と化した赫夜。純白の体躯に生えた九本の尾の先は血のように赤く染まっている。


「お主を殺すのにプライドなぞ必要ない…じわじわと嬲り殺してやるわ!!」


「おぉ、女王様お怒り…じゃあ心置き無くあんたをぶっ飛ばせるな!」


風雅は抱き抱えた花を安全な場所に置いた後、再度『神狼』を“武装”。

しかし「“激情態”」と化した赫夜はスピードとパワーが格段に上昇し、風雅が一撃だけで「重い。」と声を漏らした。


「地に這え!」


その一言で風雅の身体は重くなり、潰れるように地に這いつくばってしまった。

琥珀の「“超重力”」以上の威力を発揮し、骨はミシミシと音を立てながら地面と一体化してしまいそうだ。


「小娘の身体を使ってこの地球ほしの生物を全て支配するはずだったのに…せっかく手に入れた器なのにぃぃ!!」


「お前の好きにはさせない…どいつもこいつも花ちゃんから笑顔を奪いやがって…これ以上あの子の悲しむ顔なんて見たくない!!誰かの涙はこりごりだ!」


身体を重力に支配されていながらも、風雅は歯を食いしばって立ち上がる。

ガントレットの広がった亀裂から妖力が漏れ出て力の供給も出来ないのに、青年は一人の少女のために魂を燃やす。


「お前を倒して…花ちゃんと一緒にまた笑うんだ!」


「ほざけ小僧!…!?」


その時、ザクッという音が赫夜に聞こえた。視線を下に向けると、自分の胸に、黒い刀が突き刺さっていた。


「あの刀は…!」


「その意気だ風雅、それでこそ妖狩エージェントだ…!その刀を使え!」


彼の危機に駆けつけたのは、鴉丸司令官であった。

右手には廃人となった元・『死神』のシンを抱え、ヒカリはその後ろについていた。


鴉丸が投げつけたのはシンの愛刀・月闇ツクヨミ

何も知らない赫夜は胸から月闇を引き抜き、風雅の目の前に投げつけた。


「そのなまくら刀で何が出来ると言うのじゃ…!」


「こんなことが出来るぜ…!」


風雅は月闇を右手に握り、残りカスに等しい妖力を流し込んだ。

風の術式「“疾風”」は翠緑色のオーラだが「“ソウル・ハウリングの咆哮”」は虹色のオーラへと変わっている。


魂を撃つ術式のオーラが月闇の刀身へと流れ込み、刃は虹色へと光り輝く破邪の剣へと変化した。


赫夜はわずかに残った花の術式を使って血の槍と触手を作り出し、風雅にトドメを刺そうとする。


風雅は月闇を振るって風の斬撃を飛ばしながら触手を切り捨てていく。

彼が得意なのは拳撃だけではなく、あらゆる武器の扱いも巧みに使いこなすのだ。


ついに刃が届く距離に立った時、赫夜は死角から風雅を血の武器で貫こうとしていた。

気づいた時には彼女の手はすでに風雅の心臓を狙っていたのだ。


「終わりじゃ、死ね!」


しかし何も発動出来なかった。赫夜の体には紅色の茨が巻き付いていた。


「この茨は…花、あの小娘め!」


息を吹き返した花はせめてもの抵抗で赫夜を無力化した。一矢報いたのだ。


「邪鬼、退散…!」

「っ!」


刀を両手で持ち、静かに力強く、振り下ろす…

刃は支配を司る白の厄災に届き、その純白の身体を切り裂いた。

これが、術式の境地に至った渾身の一撃


        

           「魂を断つ斬撃」



袈裟斬りにされた赫夜の身体は核となった魂ごと真っ二つに両断され、黒いモヤは消えていく。


最期の抵抗で実体を持った赫夜は再び気を失った花に手を向け、何も出来ずに拳を握った。


「(花…、妾は…何がしたかったのだろう…今は清々しい気分だ…)

八雲 風雅…厄災の妾を殺したということは、さらなる悪夢が始まるということ、仲間と共に震えて世界の終焉を見届けるがいい…!!!」


と言い遺しその魂は炎に包まれ消滅した。


風雅もとっくに限界を迎えており、刀を握ったまま玉座へと倒れ込んでしまった。


その時、研究所全体にとあるアナウンスが鳴り響いた。


【みんなー今までお疲れ様ー今日で財団HANDは解散だ!ということでこの研究所爆破するからあと三分で逃げてねー地下に来たネズミたちと一緒に…。】


「なんだと…!」



         研究所爆破まで残り三分



             EPISODE 67「破邪の剣」完

      次回 第68話 シーズン1最終回

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