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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 65「九尾の妖狐」

花の中に宿る4体の厄災の一人、「“支配”」を司る赫夜かぐやが完全に顕現してしまった。


赫夜がほんの小手調べとして妖力の一部を解放。しかし、その規模は女王の間全てを包み込むほど巨大で濃厚。

その妖力を浴びた風雅は本能的に敗北を悟る。


鴉丸たちの援護で外では凱たちが風雅の安否を心配し、財団のメンバーたちを蹴散らしていた時だ。

彼らも女王・赫夜の放った妖力を感じ取ってしまい、震え上がった。


「なんだよ…コレ…!」


「こんなデカい妖力、初めて感じた…!!こんなの、オレでもまともに戦えるかどうか…!」


「花姉ぇ、風雅…!」



風雅は身体中から決壊したダムのように汗が流れ、生まれたての小鹿のように脚は震え、赫夜から逃げるように足を下げる。


「ダメだ…俺はコイツに殺される…逃げるか、皆を呼ぶか?いや呼んでも全員殺される…!動け動け足動け!…いや、何で逃げようとしてんだ俺は…。」


風雅は足の震えを必死で抑え込み、自分の両頬を叩いてパン!と高い音がなった。

その顔つきは覚悟を決めた男の顔だ。


「花ちゃん助けるまでは絶対逃げねぇぞ…!」


風雅は赫夜に向かって無鉄砲に走っていく。


「滑稽滑稽!血迷ったか?予言してやろう、お主は妾に一度も触れることなく、死ぬ!」


雄叫びを上げながら跳躍、その際に右腕に“武装”を施して赫夜に攻撃を仕掛けるのだった。



        ー財団本部 コンテナー



時は遡り風雅が花と話している頃、鴉丸は廃人となってしまったかつての戦友・シンと彼に付く少女・ヒカリと共に待機していた。


ヒカリは鴉丸の方を向いて質問をした。


「シンはどうして妖狩エージェントになったの…。」


「俺も一回聞いたことがある、だが答えちゃくれなかった。

あいつには学校行ってダチ作って普通に暮らす道も出した…だがあいつは敢えて危険な道を突っ切った。

それはあいつ(風雅)らも同じさ、普通の人生を送ってほしかった、でもあいつらはシンと同じ道を選んだ。」


「たぶんあなたは自分のせいだって責任を感じてるだろうけど、シンたちはまったく後悔してないと思う。」


「お前…一体何者なんだ…。」


その時だ。財団の特殊部隊が地下のコンテナまで入り込み、彼らに銃口を突き付けていた。


「大人しくしろネズミめ。」


「俺からしたらお前らの方が害獣に見えるぜ?いや、害虫か…。」


「っ!、撃てぇぇぇ!!!」


ヒカリはシンを守ろうと再び体に負担が掛かる術式を発動しようとしたが、鴉丸が止める。


「使うな、俺がやる…。」


鴉丸の煽りに簡単に乗った隊長の指示で一斉射撃が始まった。

しかし彼は床のタイルを足踏みだけで浮かせ、盾に変えて弾丸の雨を防ぎ切った。


さらに右手だけでコンテナの端を掴んで部隊に投げつけた。

三人ほどがミンチに。残りの隊員と隊長はリロードをしてから再度弾丸を発射。


鴉丸はヒカリたちに害が及ばない所に敵を惹きつけ、なんとフックだけで全ての弾丸を無傷で弾き、隊長に近づく。


隊長は足からコンバットナイフを抜き取って鴉丸に攻撃を仕掛けた。


「こんな簡単な挑発に乗るなど、リーダーの器としてはまだまだだな…。」


「黙れネズミがぁ!『死神』と『巫女』の身柄を渡してもらおう!」


「嫌だと言ったら?」

「殺して奪う!」


鴉丸は距離をとって右の拳を引いて、必殺の一撃の構えを取る。


「この技は全ての基本…極限まで鍛え上げた人間だけが…会得できる技!」


隊長はその構えに何の恐怖も抱かずに真っ直ぐ突っ込んでいく。

それが彼の人生最大のミスだった。


「“真空弾”っ!!」


鴉丸の拳から放たれた巨大な空気の塊、塊は拳の形となって隊長たちを吹き飛ばし、一発で撃退することが出来た。


「人間なのに強いのね。」


廃人となったシンは声も意識も無くても光の無いその虚ろな目で鴉丸の戦う姿を見ていた。


          

           ー女王の間ー



風雅は覚悟を決め、赫夜に攻撃を仕掛けようと飛び上がる。

そして風を纏った拳が赫夜に直撃する瞬間、風雅の体は赫夜から離れていた。


「…?!」


本人さえも気づいていなかった。たしかに走った。たしかにこの拳は当たるはずだった。


「どうした、息が荒いぞ?小僧。」


「その体で喋るな!」


再び拳を繰り出すが、またもや当たらなかった。

いつの間にか「自分」が赫夜と距離を取っているかのような感覚だったのだ。


「だから言ったじゃろ、一度も触れられないと…。お主が無意識に娘を攻撃することを拒んでおるからじゃ!

せっかくの機会じゃ、娘の術を食らってあの世に行くがよい!」



          「『九尾』…“武装”!」



赫夜は九つの尾を持った邪悪なる傾城の妖狐・『九尾』をモチーフとした式神を“武装”した。


白い髪は一層白く、狐のような耳と背面から九本の尾が波打ちながら生えた。


「これが妾の真の姿…妾こそが九尾であり、九尾もまた妾である!さぞ美しかろ?」


先程の通常形態でさえ本能で敗北を悟った風雅。“武装”状態で放たれた妖力を浴びた風雅は、何も、何も考えられなかった。


「妾の“武装”効果は受肉先の術式を独自に改造、強化する。

お主らに分かりやすく言えば「バフ」というやつじゃな。」


「そういや花ちゃん、ずっと兄貴のゲーム見てたな…。」


「それ、一つ賭けと行こうかのぉ…!」


赫夜は両手で印を結んで唱えた。

花を利用し、その能力で最高の地獄を作ることに成功した。



           「“血楽園けつらくえん”。」



その名を唱えたと同時に辺り一面が血の海と化し、壁も天井も全て赤く染まった。


「今からお主には九つの死の過程を体験してもらう。九つ全ての死を旅する前に妾を倒し、娘を救ってみよ!!」



             EPISODE 65「九尾の妖狐」完

           次回 第66話

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