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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 64「純白の支配者」

自らの式神に身体を乗っ取られ「“激情態”」となってしまった『死神』。

風雅は瀕死の重傷を負うが鴉丸司令官が助けに入り、戦況が変わった。


しかし鴉丸から『死神』、もとい“シン”を助けて欲しいと懇願され、風雅は二つ目の「“魂に干渉する術式”」に覚醒。


鬼神オーガ』の支配から解き放たれたシンは背後の装甲から飛び出して気を失った。


シンの身体は傷なく綺麗だが、上半身の服は無くなっていた。

シンに近づいた時、風雅に見えたのは、左肩に「0」という数字。


「きっとこいつも財団の地獄に耐えていたのだ。自分たちと同じなのだ。」


と哀れみの気持ちを抱き、彼に触れようとした時だった。

一筋の閃光が風雅の手を弾いた。


その刹那に金髪の少女が倒れたシンの前に立ち塞がり、風雅たちを睨んでいた。


「君は一体…!」


「これ以上シンをイジメないで…私全部知ってる。シンがどれだけの痛みを味わったか、どれだけの不幸が彼を苦しませたのか…!」


少女・ヒカリはシンの頭上に光の結界を作って彼を包んだ。

鴉丸も不思議がって彼女の前に出る。


「お前はそいつの何なんだ…。」


「私はこの人の光…これ以上誰にも手出しはさせない。」


結界の中でシンは目を開けたが、完全に意識は戻っていない。

麻酔明けのフワフワとした状態に近い。あれだけの攻撃を受けたのだ、声も出ない体も動かない、ただぼやけた視界で世界を見て、耳で聴くことだけだ。


「安心しろ、もう手出しはしないよ。俺はそいつを助けただけだし、たぶんもう敵対はしないと思う。」


「何故そんなことが言えるの…!」


「さっきそいつの魂に触れた。あの日、あの時の東京で全員を守ったのがシンだってことが分かったから…すごく悲しそうだったよ。」


その言葉を聞いて、ヒカリの張り詰めた表情が少し柔らかくなった。

しかし彼女の術式の代償は忘れた頃に返ってくる。


彼女の術式は一度使うだけで莫大な負荷が掛かる。風雅の手を弾いた閃光で動悸、シンを包んだ結界の長時間使用で咳、吐血で倒れ込んでしまう。


「おい、大丈夫か!おやっさん…。」


「お前は花の所に行け、俺はこの二人の面倒を見よう。助け出したから外にいる凱たちと合流だ。」


「了解、司令官…!」


風雅は傷だらけの身体をものともせず花のいる部屋へと走っていく。

道案内は耳に付けた通信機から雷牙がナビゲートしてくれる。



          ー財団 女王の間ー



女王の間と呼ばれるその部屋は絢爛豪華でまさに女王が座す部屋に等しい。

その中央の玉座には拘束されていない花が項垂れるように座っていた。


すぐに駆け寄って花の肩を揺すった。しかし、彼女の精神は博士のような男に壊され、放心状態だった。


「花ちゃん、花ちゃん!俺だよ!」


死んでしまっているかのように応答がなかったが、その3秒後に弱々しい腕が動いて風雅の強くたくましい腕を掴んだ。


「風雅くん…私ってこのまま生きてて良かったのかな…皆に迷惑ずっと掛けて、身近な人たちが傷つくのは私のせいなのかな…。」


「何言ってるのよ、誰もそんなこと思ってないし、花ちゃんには何も関係ないでしょ?」


と優しい声で花に声を掛けるが、さらに掴む力は強くなる。


「私がいなければ何も起きなかったのに…なんで私を助けたの?!あのまま見殺しにすればよかったのに!」


今まで聞いたことのない花の怒号。風雅は驚きつつも、花の目線に合わせてしゃがみ込み、慈愛に満ち溢れた顔で彼女の頭を優しく撫でる。


「なんで助けたって?…君が助けて欲しそうだったから、だよ。」


「!?」


「まー何しようが問答無用で助けたけどね。あのガラスケースに入れられた悲しそうな花ちゃんの顔は、今も忘れない…俺たちと重なったから、余計に助けなきゃってさ…。」


「でもそれは『女王』の支配の力なんだよ…相手を魅力して駒にしてたんだよ、私が…。」


「関係ねぇって、だって花ちゃんのこと好きだもん。」

「…へ?」


「女王がなんだ、器がなんだ、花ちゃんは花ちゃんだ!そうやってたぶらかして花ちゃんを追い込ませたやつは許さん!」


風雅は花を少しでも笑顔にするため、コミカルな口調を交えながら会話する。

いつもの花や皆との会話を思い出して鮮明に話すため、次第に花の顔は赤くなっていく。


「帰ったらピザパーティーだ、『女王』の摘出も特異課なら出来る!」


「…!、うん!」



            グシャッ!!



何かが刺さったような鈍い音が二人に聞こえた。風雅が見下ろすと、赤黒い触手のような物が自分の腹を貫通していた。


「え…?」


「風雅くん…?」


その触手を辿ると、花の背後から飛び出していた。

触手は勢い良く腹から抜けて風雅は押さえながら何とか意識を保った。


「花…ちゃん…?」


「んん?誰じゃその娘は?」

「!?」


風雅が見上げるとそこに居たのは、花であって花では「何か」だった。

髪は白く、鬼のような角が生え、古風な言い回しを使用する謎の女。


「お前…誰だ…っ!!」


わらわか?妾は四人の“厄災”が一人、“支配の赫夜かぐや”!!」


完全に受肉した。腹の中にいた『女王』こと赫夜は成長し、花の身体を乗っ取ってしまったのだ。


「なんでこうも二連続で身体乗っ取られるんだよ!!クソが!」


「やったぁ成功だ!!」と部屋の陰で男は喜び地団駄を踏む。そして風雅にバレぬようにそっと姿を眩ませた。


「厄災…たしか前に件が予言してた奴らか…!」


「そうじゃ、“白の支配”、“赤の戦争”、“黒の飢餓”、“青の死”…妾は第一の厄災に該当するらしいのぉ。さて坊主、妾をどうしたい?」


「決まってんだろ…?花ちゃんを返せ。その一択だ!!」


「ふっ…」


赫夜は風雅の答えを鼻で笑い捨て、片手に花に渡した護身用の剣を召喚して装備した。


「妾はこの娘を幼き頃から見ていた…しかし身体の扱いは本物オリジナルよりも一枚上手じゃ!」


剣を振るっただけで巨大な血の斬撃波を作り出し、風雅目掛けて飛んでくる。

瞬時に風のバリアを張って対応し、その隙に射程範囲外に避難することは出来た。


「まぁ初撃はお遊びじゃ、よく避けたのぉ。」


「あんなデカい攻撃が「お遊び」…?ヤバすぎるだろ…!」


と心の中で叫んだ矢先に、赫夜は自身の持つ妖力の「一部」を解禁。

身体から放たれる純白のオーラは部屋全体を覆った。

服従したくなるようなその力の差に風雅は本能的に悟ってしまった。



        「こいつには、絶対勝てない!」


   

   特異課 記録 2010年 7月10日 PM 15:36 

第一の厄災・「支配」の赫夜、器の身体に受肉した後、完全顕現を確認。



            EPISODE 64「純白の支配者」完          

           次回 第65話

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