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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 61「Memories of the numbers」

日本某所にある財団HANDの本部。その中枢に位置する研究所では、『女王の器』である少女・花が囚われの身になっている。


そして花を、大事な家族を取り戻すため妖狩エージェント:『神狼』こと八雲 風雅は単独で侵入した。


ダクトや裏口から侵入したのではない、正面から堂々と入ったのだ。

本部内に侵入者を知らせる警報が鳴り響く。


その姿、まさに歩く災害。片手で台風に相当するレベルの強風を発生させ、白服の財団メンバーたちを吹き飛ばしながら前進する。


戦闘員の内の射撃部隊たちは銃を構えて一斉射撃を開始した。

しかし、風のバリアを作り出して弾丸を受け止め、四方八方に弾き飛ばした。


赤いマフラーをたなびかせ、翠緑色のオーラを拳に集めて「“疾風弾”」を繰り出して部隊を吹き飛ばして撃退してしまった。


花と博士のような男はその様子をモニター越しから見ていた。

彼女は嬉しさからか体を大きく揺らして拘束を外そうとするが、男は花の周りに雷雲を呼び出して脅しをかけた。


風雅はエレベーターに乗り込んで地下の研究所へと向かう。

エレベーター内にも部隊が入り込んでくるが、風雅は表情を一切変えることなく狭い箱の中で隊員たちを血祭りに上げる。



       ー財団HAND本部 地下一階ー



何も知らない研究員は一階のフロントに上がろうとエレベーターの前に立っていた。


扉が開いた時、研究員の顔は一瞬にして青ざめ両手に抱えていた資料の束を床に落とした。

目の前に広がっていたのは血の海だった。


特殊防護服に返り血を浴びて相手の顔を原形が無くなるほど執拗に殴っている風雅が現れた。

そしてゆっくりと研究員の方に顔を向け、低い声で聞いた。


「あんたも乗るか?」

「ヒッ…!」


「こいつらみたいになりたくなきゃ…『器』…花ちゃんの場所を教えろ…!」


「ち…地下4階だ!だから頼む見逃してくれっ!!」


風雅はその情報だけ聞き取ると、研究員に手を出すことはなく、地下4階へと向かった。


彼が本部を特定できた理由。それはかつてこの場所と似た研究所で人体実験を受けていたからだ。


地下4階へとたどり着いた風雅は、深呼吸をした後、その目で研究所の光景を焼き付けた。


「ただいま…。」と被肉まじりの発言をして、かつての惨劇を思い出す。



         ー10年前 2000年ー



デイブレイクと呼ばれる超能力者による大規模無差別テロ攻撃の影響で焼け野原と化した東京。


風雅と雷牙の兄弟は一度命を落とすが、妖として覚醒する。

しかしまだ術式は使えず、超回復能力と高い身体能力を有していた。


二人は極限状態により自分が人ならざる存在に覚醒していたことに気づいていなかった。

雷牙は顔に傷を負い、母を失った弟風雅を自分のことは二の次で励まし続けた。


「風雅、俺たちで…幸せになるんだ絶対に…!」


周囲には皮膚が爛れて水場を求め彷徨う人間たちが跋扈していた。子供である二人の脚にしがみついて火傷を負わせることもあった。


その時の光景がトラウマとなり、最近まで悪夢としてうなされることになるのだ。


スーパーなどで生き残った物資や食べ物がないかと漁っていた時、まだ齢4歳の琥珀を背負っている凱と遭遇した。


雷牙は幼いながらに「今は生存者と協力するべきだ。」と考え、凱たちと協力関係を結んだ。

助けが来るまで耐え忍ぶことにした。


しかし、彼らの前に現れたのは救助という天使ではなく、財団という悪魔だった。


いつの間にか子供たちは9人となり、ショッピングモールの在庫だけで一ヶ月もの生き延びることが出来た。


後は救助を待つだけだ。そんな淡い希望を持っていた時だった。

突如モール内に毒ガスが充満した。


非力な子供関係なく、どんなに強靭な大人だろうと必ず眠ってしまうガスが9人の生存者を襲った。



風雅が目を開けるとそこは一面真っ白の箱庭だった。自分も真っ白な服を着せられ、辺りを見渡すと自分と同じ格好をした人間たちが次々と目覚めている。


「兄さん…兄さんどこ!」

「ここだ!」


風雅の声を聞いてすぐに雷牙が駆けつけた。この箱庭にいる人たちは30人くらいだろう。


上を見ると長方形の長い窓が見えた。そこから風雅たちを覗いていたのは博士風のあの男だった。

マイクを使って箱庭の中の実験体たちに語りかけた。


【はーい皆さんこんにちはーこんばんは〜。皆さんは無事あのテロを生き延びた奇跡の生還者!】


「何が生還者だ…あいつらのせいで…妻と息子は…!」


風雅の背後では後に医師となる椿の姿があった。


【皆さんは生き残ったけど、人間を超えた超進化生命体になってしまいました…そして君たちにはこれからすごい超能力が体に刻まれて、使えるようになります!

だからぁ、今から皆にはいろーんな検査を受けてもらいます!】


地獄の人体実験が始まったのだった。

30人のマウスたちは服を脱がされ、ランダムな位置に1〜30までの番号を体に刻まれたのだ。



そして現在、地獄のような人体実験を受けた場所と酷似したこの場所に風雅は立っている。


最初に花を助けた時も、鴉丸に自分たちが助け出された時も財団HANDが全てに絡んでいる。


やっていることは10年前から何一つとして変わっていない。

未だに人が攫われ、酷い実験が繰り返されている。


必ず花は助け出す。そして今度こそ財団HANDを完全に潰す。

そう決意して瞼を開ける。

目の前には妖刀・月闇ツクヨミを構えた『死神』が立っていた。


「消え失せろ…『神狼』…!」


「ぶっ飛ばす…!」


      EPISODE 61「Memories of the numbers」完

           次回 第62話

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