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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 60「解放戦線」

謎の男の天候を操る術式によって再起不能寸前まで陥る八雲兄弟。

さらに『女王の器』である花を奪われてしまう。


失意と後悔に満ちた叫び声を上げる風雅。ダメージのせいかそのまま倒れてしまう。


「みんなー!!」


聞き覚えのある少女の声が山に響いた。

声の主は琥珀だった。『死神』との戦いで気絶した凱を無重力で浮かせながら二人を探していた。


琥珀の声に気づいた雷牙は、脇腹を抑えながら琥珀に分かるようにと指先から空に向けて雷を出して合図した。


発煙筒の代わりだろう。

すぐに気づいた琥珀は二人の元へ駆け寄った。

倒れて意識を失った風雅を浮かせ、雷牙に事情を聞いた。


「雷牙、花姉ぇは!?」


「ダメだった…!」

「そんな…。」


雷牙は男の出現させた雹で脇腹を抉られていたのだ。龍我も遅れて到着し、雷牙に肩を貸す。



         ー京都 特異課本部ー



医務室で目覚めた風雅は花を助けられなかった後悔から執拗に地面に拳をぶつける。


「くそっ!くそっ!」

「落ち着け風雅!」


「これが落ち着いていられるか!?俺一人で財団の本部に行ってやる…!」


「馬鹿野郎、場所も知らねぇのにどうやって行くんだ。」


鴉丸の一言で歩み出そうとしていた足が止まった。そして髪を掻きむしりながらベッドの上に座ってしまう。


「風雅、一人で行く気ならアタシも行くよ…アタシも花姉ぇを助けたい!」


琥珀が立候補したが、風雅は断った。彼女をトラウマである場所に連れ行きたくないからだ。

凱と龍我、雷牙は今すぐ動ける状態ではない。


鴉丸は「死ぬ気で助けたいなら一人で行けばいい。」と言った。

それを真に受けたのか風雅は一人立ち上がって医務室を出ていってしまった。



         ー財団本部 地下ー



凱と龍我との戦闘でダメージを負った『死神』は壁にもたれ掛かりながら地下牢のような場所を歩いている。


そして一つだけ綺麗に整えられた部屋にたどり着いた。

彼は倒れ込んでその部屋に入った。


「お疲れ様…『死神』さん。」


彼の頭上で儚げな少女の声が聞こえた。残り少ない体力で頭を上げ、少女の顔を見た。


白い服に身を包み、優しく淡い金色の頭髪と瞳を持つ少女だった。だが半ば生気がないようにも感じられる。


「“ヒカリ”…体の調子はどうだ…。」


「今日は安定しているわ…あなたの方が酷い有り様だけど、大丈夫?」


『死神』はこの少女に何か特別な感情があるのか、体を這ってベッドにもたれ掛かる。


「いじめられたの、『死神』さん…。」


「少し邪魔が入った…!」


「頭乗せて…。」


『死神』は少女・ヒカリの言葉に応え、頭を彼女の小さな膝の上に乗せた。

ヒカリは右手を『死神』の頭の上に乗せて優しく撫で始めた。


「それは痛かったね、辛かったね…。」


すると頭を撫でるヒカリの右手が光を発し始めた。それは暖かく、優しい光だった。

その光に包まれた『死神』の体から傷や埃は綺麗さっぱり消え去り、血色も良くなった。


「やめろ、術式を使うな。お前の体力が持たない…。」


「あなたがこの世から消えてしまうよりかはマシよ…ゴホッ!ゴホッ!」


ヒカリは術式使用後に激しい咳をしてしまい、ベッドに倒れ込んでしまった。

『死神』は起き上がって布団を被せる。


「だから言ったんだ、使うなと…。」


「最近のあなた辛そうだから、癒してあげられたらと思ったんだけど。」


「『死神』は苦痛など感じない…勝手に気を使うんじゃない…。」



         ー財団本部 研究所ー



花は目を覚ました。体は拘束されている。

部屋の中はまるで神殿のように荘厳であり、拘束されている場所も玉座とも言うべき豪華仕様。


隣には天候を操る謎の男が立っていた。


「あなた誰…ここはどこ!」


「おっ、起きたか。おはよう『女王』。」


「あなたたち…もしかして財団って奴らね!風雅くんたちに酷いことして、今度は私で何をしようってい…」


「ちょいちょい、君はただの『器』だろ?僕が話しかけてるのは君のお腹にいる『女王』だよ?勝手に口を開いてもらったら困るよ。」


と男は花の頬をつまんで口を閉じた。その時、財団本部全体に警報が鳴り響いた。


         【侵入者、侵入者】


「なんだよここから良いとこだってのに…。」


頭を掻きながら男はモニターを宙に展開し、侵入者の姿を確認した。


彼は嬉しさか興味本位か、口元を隠しながらニヤける。


「『器』ちゃん、君に朗報だよー。君の大大大好きな子が来てくれたよ〜“一人”で。」


たった一人で財団本部に突入した者とは、妖狩エージェント:『神狼』こと八雲 風雅であった。


「風雅くん!」


「花ちゃんを…返せっ!!」


              EPISODE 60「解放戦線」完

           次回 第61話

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