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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王の器を奪還せよ。』

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EPISODE 58「死ぬ気で」

その身に『女王の幼体』と言われる生命を宿してしまった少女・花。


かつて財団で人体実験の被害にあっていた彼女を助け出したのが風雅だ。

それ以来彼女は風雅に懐き、家族のような間柄になった。


処女でありながら『女王』を身籠った彼女を安心させて笑顔にするべく椿医師の医務室で雑談をしていた時だ。


花の影から謎の手が伸び、彼女の腕を掴んで沈み込んでいってしまった。

その手の主は『死神』。特異課に所属していた記憶が深層心理の中にあったのかすぐに潜伏先を特定することが出来た。


風雅は壁を殴って怒号を上げる。異変に気づいた椿医師は駆けつけた。


壁に向かって激しく拳を打ちつける風雅を見つけ、すぐに引き止めた。


「一体何をしているんだ君は!」


「花ちゃんが!花ちゃんが攫われた、目の前で!」


椿はすぐに警報を鳴らし、瞬時に鴉丸へ報告した。

本部にいる他の妖狩エージェントたちにも連絡が届き、一刻の猶予も許されない風雅はすぐ愛車・STORMストームに跨り、裏口に出る。 


その時本部の裏口には一台のトラックが停まっており、『死神』の姿も確認できた。

彼の手元には気絶した花が抱き抱えられており、荷台に乗せていた。

その周辺には白い制服を着た男たちもいる。


怒りに燃える風雅はエンジンを吹かせて、男たちを威嚇した。


「てめぇら…その汚い手で花ちゃんに触ってんじゃねぇ!」


そしてトラック目掛けて走り出す。『死神』は部下の男たちに先に行くようにと合図した後、刀身だけでバイクを受け止めてしまった。


「今度は逆に聞くぜ、なんで花ちゃんを狙う!」


「財団の意志に基づき、俺はこの女を回収しただけだ。個人的な理由などない…。」


時間稼ぎは成功、トラックは走り出した。『死神』もトラックの影に入り込んで逃走する。


「逃がすか!」


風雅はSTORMを走らせ、白いトラックを追っていく。恐らく行き先は財団の基地だろう。

トラックとバイクは次第に人気のない山へと登っていく。



山沿いの道路を走る中、荷台の中から刀を持った『死神』が現れた。

走行中の車内から「“斬月”」を放ち、風雅の乗るSTORMを狙う。

斬撃波を回避しながらの走行は難しく、一発でも当たれば花を救うチャンスはゼロに等しくなる。


回避に集中すべきか追跡に集中すべきか、どちらも怠ってはならない。

その時、狭い道路では避けられないような巨大な「“斬月”」を放った。


風雅はバイクのマフラーを下に下げて、そのパワーでバイクを浮かせて何とか回避することが出来た。

しかしバイクが着地した瞬間に同じ斬撃が再度放たれた。


今度はさすがに避けることは出来ないと思った時だった。突如黄金の稲妻が斬撃を弾いて空に放った。


「何者だ…!」


妖狩エージェント:『雷獣』こと、お兄ちゃん参戦…!」

「兄貴!」


「『死神』の斬撃は任せろ、お前は追いつくことだけに専念するんだ。」


「分かった!」


『死神』は一度荷台の中に戻り、部下たちに命令する。


「いいか、俺がここで離れても必ず『器』を届けるんだ…。」


『はっ!』


再び二人の前に現れた『死神』は、刀を逆手持ちにして、荷台から飛び出した。

バイクごと突き刺して二人を葬ろうというのか。


「くそ、こいつだいぶ野性的な方法に出たな!」


このままでは刃でバイクのボディを貫かれてしまう。最悪の事態を考えた二人。だが、瞬時に状況は変わる。


突如『死神』の隣にあった山道の斜面が隆起して『死神』を突き飛ばした。


「この術式は…!」


山の中から飛び出した二つの影。それは凱と龍我だった。


「兄弟、大先輩は俺に任せろっ!!」


「凱くん、ここは百歩譲っても“俺たち”って言う所じゃない?」


そして『死神』が落ちていった場所へと、二人も落ちていく。


「お前らは…花子助けろ、ぜってぇだぞ!」


風雅たちはサムズアップで応え、山の中までトラックを追っていく。

『死神』のいない部下たちはまるで機械のように運転し、追跡されていることを全く気にしていない。



開けた場所にトラックは停まった。風雅たちは少し離れた所にバイクを停めて大きな岩から財団の連中を覗いた。


中から白服を着た虚ろな目をした男たちが降車し、荷台から気を失った花を連れ出していた。

風雅は激情に駆られすぐに飛び出そうとしたが、雷牙が服を力強く掴んで制止した。


「今は…耐えろ!」

「…っ!」


すると白服たちの前につむじ風が起きて、その中から白衣を着た天然パーマの謎の男が現れた。

一人がその男に花を渡した。感情のない白服の前でヘラヘラと笑っている。


そして二人は男の前に飛び出した。


「特異課だ!大人しくしてその子を返せっ!」


研究所風の男は二人の顔を見ると目を細めた。その後不適にニヤける。


「君たちぃ生きてたんだ…!久しぶりだねぇ。」


風雅たちもその男の顔を見た瞬間、強烈な悪寒が走った。

風雅はまるで息が詰まったかのように苦しくなった。この男に見つめられるだけで首が締まるようだった。


「こいつは…!」


「こいつは…財団のトップ…俺たちに人体実験をしたクズだ!」


「覚えててくれたんだ嬉しい〜!」



一方、『死神』は河原に落下し、後の二人も河原へと降り立った。


「手出しをしなければ命拾いしたものを…お前たちも処刑対象だ…!」


「やってみなよ大先輩…オレと凱くんであんたを食い止める!」


三人の妖力が高まり、オーラは高く昇っていく。


「最初から全力で行くぞ…!」


「戦いってのは常に全力出すもんっすよ大先輩…!」

「認めたくねぇが龍我の言う通りだぜ。」


「『鬼神オーガ・零式』…。」「『玄武』。」「『青龍』。」


式神の名を唱えた三人は同時に叫んだ。



           『“武装”っ!!』



三者三様の“武装”が展開。これにより、150%のポテンシャルを引き出すことに成功する。


凱は両腕に黒曜石のような盾型のガントレットを、龍我は五匹のミニ龍たちを身体から放出する。


『死神』は「“月闇ツクヨミ”」を抜いて、左腕から赤黒いスパークがほとばしる。

そして後輩二人に声を掛けたのだ。


「死ぬ気で来い…。」


              EPISODE 58「死ぬ気で」完

           次回 第59話

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