表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王を死守せよ。』
54/71

EPISODE 52「茨の棘と百足の鞭」

ショッピングモール付近では『猫又』こと琥珀と、セクシー脱獄囚カーリーが戦闘を始めていた。


血のように赤い鞭をしならせて、琥珀に攻撃を仕掛ける。

ただのSMプレイの鞭だろうと侮ってはいけない、地面に打ち付けられた瞬間地面が欠け、破片が散る。


鞭は人類が作った武器の中で初めて音速を超えた。

振るえば先端は時速1300キロに達し、ソニックブームという現象を引き起こす。


動画で見たことはないだろうか、鞭を振るってリンゴを切断したり、衝撃波を出す光景を。


この鞭にさらに妖の力が加われば、当たれば無事では済まない。

琥珀は「“斥力リパルジョン”」で鞭を弾き、何とか防いではいるが、近接戦にもっていくことが不可能な状況に陥っているのだ。


「ほらほらどうした!?私のことぶっ倒すんじゃなかったのかい?!あんたのことは『死神』からよ~く聞いてるよ。腕さえ封じれば得意の重力は使えない!」


「よくわかってんじゃない…アンタら花姉ぇ奪って何がしたいのよ!」


「別に私以外はどうでもいいわ。私はその娘を献上して自由になるの…誰も私の邪魔は二度と出来ないわ!」


「成功すればだけどね…絶対させないわよ!」


「やってみなさいな、“クソガキ”…!」


その時、鞭が琥珀の体に巻き付いてカーリーは力一杯に振るうと鞭はどんどん伸びて、ショッピングモールの2階に琥珀を叩き付けた。



琥珀はそのままモールの2階洋服のエリアにまで飛ばされた。

頭から流血し、特殊防護服には埃が付いてしまっている。


突然のことに驚いた客たちは騒然としたが、琥珀は「逃げて!」と声を荒げたことで客たちは走り出した。


その直後にカーリーも2階に突入し、再び鞭を振るう。

もう当たらないと決めた琥珀は両手を力強く横に動かすとカーリーの体が横に吹き飛び、様々な洋服やマネキンを巻き込み、その移動距離は2階の端の方にまで及んだ。


琥珀はブラックホールを放つ大技「“超重力砲グラビテーション・キャノン”」を放とうかとも考えたがモールが消滅してしまう危険性もあるため止むなく使用を断念した。


するとマネキンと服の山から赤い閃光が伸び、琥珀の肩を貫いた。


「私の術式はね、この“鞭”自体よ。相手をしばく鞭にも、貫く槍にもなれる。まさに万能!」


「くっ…『猫又』、“武装”っ!」


琥珀は紫色の炎のようなオーラを手足に武装し、さらにアクロバティックな動きを可能にした。


二本のクナイの内の一本をカーリーに投げるが、鞭を振るってクナイを弾いた。


その隙にモールにある店や道を利用してカーリーを翻弄し、死角からの近接戦を試みる。


カーリーは超人的な反射神経で鞭を振るい、背後に迫る琥珀を捉えた。

しかし、彼女は自身の重力場を上向きにして、鞭が迫る前に天井に避難。

すぐに重力を戻して落下からの回し蹴りでカーリーの顔に傷をつけた。


しかしかえってそれが彼女の逆鱗に触れてしまった。

足の爪によって傷つけられた顔から血が流れ、カーリーは垂れた血液を指で拭って真顔のまま確認した。


「よくも…よくも私の顔に傷を付けたわね…このクソ猫がぁぁぁぁ!!」


激昂と同時に赤い妖力のオーラを解き放ち、妖力が高まる。


「これは醜いから使いたく無かったけど、もうどうでも良い!あんたもあんたの仲間たちもぶっ殺してやる!『大百足ジャイアント・センチピード』、“武装”!!」


大百足を模した式神『大百足ジャイアント・センチピード』を武装したカーリー。

しかしその姿は醜悪という言葉がよく当てはまるだろう。

鞭を持っていた右腕は腫れ上がったように肥大化し、肌などもムカデの影響を色濃く受けたものへと変化した。


完全にムカデと化した右腕が、琥珀目掛けて伸びて彼女を手先のムカデの口で挟んでそのまま一階の食品コーナーまで引きずり落とした。


本人自体も素早く、琥珀を掴んだままで右腕を縮め、さらに苦しめる。


だが琥珀はにやりと微笑み、「“斥力リパルジョン”」で自分の上に乗るカーリーを吹き飛ばした。


「断言するわ。あんたにはこの先、絶対、永遠に自由なんてものは訪れない!!」


琥珀の紫色の妖力のオーラが一掃色濃く放出され、そのまま走り出した。


カーリーはムカデの腕を伸ばして琥珀を追いかけるが、琥珀はモール内を縦横無尽に華麗に駆け回って、腕を回避していく。


さらにわざわざカーリーの近くを通り抜けるなどの余裕を見せ、すれ違った際にはカーリーに向けて中指を立てるほどである。


そしてカーリーの目の前で立ち止まった。


「大人しく私に食われなさいクソ猫!」


動きを止めたことを好機と見たか、カーリーは目の前の琥珀に向けて走り出した。


しかし、琥珀は不敵な笑みを浮かべ、指をクイッと下に下げた。

すると、カーリーの体は何かに絡め取られたかのように体が動かなくなった。


「何よコレ、何で動かないの!?何で!」


「知りたい?じゃあ特別に見せてあげる…♡」


琥珀が指をパチンと鳴らすと彼女とカーリーの周囲には紫色の茨が大量に生えていたのだ。


そして生えている位置というのは先程琥珀が駆け回っていた軌跡と一致していたのだ。


「名付けて「“紫のパープル・ソーンズ”」。この茨全体はアタシの術式を帯びている…触れれば重力がアンタを襲うわ!」


カーリーはその説明の直後、指が茨に触れてしまった。

そして一気に全身に重力がのしかかり、床を突き抜け、そのまま地下駐車場まで落下した。


琥珀の新たな戦闘技術はワイヤー戦法。紫色に光る茨を出し、それをワイヤー代わりにして優位に立つことができるようになった。


地下に落ちたカーリーに向けて重く速い連撃を叩き込む。


「“引力アトラクション”」でカーリーを引き寄せ、ワイヤーの力を利用し蹴る、殴る、引っ掻く。


最後はカーリーの背後に茨を生やしてそれを手で手繰ったと同時に強烈なキックを繰り出し、カーリーの身体を貫いた。


            「“星雲ネビュラ”っ!」


カーリーに空けられた穴は次第に捻じれ、周囲の埃や小石を巻き込み体も穴の方へと捻じれていき、悲痛な声を上げながら消滅した。


「ミッションコンプリート。」


だが、カーリーに貫かれた肩の傷が今になって激痛を与え、琥珀は地下駐車場の壁にもたれて一度休憩することにした。


          残る脱獄囚は二人


          EPISODE 52「茨の棘と百足の鞭」完 

           次回 第53話

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ