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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『女王を死守せよ。』
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EPISODE 47「ねずみ色の軍隊」

孤島の監獄から七人の大罪人と数名の囚人が脱獄し、さらに彼らは『女王の器』こと花を狙っていることが風雅たちに知らされた。


そして鴉丸司令官から下されたミッション『女王を死守せよ。』を無事遂行するのだ妖狩エージェントたちよ。



その囚人たちは七つの大罪セブン・シンズの一人『怠惰スロウス』の命により、本土に上陸し、虐殺を楽しみながら花を探していた。



肝心のリーダーは自分がこの独房から動きたくないという理由で妖力をテレパシーのように使ってその場からは指示を出すことも相手の話を聞くことも可能なのだ。


とある妖がビルの上から街を歩く人間たちを見つめており、服はそのまま灰色の囚人服を着続けている。


「あのジジイはやっぱダメだったみたいだな。今度は俺にやらせてくれよ『怠惰』。」


【別にいいよ〜生け捕りにして僕の所に届けてくれれば誰がやっても一緒だし。みんな自由になりたいもんねぇ〜。】


『怠惰』との脳内通信は切れ、味を占めた男は手を叩いた。

すると男の後ろから数百匹のネズミの群れが現れた。


男はネズミたちに『怠惰』から預かった花の顔写真をネズミたちに見せ、顔を覚えさせたのだ。


「このガキの顔をよ~く覚えろよぉ、覚えたか?そら行け!」


そして数十、数百匹のネズミたちを一斉に街へと解き放った。



そんなことなど露知らず風雅たちは花を守るというミッションの元、八雲邸の中、さらに作戦室にて花を匿っていた。


「財団の研究所から花ちゃんを連れ出した時から思ってたが、やっぱり普通の子じゃなかったな。」


目の前で風雅にそう言われても本人は一切記憶がないのだ。

親、出自すべてが分からない。

判明しているのは名前、術式、『女王の器』ということだけだ。


「なんかごめんなさい…みんな私なんかのために。」


「花姉ぇ、「なんか」なんて言わないでよ、向かってくる奴らはアタシらが全員ぶっ倒すから!」


花は一人ではない。風雅や琥珀、ましてや特異課全体がバックについているのだから。


その時リビングでニュースを見ていた龍我が、作戦室まで駆け込んできた。


「先輩!ニュースと外見てください、ネズミが!」


そんなたかがペットショップのモルモットが可愛いニュースだろうと本気にならずにテレビを見に行くと、全員の顔から笑顔が消えた。


テレビに映っていたのは、街を埋め尽くす大量のネズミ、映像はヘリで上空で撮っている物だろう。

その高さからでもビルや繁華街は黒く染まっていた。


「うげぇ…。」

「うわぁ、みんなとっとこしよってからに。」


一同はネズミに覆われた渋谷に釘付けになっていたが、花はふと庭が見える窓の方に目を向けた。


すると一匹のネズミが花の事を凝視していた。その場からずっと動かずただ彼女を赤い瞳でまるで観察するように見つめていた。

花は不意に窓を開けてしまう。


風雅は花の視線の先に赤い瞳のネズミがいることに気付き、さらにそのネズミからは微量だが妖力が立ち昇っていた。


危険を感じ取った風雅はキッチンからナイフを取り出してネズミに向けて投げた。


ナイフは見事ネズミを貫き、その場で黒いモヤとなって消滅してしまった。


「兄貴、このネズミ、」「あぁ、式神だな。」


「ってことは待って、花姉ぇの居場所バレたかも!!」



琥珀の予想は的中した。

妖はネズミの式神と視覚情報を共有し、その内の一匹が花を発見したことで、八雲邸も彼女の場所もバレてしまったのだ。


「そうかそうか…練馬かぁ!」



そして黒いモヤになっていたネズミは突如分裂し、さらに2倍、4倍と増えてリビングを埋め尽くした。

作戦室のワープドアから京都の本部へ移動しようとしたが、すでにネズミに進路が覆われ、風雅たちは止むなく外へと出た。



すると室内のネズミたちは窓を割って屋根の上へと登っていき、次第に固まり人型となる。

そしてネズミが消滅すると、中から例の妖『鉄鼠てっそ』が現れた。


「いやー見つかってよかった緋月 花ちゃん♡」


「てめぇなんの用だ、あと人ん家の屋根に汚ぇ足乗せんな!」


『鉄鼠』は屋根から落下するように着地し、一目散に風雅の方へと向かっていく。


「『鉄鼠』、“武装”!」


と言いながら拳を構えるも風雅に顔面を一発殴られて転倒した。


「おかしいな、手応えがない。…なっ!」


起き上がった『鉄鼠』の体からはもう一人の『鉄鼠』が分裂しようとしていて顔の皮はくっついていたのだ。


「これが俺の“武装”であり術式、「“複製”」だ!」


おそらく発動条件は“刺激を与える”こと。

先程ナイフで貫かれたネズミもその“刺激”によって数を増やした。


つまり『鉄鼠』自身もダメージを与えれば与えるほど増殖していく。

下手に攻撃ができない。


「琥珀、凱、龍我、花ちゃん連れて遠くへ逃げろ。ここは俺と兄貴で食い止めっから!」


「ふっ、逃げられるものなら逃げてみろよ、今や東京は俺のテリトリーだ!」


すると脳内で『怠惰』が『鉄鼠』に向けて注意した。


【おい、あんまメンドクセーことしてんなよ?

生け捕りだけでいいんだよ、関係ない人間は巻き込むな。】


「もうターゲットは目の前にいる、あとは俺の自由だ!てめぇとの協力関係もおさらばだよ!」


そして『鉄鼠』は脳内通信を無理矢理切った。

『怠惰』は頭に手を当てて横になりながら舌打ちをした。


「まったく勝手な奴がいて困るよほんと…“裁決”頼めます?『死神』さん…。」


彼の独房の前には『死神』が鉄格子にもたれ掛かりながら話を聞いていた。


「人は、死んだか…?」


「なんで『死神』のクセにそんなこと気にすんですか。変なのぉ。」


『死神』ですらも何故自分がそんな質問をしたのか分からなかった。

処刑対象は掟を破った“妖”のみ。人間には肩入れしないはずだ。


すぐに気を取り直して刀を差して影の中へと姿を消した。

『怠惰』は起き上がって身体を伸ばし、術式で鉄格子を破壊した。


「さてと、ぼくもそろそろ動こっかなぁ」



           EPISODE 47「ねずみ色の軍隊」完

           次回 第48話

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