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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『黒光りの偽善者を駆除せよ。』
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EPISODE 45「神鳴」

           「Gサービス」


一部のネット民からカルト的な認知があるサイトである

。嫌いな相手の名前を書くと、処刑人がターゲットの元に赴き始末するという。


遊び半分で書き込む者は誰もいないが、たった一人の少年が一度に5人の名前を書き込んだ。


別のスレでは大いに盛り上がったが、翌日名前が書き込まれた全員が遺体で発見されたと報道されるとさすがに笑い合う余裕はなく、スレ民は恐怖し、そっとスレは閉じた。


その様子をゲーム片手にパソコンを見ながらスレの様子を見ていた雷牙は舌打ちを一言、


「マジでだるい…。」


と言って立ち上がった。

自室を出た雷牙はノートパソコンを持って家を出た。


一方風雅と琥珀は再度第一発見者である高木という男子生徒の住むアパートに向かった。

「Gサービス」に依頼した少年と同一人物かどうかを調べるために。


「高崎くーんいるー?ちょっとお話し聞きたいんだけどさぁ。」

「高木よ高木!」「あっ、失礼。」


風雅はドアをノックしながら出てくるように言うが誰も何も反応を示さない。

困り果てていた二人の元に、雷牙が現れた。


「兄貴…。」


「もう見てられん、俺に任せろ。」


雷牙は床にノートパソコンを置いて「Gサービス」のサイトを開いて固い扉越しにモニターを向けた。

 

「おいボウズ、聞いてるか…?このサイトに投稿したの、お前だろ。」


雷牙の冷たい声はドアを通り抜けて、奥で膝を抱えながら震える高木少年に突き刺さる。


そして扉の裏から


「ごめんなさい…ごめんなさい…!」


「殺された男子とお前が同じ学校ってのは調べがついてんだよ…やっぱ何かしら接点ねぇと殺さねぇだろうよ。何で書き込んだ…吐け。」


ここまで苛立っている雷牙を二人は初めて見た。言い過ぎだと風雅が止めても彼は止まらない。

しかし高木はずっと

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

と謝り続ける。


そしてついに雷牙の堪忍袋の緒が切れた。


「謝ってんじゃねぇ!!お前が謝ったところで殺された5人は帰ってこねぇんだよ!遊び半分か?本気で書いたのか?答えろ!」


「!…むしゃくしゃして…本気で書きました…。他のスレでも予告もしました…」


と高木は自白した。

風雅たちは唖然とした。


「いいか風雅、ネットは確かに便利になった。だけどその代わりにこんなバカを大量に生んじまったんだ。

高木、紙や画面で一度書いた文字ってのはな、もう二度と取り消せねぇんだ…それがエグい結末を迎えることもある。今回みたいに…。」


「だってあいつらいつも僕を寄ってたかってイジメて来るんだ!殴られたりもした…でも、ストレス発散のために関係ない人たちに悪口をかき続けた…そしてサイトに行き着いたんだ…それがこんなことになるなんて…!」


「その後誰かに会ったのか…。」


「開設者のおじさんに呼び出されせて…朝一番に学校に登校させられた…。それで5人の死体を見たんです…僕のせいだ…。」


「高木、両親や先生には相談したのか…。」


「両親は共働きで帰ってこなくて…先生には何回も言ったけど取り合ってもらえなくて…。」


「それは辛かったな…」

「あなたたちに何が分かるんですか…僕はイジメられて、学校にも家にも居場所なんてないんだ…!」


扉の前の三人はお互いの顔を見合った後、再度高木に向けて話した。


「俺たちは10年前の大災害で家族全員死んだ。学校にもいけてない、お前は俺たちよりはマシだ。」


すごく気まずくなった高木は書き込んだ自分には法がくだるのかと雷牙に聞いた。


「殺したのはゴキブリの化け物だ。だけど、お前は5人を殺した原因となってしまった。

その罪を一生背負って生きるんだ。酷なことだがこれが現実だ。」


「違う、真の正義とは…喧嘩両成敗であ〜る!!」


三人の背後に例の妖『G』が出現し、回し蹴りで三人同時に吹き飛ばした。


その後『G』は扉を拳で貫いた後破壊し、部屋の中へ入っていった。


高木はその醜悪な姿を見て恐れ慄き、腰が抜けてしまった。


「おやおや何を今更ビビっているのだ少年よ。その反応を見るに…サイトの注意書き最後まで読んでいないだろ。」

「え…?」


「Gサービス」は勧善懲悪、喧嘩両成敗を掲げていると本人は語る。

そして注意事項は誰も最後までスクロールしないだろうサイトの一番下に小さく赤い文字で書かれており、


サイトの背景と同化しているためよく目を凝らさないと見えない仕掛けになっていたのだ。



「そんなの聞いてないよ!」


「見てなかった君が悪い…さぁ私の正義のための犠牲と成りなさい!!」


黒い拳が高木少年へと振り下ろされようとしていた時、誰よりも早く雷牙は立ち上がった。


「あぁもうクソだりぃな!」


そして雷と同等のスピードで加速し、一瞬の内に少年をゴキブリの拳から助け出した。


「おい、大丈夫か高木。」

「は、はい…。」


黄金の電撃を纏った雷牙は全身を黒い特殊防護服で包み、灰色のマフラーを巻いていた。


「兄貴…!」


「ふっ、お兄ちゃんふっかーつ!!」


戦線復帰した雷牙の姿を見た風雅たちは歓喜の笑みを浮かべた。

雷牙はブランクがあるため、一生懸命体を伸ばして余裕を見せた。


「おせーんだよ兄貴!」


風雅のそのイジりが耳を通ると無表情ながらにサムズアップをして応えた。


「よぉゴキブリ、ちょっと…デートしようや。」

「なっ、」


雷牙は『G』の首根っこを掴んだ後、マンションから光の軌跡が出来て、稲妻の如き速さで見知らぬ街に移動した。


「くっ…何者だ貴様!」


「俺は妖狩エージェント:『雷獣』。ミッションを遂行する…。」


『雷獣』こと雷牙は背中に交差して差した二刀流の刀を抜き、構える。


風雅たちはバイクでやっと雷牙たちの場所に追いついた。


「おぉ久々にやる気だな兄貴!」


再度稲妻の如き速さで『G』を弄び、両手にもった刀で連続で切りつける。

抵抗もままならないほど切りつけた後、肩に手を置いて挑発した。


『G』が羽を展開して反撃しようとするが、いつの間にか目の前に移動していた。


「貴様…悪のクセに私よりも速いとは解せぬ!!」


「何言ってんだダリィな。妖の中では俺が一番早いんだよ。」


           ー「“神鳴かみなり”」ー

八雲 雷牙の術式。雷や電気を自在に操ることが出来る能力であり、本人も雷とほぼ同じスピードで動くことができる。


「最速は私だぁぁぁぁぁぁ!!」


『G』は持ち前の術式で雷牙の周りを円を描くように高速で動いた。

おそらくは雷牙を撹乱して死角から突く作戦のつもりだろうが、彼にそんなものは対策済みである。


「“紫電”っ!」


雷牙は右手を地面に付けると全方位に紫色の電流が走り、無事引っ掛かった『G』は感電して動きが制限された。


そして逆手持ちにした二刀の太刀を順手に持ち替えて、広角が上がった。

刀身に雷が宿り、バチバチと音を立て始め、一瞬で『G』の体を切り裂いた。


           「“雷切”っ!!」


二刀の太刀“雷切”から繰り出された同名の技により、傷口が焼け焦げた後、体が灰化し、崩れ去った。


そして血振りをして背中に納刀。

一瞬で風雅たちの元に戻り、肩に手を置いてそのまま歩き去っていく。


「ほら、帰ったら報告書だ。行くぞ。」


「待ってよ〜お兄ちゃ〜ん」

「水臭いぜ兄貴〜何で戦う気になったんだよこのこの!」


二人は雷牙の下半身にへばりつき、離れようとはしなかった。


「まぁ…これ以上ネットで面倒事になるのは嫌だったからな…昔仲良かったネッ友がたった一人のバカが連ねた悪口、暴言に耐えかねて自殺したんだ。

いつだってイジめられんのは弱いやつばっかさ、だからネットでは誰よりも強くなれた気がするんだ。皆同じ弱い人間なのに憎しみあって、果てには復讐…俺はこれ以上同じ被害を増やしたくねぇ。それは配信でもたまに発信してる。」


現在よりは幅が少ないが当時でもネットは便利なツールだった。

だからって好き勝手に何でもしていいわけではない。


高木少年は雷牙の案で特異課に記憶を消されることなく、その罪を深く刻み込んだ。

サイトは特異課の力で閉鎖させ、このサイトに関する全てのスレ、オカルト記事全てを廃棄させたのだ。


証拠は消えるが、雷牙は今でも配信内でネットのメリット、デメリット、気をつけるべきことを発信しているのだ。



         ー自疑おのごろ島 孤島の刑務所ー


孤島に建てられた刑務所。

『死神』はとある独房の前に立っていた。


「あれ~君僕たちのことぶっ倒した鬼だよねぇ。」


「そんな男は知らん。財団の命により、今からお前たちを釈放する…。他に希望はあるか、『怠惰スロウス』…。」


その檻に入れられていたのは、去年凱が対峙したセブン・つの大罪シンズの一人。緑髪の少年『怠惰スロウス』。


「え〜じゃあ僕以外の大罪全員釈放…とかできる?」

「容易い…。」


「というかさぁ…僕らを釈放させて何させるつもり?財団HANDさん。」


「貴様ら囚人にとあるミッションを授ける。この女を…生け捕りにするんだ。」 


『死神』が『怠惰』に見せた写真には、花が写っていた。


「へー中々かわいいじゃん。何で君たちで行かないわけよ。」


「この女を匿っている仲間が大変厄介な連中でな、お前たち大罪の力を借りたい…他に何か要望はあるか。」


『怠惰』はあぐらをかいて頭を捻った後、何かを閃いたのか頭の上に電球が浮かんだ。

そして指をパチンと鳴らし、『死神』に指を向けた。


「そうだっ、新しい子分がほしい!この収容所にはヤベー妖ばっかだ、そいつらに探させて僕はゆっくり待つ。そしてあんたらにその子を届ける!」


「いいだろう…ならば誰を連れて行くか選ぶんだな…。」


その後、セブン・つの大罪シンズ全員及び、数名の囚人が脱獄した。


               EPISODE 45「神鳴」完

           次回 第46話

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