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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『無敵のジャンパーを仕留めろ。』
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EPISODE 40「高く高く」

凱と龍我はいつも通りに喧嘩した後、凱は罰として夕飯の買い出しに、龍我はミッションが入り、現場へと急行した。


買い出しを終え、風雅の家に戻ろうとした時、凱の前に『死神』が現れた。


『死神』は「“女王の器”」の居場所を探るべく処刑を兼ねて凱を襲撃した。

同時に凱も大剣の峰で攻撃した際、『死神』の服の背面に描かれたマークが「財団HAND」のものと気づいた。


「“女王の器”だぁ?んなもん知らねぇよサラダボウル(器)ならいくらでも貸してやるぜ?」


「ふざけるな…器の場所を吐け…!」


黒刀・月闇ツクヨミから禍々しい赤黒い斬撃が放たれ、かわしただけで地面が避けた。


近隣住民たちもその異変に気付き、周りを見渡すと武器を持った二人の男が戦闘しているのを見つけてしまった。


「早く逃げろ!死にてぇのか!!」


凱の必死の忠告で市民たちは一斉に逃げ出した。


「てめぇのせいで記憶消す人数増えたじゃねぇか!それか何だ、目撃した人間も殺すのか?」


「『死神』は無関係な人間は殺さない…。」



           ー街中ー


龍我が対峙したのはバッタ型の妖『ホッパー』。

『ホッパー』は自慢の脚力を駆使してビルの谷間を移動していた。


実は財団と結託していた妖で高所から人間を落として殺害していたのは特異課の妖狩エージェントを誘い出すため。


妖狩エージェントを一人殺せば、その後の行動は全て寛容にするという『死神』との契約の下、龍我と戦い彼を地面へと叩き落とす。


しかし龍我は叩き落とされても反撃しようせず、ただ仰向けになって自分を見下す『ホッパー』を虚ろな目で見つめているだけだった。

そして頭の中でずっと考えていたのだ。


「いいなぁ…何であいつはあんなに高く飛べるんだろう…いいなぁ…オレも高く…もっと高く飛びたいなぁ…。」


龍我は『ホッパー』の脚力を羨ましがっていた。

「もっと高く跳べたらアイツより強くなれるのに何故自分には脚力がないんだ。」と


瞬きをしたらすでに屋上から『ホッパー』は消えていた。

きっと龍我を倒したと勘違いしたんだろう。


すぐに立ち上がりたいが体が痺れて動けない。

そんなのはただの言い訳だった。本当は良い有効打が見つからないだけだ。


        『いいよねぇ高く飛べるの。』


龍我の頭の中に軽快な声が聞こえた。その声をもっと聞くために目を閉じた。


「やぁ久しぶりだね、『青龍』。」


『アハッ、また会えたね!調伏ぶり?』


龍我の体の中から声を掛けたのは、彼の式神『青龍』だった。


「何、なんかよう?」


『いやぁ負けて悔しそうだなぁって思ったから出てきちゃった!ねー悔しい?悔しい!?』


式神とはもう一人の自分であり術式の源。嘘をつこうが言い訳しようがすべて無駄だ。


『ボクの力、あげよーかー?』


「お前の力はなるべく使いたくない。勝負が早く終わっちゃうからね。」


『でも縛らずに全力出した方が楽しくなーい?』


「それもそうだな。」と頭を抱える。


『じゃあ決定!久々にボクの“武装”使ってよねー!』


一方的な独断を下されたところで龍我は目を覚ました。すぐに起き上がってビルの屋上まで駆け上がる。


龍我の体からは黒い霧が湧き出していた。そして隠していた力を解き放った。


          「『青龍』、“武装”っ!」


そして一匹の青い龍が咆哮し、龍我の体を包み込むと、四肢、体から五匹の小さな龍たちが生えた。


「よし行くか…!」


龍我はこのミニ龍たちを手足のように扱う。ロープのように伸ばしてビルのアンテナを掴んで跳び上がり、『ホッパー』を追跡する。


肝心の『ホッパー』は契約条件を満たしたと勘違いし、適当な人間を捕まえ、高所まで連れていき落とそうとしていた。


「お、降ろしてくれぇ!!」


「そうかそうか、そんなに死にたいか…じゃあ望み通り落としてやるよっ!!」


『ホッパー』は高く跳び上がってから男性を落とした。


「うわぁぁぁ!」


「危ない!!」


既の所で龍我が駆けつけた。右手のミニ龍を伸ばして何とか男性をキャッチ、左手、左脚のミニ龍を建物の壁に引っ掛けて安全に着地した。


「お怪我はありませんか?」

「あ、あぁ…」


龍我は男性を解放して逃し、再び『ホッパー』と対峙する。


「ミーミー!(怒)」「ミーミミーミミー。(喜)」


「ミー…(哀)」「ミーミーミー!(楽)」「み、ミー(怯)」


五匹のミニ龍たちにはそれぞれ喜怒哀楽怯の感情があり、全員が一斉にないて龍我が一気に肩を落とす。


「はぁ…だから使いたくなかったんだ…うるさいし。言う事聞かないし。」

「ミー…?(哀)」


「え?ううん大丈夫だよ、ごめんね、うるさいのはキミじゃないよ。」


もはやペットである。


その光景を見て『ホッパー』は手で顔を塞いで落胆する。


「なんだその中途半端な“武装”は…我々妖は人間を超越し者。“武装”は全身を覆ったものではなくてならない!」


「オレ化け物になるのはごめんなんだよね。今度こそやり合おうぜ?」


龍我は右腕のミニ龍を伸ばして『ホッパー』の腹に直撃させ、掴んで地面まで落とした。


「貴様…!」


妖狩エージェント:『青龍』。ミッションを遂行する!」


あとはもう暴れるだけだ。

拳法の構えを取ったあと、ミニ龍たちを電柱や壁に引っ掛けて縦横無尽に飛び回り、死角からの蹴りを繰り出す。

さらに拳を繰り出すだけでミニ龍たちも攻撃に参加し、一撃一撃のパワー上昇とリーチが伸びた。


「キミはジャンプに特化した術式だ、跳ばせなきゃ良いんだ!」


「そう簡単にいくか!」


『ホッパー』の術式はジャンプ特化ではない、脚力強化だ。だから足に力を込めて蹴り上げるだけで強力な一撃となる。


蹴り上げられた龍我は吐血するが、中央のミニ龍が跳び上がる龍我の身体を頭だけで支えた。


「ミー!!(怒)」


「ありがとオコリンボ!」


そして宙を蹴って急降下。上空から「“流転”」を放ち、『ホッパー』に大ダメージを与える。


「このガキ…殺したと思ったらしぶといやつだ…妖の面汚しめ!」


「面汚しはキミだろ?本当は人間と妖は共存できるんだ…その可能性をぶち壊すのはいつだってお前らみたいな外道だ!」


「黙れぇ…!!」


『ホッパー』は垂直に跳び上がって逃走を図る。


「いいよなお前はそんなに高く跳べて…オレは、もっともっと高くに行ってやるっ!!」


龍我も跳び上がるがこのままでは当然届かない。するとミニ龍たちが足場となり、龍我はそれを踏んでミニ龍が上へと飛ばす。


上に上がるごとにスピードが増していく。ミニ龍たちも必死な表情で龍我を上へ上へと運んでいく。


「何で追いついてんだよ!」


「追いついてないよ…追い越すんだよっ!!」


龍我はキックのポーズを取り、五匹のミニ龍たちは集まって龍我の背中を押したのだ。


    『ミィィィィィ!!!!(喜怒哀楽怯)』


          「“龍飛翔”っ!!!」


五匹の龍と龍我が一つになり、一匹の巨大な龍の頭を形作り、『ホッパー』を貫いてさらに高みへと至った。


「“龍飛翔”」の一撃で妖力を大量消費し、ミニ龍たちが全て消えてしまい、龍我は脱力しながらビルの屋上へと落下した。


「はぁ…はぁ…ミッション…コンプリート!」


ミニ龍の内(哀)だけが顕現し、龍我の頬をすりすりと撫でる。


「はいはいありがとカナシンボ…。凱くんと仲直りしろって?…絶対、嫌。」


             EPISODE 40「高く高く」完

           次回 ???

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