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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『人喰い魚を討伐せよ。』
38/45

EPISODE 38「青き龍」

中国で「財団HAND」という因縁の組織の動きを突き止めた妖狩エージェント:『青龍』こと龍我は日本に帰国し、その事実を伝える。


その後、財団メンバーであり妖の『ピラニア』が日本に逃げてきたとの情報をキャッチし、龍我は獲物に飢えた獣のような表情で現場へと向かう。


そんな龍我を見て、花はポカンとした顔で口に出した。


「龍我くん何か嬉しそうだったね…。」


その言葉に凱は嘲笑するように答えた。


「花、あいつが何で笑ってんのか知ってるか?」

「何で?」


「あいつは誰よりも戦うのが好きなんだよ。だからあえて強い奴に戦いを挑む…。」


「あっ、マンガで見たことある!戦闘狂ってやつだよねオラワクワクすっぞのやつ!」


「やめろそれ以上は言うな花ちゃん。」


「じゃあ見学してみっか?あいつの戦い。」


と凱は椅子にもたれながら花に提案した。


「え、良いの!?やったー!」


しかし風雅と琥珀は一瞬で凱に近づき両者凄まじい顔で詰め寄る。


「おい、見学させる分にはいいが、絶対花ちゃん守れよ?もし傷つけたら…。」


「いくらカシラとて容赦しないわよ?花姉ぇのことは絶対守ること!そこらへんの真珠より大切に扱いなさい…蝶よりも丁寧に扱いなさい…!」


「怖い怖い怖い!わっーたよ!絶対守るから、な?」


「なんか心配だわ…アタシも一緒にいくわ。いい?花姉ぇ。」


「うん!琥珀ちゃんも一緒に行こー。」

(くっ、かわいい…!)


琥珀は鼻血を流しながらもサムズアップをした。


           ー屋形船ー


飲み会などで盛り上がっている屋形船…そんな中、川から緑色に輝く鱗を持った妖が乗船した。


乗客はその恐ろしい姿を見るや否や逃げ出した。

『ピラニア』は荒い息づかいでよだれを垂らしながら、腕についた鋭いヒレで乗客を切りつけて行く。


「血だもっと血をよこせ!ギャーハッハッハ!!」


特異課に邪魔をされた怒りと食人衝動が抑えられなくなったこの妖は完全に冷静さを失っている。

気づけば乗客全員殺害し、鋭い歯で肉を食いちぎり腹を満たしていた。


船の乗客、操舵手全員を殺害。口に付いた血を拭って再び川に潜り、岸に上陸した。


その時、一匹の青い龍が『ピラニア』の元に降り立った。


「なにもんだ!」


「よぉ、また会ったね。」


青い龍は水風船のように弾け、その中から龍我が現れた。


「お前…お前のせいで俺は!」


「あーあー、喋らなくていいよーキミどうせオレに殺されるし、ねぇ、ぶっ倒していいよね?答えは聞いてないっ!妖狩エージェント:『青龍』、ミッションを遂行する!」


龍我は問答無用で『ピラニア』に勝負を仕掛ける。


「ホワチャッ!!」


足に水を纏わせ、蹴りを繰り出して『ピラニア』の顔にダイレクトアタック。

さらに攻撃の手を緩めることなく、水を纏って拳法の型を繋いでいく。


凱たちも到着し、花は彼の戦う姿を見ていた。


「すごい…早い上に一撃一撃が重い…!」


「ムカつくから認めたくねーけど、龍我の戦闘センスと努力だけは他の妖狩エージェントと比べ物にならねぇ…!

「誰よりも強くなりたい!」その一心だけで中国でミッションこなしがら修行してたんだ。」


『ピラニア』は中国でも疲労した術式を使用し、地面の中に潜っていった。

しかし龍我は慌てることなく、その場に立ち尽くす。


「オレ知ってるよ、それキミの術式じゃないだろ?財団の実験で作った疑似の術式だ。本当の術式は…コレだろ?」 


龍我はわざと手刀で自分の腕に傷を付けた。血がポタポタと垂れ、それを感知した『ピラニア』は瞬時に飛び出して、ヒレで龍我の胸に傷を付けた。


そんな傷をつけられても顔色一つ変えずに再び構えをとる。


「キミの術式はピラニアの特性を利用した物だ。瞬時に血の匂いを嗅ぎ分けて正確に獲物を狩る…その代わりに日常的に血肉を摂取続けないと理性を保てない…だろ?」


「なぜ分かった!」


「ウチの上司は術式を当てるのが得意なんだ。さぁキミも構えて。第2ラウンドだっ!」


かりそめの術式である ー「“潜行ダイブ”」ー を使用し、死角から狙う作戦に出るが、龍我は自分の周囲に巨大な水の球体を作り出し、設置した。


           ー「“流転るてん”」ー

『青龍』こと龍我の術式。本来水を操る術式だが、修行を重ね、拳法を用いた動作に水を纏わせ威力を上げる戦闘用に発展させた。

妖力を水に変換して使用する。


背後から龍我に狙いを定めて地面から飛び出した『ピラニア』だが、仕掛けていた水の球体に触れ、龍我は発勁で水の球体に触れて破裂。その衝撃で『ピラニア』にダメージを与えた。


「もう許さねぇ…食い殺してやるっ!!」


『ピラニア』は腕のヒレを巨大化させ、先程とは速い動きで反撃をする。

ヒレを駆使しながらアクロバティックな動きを疲労し、龍我の肩を切る。


肩から鮮血を噴き出し、さすがの龍我でも片膝をついてしまう。


「おーさっきまでの威勢はどうした?なぁ!?」


さらにヒレで胸元を切り、倒れた所に傷口である胸を足で踏みつけ、グリグリと動かした。


「お前は弱い、俺よりな…知っているぞ、お前たちは我々財団の恵みを受け取らなかった裏切り者…!あのデイブレイク家族もろとも死んでいればいいものを…!!」


「…っ!!、お前にオレたちの…何が分かる!!」


死んだ家族や風雅たちのことまで侮辱されたことで、先程まで余裕ぶっていた表情が崩れ、怒り心頭だ。


全身から立ち昇る妖力が龍を形作り、その衝撃で『ピラニア』は龍我の胸から足を退けた。

奴は龍我の逆鱗に触れたのだ。


「オレは最強の武道家になる…誰にも負けないくらい…強く…強く!!もう誰も失わせないために…。」


それは遠くから見ていた凱も痛感していた。


「あいつ、ずっとヘラヘラ笑って我慢してたんだろうな…俺だったらブチ切れて暴れてたよ。

でもあいつは復讐よりもミッションを優先した。戦闘狂なのは置いといてな。」


妖力が高まる、そして形を成した龍は咆哮し、『ピラニア』は怖気づいて地面に潜った。


「一番弱いのはキミの方だ…そうやっていつも逃げてきたんだろ!」


高まるオーラが地面を揺らし、地面から『ピラニア』を強制退室させた。


そして発勁と蹴りを同時に繰り出す龍我の必殺技が『ピラニア』にトドメの一撃を放つ。


           「“流転”っ!!」


体の捻りと体術で水の渦を作り出し、それに乗って『ピラニア』の体を捩じ切るような衝撃を与える。

その姿はまさに龍。


『ピラニア』は全身から血を噴き出しながら吹き飛び、河原の尖った石に頭をぶつけ、体は灰化していく。


「財団HAND…万歳!ぐふっ!」


最期は吐血し、体は崩れ落ちた。


「よし、ミッションコンプリート!帰るk…痛たたた!」


肩と胸を切られ、大量出血をしているのだ、平然とした態度は難しいだろう。


「おーい大丈夫かー。」


と凱がニヤニヤした顔で近づいてきた。


「凱くん…いたんだ。」


「いやー初めて見たぜお前が片膝つく姿…写メ撮ろったかなぁ!」

「っ!」


龍我は凱の態度にムカつき、また額を近づける。


「オレは片膝ついてねぇ、地面にいるカニを眺めてただけですぅ…。」


「じゃあ何で血出てんだよ!」

「ハサミで挟まれただけですぅ!」


「あーもういい加減にしなさい!」


琥珀は二人の間に重力場を置いて引き剥がした。


「まったくいつも喧嘩止めてたアタシの身にもなってよね!?いい歳してみっともない…。」


「エロ本読んでる女子中学生に言われたない!」


と龍我は声を荒げるが、ムカついた琥珀に重力で重くした拳を脳天に受け気絶。さらに無重力で持ち上げられ、凱を睨む。


「カシラ、アンタもこうなりたい?」

「いえ、結構です…ごめんなさい。」


「は、ははぁ…。」


花も苦笑いするしかなく、その日のミッションは無事に遂行されたが、財団はこれにより本格的に動き出す。


              EPISODE 38「青き龍」完

           次回 第39話

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