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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『人喰い魚を討伐せよ。』
37/45

EPISODE 37「財団の呪縛」

       ー中国 某繁華街の路地裏ー


夜の路地裏、そこで白い制服を着た男女がトラックの荷台に何かを積んでいた。

大きなカプセルの中に血液のような液体を運んでいるようだ。


一番偉そうな制服の男が指を差して部下に指示を出し、荷台に積ませている時だった。

彼らの背後に何者かが降り立った。


「誰だ!」


「オレか?オレは妖狩エージェント:『青龍』だ!」


彼は特異課の妖狩エージェントだった。水色の長髪で桃色の瞳、中華服のような特殊防護服に身を包んでいる少年だ。


妖狩エージェントだろうが我々の邪魔をするなら死んでもらう。やれ。」


男の指示で部下たちは『青龍』に襲い掛かる。


「君たちまぁまぁ強そうだね…楽しませてくれよ?」


一人の部下が拳を繰り出すと、それを軽々と回避し、裏拳を部下の顔に当てただけで吹き飛んで壁にめり込み、さらに中国拳法であるカンフーを模した動きで白い制服の集団を甲高い掛け声を上げながら翻弄していく。


      「ホワタァ!ホォォワチャッ!!」


攻撃の度に手足に水を纏わせながら回し蹴り、発勁などの技を使いながら白服の集団を撃破した。


「あれ?もう終わっちゃった…もうちょっと楽しめると思ったのになぁ…。」


残るは上司らしき男だ。


「そうだ、キミをぶっ倒す前に聞きたいことがある。キミたちは一体何を運んでるんだい?」


丁寧な声と優しい顔で男に質問するが、男は突然頭を抱えて唸り声を上げ始めた。さらによだれも垂れ始め荒い息づかいに変わった。


「おのれ特異課…いつも俺たちの邪魔をしやがって…!!うわぁぁ!」


鋭利に伸びた爪で制服を引き裂き、男の体は“武装”されていた。

緑色の肌に首元のエラ、両手にはヒレが生えていた。口には鋭い歯がキレイに並び、よだれを垂らしている。

まるでピラニアだ。


「シャアァァ!!」


『ピラニア』は水面でもないのに地面に潜り、消えてしまった。


その光景を前にして『青龍』は笑みを浮かべていた。


「なんて面白い術式だ!どっからでも来い!」


その望み通り、『ピラニア』は『青龍』の目の前から突如浮上し、刃のような腕のヒレを使って彼の特殊防護服の袖を切り、その刃は皮膚にまで届き、出血をしていた。

そしてそのまま潜行してどこかへと消えた。


「うわ、すっごい鋭利…あっいなくなっちゃった…。とりあえず特異課にこのトラック報告するか…。」


『青龍』はケータイを取り出して特異課に連絡。その後、中国に降り立った特異課職員によりトラックと謎の液体は回収された。


       ー日本 八雲邸・特異課作戦室ー


作戦室で凱は風雅と共に組手を行っていた。


「また力が上がったな兄弟!!」


「あんたもな、凱!」


互いに拳を交え、互いにの強さを再認識していく。さらに両者同時“武装”し、さらに威力は増していく。


作戦室にある特殊な訓練室がなければ二人の戦闘の衝撃で軽く地震が起きていただろう。


『玄武』の盾に『神狼』の拳がかすり、火花が散る。

さらに組手がヒートアップしてきたところだった。突如彼らの背後から巨大な青い龍のオーラが出現し、二人に突撃してきたのだ。


慌てて回避した二人は組手を中止し、そのオーラの出処を探る。


「おいなんだ敵か…?!」


「いや…この妖力は…!」


「久しぶりだね二人とも。」


トレーニングルームの扉の前に立っていたのは、先程中国にてミッションを遂行していた妖狩エージェント:『青龍』こと。


「“龍我”!?帰ってたのか!」


「お久しぶりです風雅先輩!」


そして凱も近づき、『青龍』こと龍我の帰国を祝おうとするが、龍我は笑顔で裏拳を使って凱を吹っ飛ばした。


「あっ、“虫”がいた。だめですよ先輩、ちゃんと掃除しなくちゃ。」


「お、おう…。(そうだった、こいつらめっちゃ仲悪かったわ…。)」


凱は二つ目の術式“不死アンデッド”で顔を治し、龍我に迫る。


「龍我てめぇ…せっかく会えたんだから別に殴んなくても良いだろ!?」


「失敗してクビになった妖狩エージェントには興味ないよ。それに昔からキミのアホ面がオレの癪に障るんだよね…!」


「てめぇここでぶっ殺してやる…!」

「やらいでか!?」


           『あ゙ぁ゙ん!?』


そのまま二人は口論しながら顔を近づけ、額の間からは電流が発生し、トレーニングルームを揺らすほどのオーラを発生させた。

そしてこのまま大喧嘩が始まると思った途端、


「おいガキ共、これ以上散らかすな。」


と鴉丸が忠告し、凱を起こして円卓のある部屋に集合した。


花も作戦室に入り、龍我の顔を見て風雅の袖を引っ張って彼の事を聞いた。


「龍我、序列6番の妖狩エージェント:『青龍』。優しい顔をしているが、かなりの戦闘狂。凱とはマジで仲悪い…。」


「でも席は5番と6番で隣同士なんだね…。」


龍我は花に気付き、挨拶をしてくれた。


「キミが花ちゃんか、先輩から話は聞いてるよ。」

「こんにちは!」


花は誰にでも笑顔で挨拶をしてくれる。そして龍我も爽やかな笑顔で返してくれた。


そしてここに五人の妖狩エージェントと一人の司令官が揃った。

そして鴉丸司令官からデイブレイクを経験した五人の地雷とも言うべき名前が飛び出した。


「“財団HAND”が動き出したようだな…!」


『…っ!!』


龍我が中国にて撃破した白服の集団。彼らこそが財団HANDのメンバーだったのだ。


琥珀はその名前を聞いただけで鳥肌が立ち、椅子の上で膝を抱えてしまうほどだった。


「オレが目撃したのはなんか変な液体をトラックに積んでました…アレが何なのか分かりませんがろくなもんじゃないのは確かっすね。」


花もその組織をどこか聞き覚えているような感覚だった。


「財団HAND…どこかで聞いたことあるような…。」


「覚えがあるのも当然さ、花ちゃんは元々財団HANDで人体実験の被害者になるところを俺が助けたんだ。」


2年前、風雅は鴉丸司令官からのミッションで財団HANDの小さな研究所に潜入し、花を助け出した。


その時花は子供の姿であり、八雲邸に連れ帰った次の日に大人の姿へと成長していた。


「それから一年間は眠って、半年前に起きたばかりなんだよ花ちゃんは。」


その話を聞いた瞬間に花の脳裏に財団HANDの研究所にいた記憶を思い出した。

琥珀同様、花も財団の恐怖に縛られ、固まってしまう。


繰り返される人体実験、投与される不審な液体、抵抗すれば女だろうが子供だろうが殴られる毎日。


そんな日々を風雅たちは過ごした。そして鴉丸が恐怖の壁を砕き、彼らの「今」がある。


         ー「財団HAND」ー


この世の真の幸せを追求するという目的のもと秘密裏に創り上げられた非合法組織。

デイブレイク以前から存在し、日々不審な実験を繰り返している。

デイブレイクを好機とみたか、生き残った子供や大人を攫い、人体実験を行っていた非道な組織。

トレードマークは手を繋いだマークと白い制服。


財団を恐れ、お通夜の雰囲気になっているところに鴉丸司令官が喝を入れる。


「おいガキ共…忘れたか、俺が何故お前らを助けたか…お前らみたいな被害者を二度と出したくないからだ…。お前らがビビってどうする、お前たちはどれだけ恐怖に怯えた人間を助けてきた…妖狩エージェントは影に生き、悪を切る者。分かったらシャキッとしろ。」


その言葉でハッと自分を取り戻した風雅たちは席を立った。


「そうだよな…俺たちはもうあの頃の怯えていた子供じゃない…!」


「よく言ったぜ兄弟、ボスの名演説で色々振り切れた。」


「こればかりは不本意だけど凱くんに同意だ。」

「あ゙ぁん!?」


その時、妖狩エージェントたちのケータイにミッションが入った。


         『肉食い魚を討伐せよ。』


「鴉丸さん、ここはオレに任せてくれますか?」


龍我が席を立って鴉丸に直談判した。鴉丸は即認可した。


「ターゲットはおそらくオレが中国で取り逃した財団メンバーの『ピラニア』です。」


「そうか…だが大事な証人だ。生きて連れて帰ってこい…できるな龍我。」


「殺さないように注意しますよ…じゃ行ってきます…!」


龍我は円卓の間を退室し、ワープドアの中に入り、ミッションへと向かっていった。


            EPISODE 37「財団の呪縛」完

           次回 第38話

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