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妖狩:特異超常現象捜査課  作者: 定春
『囚人たちを地獄に送れ。』
34/43

EPISODE 34「墨吐きの奇人」

この日、警視庁の特殊部隊がとある未確認生命体を追い詰めていた。


その容姿はまるで茹で上がったイカのようだが人型であり、不気味な顔をしている。

全身にイカの特徴をもった“武装”をしており、触手型の鞭を地面に叩きつけて隊員たちを威嚇する。


隊長は周りに民間人がいないことを確認し、すぐに発砲許可を出し、イカ型の未確認生命体に一斉射撃を開始。


しかし未確認は不気味な笑い声を上げながら触手で銃弾を絡め取り、ついでに墨のような液体を口から発射した。


その墨は隊員の防護服に掛かり、その瞬間に隊員はうめき声を上げながらボコボコと沸騰するような音を立て、墨は爆発して隊員の血肉が舞う。


「…!、全員あの墨に気をつけろ!」


隊長の警告も虚しくすでにすでに2名の隊員にも墨の飛沫が掛かってしまい、その僅かな量でさえも未確認の目が光れば、隊員の体が黒く染まり、爆破して地面に「パシャッ!」と音を立てて血肉が散った。


隊員たちは再び銃を構え未確認に弾丸を浴びせる。しかし口から広範囲の墨を吐いて銃弾を包みこんでしまい、指パッチンと共に墨は爆発した。


完全に戦意を喪失した隊員たちは銃を下ろしてしまい、徐々に後ろへと下がっていく。


しかし隊長だけが依然銃を握り闘志を燃やし続けていた。そして爆発する墨が吐かれる。

諦め半分、死ぬ気で銃を構えて一矢報いようとしたその瞬間、突如地面が隆起し隊長の目の前に巨大な土の壁が出現。


それと同時に未確認は横から飛び出した拳に顔を殴られ、転倒する。


土の壁は元に戻り、隊長が目にしたのは右腕が赤く染まり熱気を放出している青年の姿だった。


妖狩エージェント:『玄武』、ただいま到着!」


        『囚人たちを地獄に送れ。』


『玄武』こと石動 凱のミッションはかつて自分が取り逃した囚人たちを監獄ではなく地獄に送ること。

この未確認のコードネームは『クラーケン』と呼ばれ、その妖は再び立ち上がる。


「お前…あの時の妖狩エージェント!」


「そういやてめぇのせいでイカ墨パスタが食えなくなった苦い思い出があるんだよ…今ここでぶっ殺す!」


「そうか…ふんっ!」


口から墨を発射、凱は大剣を抜いて即座に刀身で受け止めた。その瞬間に墨は爆発に、爆炎が凱を包む。


確実に仕留めたと不適に微笑む『クラーケン』だったが、煙が晴れると、無傷の凱が姿を現した。


「なっ…!俺の墨を耐えただと!?」


「俺の剣はただの剣じゃあねぇ、覚悟しろ外道!」


『クラーケン』は両腕に持つ鞭を巧みに操って凱に攻撃するが、こちらは大剣を駆使して鞭の攻撃を受け流し、鞭の一本を切断した。


さらに地面や岩を操る凱の術式 ー「“大地”」ー で石を弾丸として発射。

墨で包まれ爆破されてしまうが、それはデコイに過ぎない。

凱本体は右腕を赤熱化させた状態で『クラーケン』の腹部に強烈なパンチを与える。


その衝撃で墨と血が混ざった物を吐き出し、悶絶する。

さらに大剣で下から斬り上げ、『クラーケン』はダメージを負い、優勢になるが、


        「『クラーケン』、“武装”!」


突如唱えたその言葉に嫌な予感を持ったが、すでに遅かった。

全身から十本のイカの触手を生やした姿となった『クラーケン』はそのうちの一本で凱の腹を貫いた。


「がっ…!」


「残念だったな『玄武』…俺の本気の“武装”が鞭だと思ったか?!」


すぐに触手を引き抜いたが、苦しみ悶えてしまう。その隙に『クラーケン』は生き残った隊員たちに向けて爆破墨を発射。


凱は瞬時に『玄武』を“武装”。バリアを隊員全体に付与して墨から守った。


「早く逃げろ、殺されてぇのか!!」


凱の言葉を聞いた隊員たちはすぐにその場から撤退した。

凱にも墨が吐かれたが右腕の盾でガードした。


「あの時死んでいれば良かったものの…!」


「俺は…不死身だっ!!」


と言い放った瞬間に胸に墨を受け、その瞬間に爆発した。

特異課が作り上げた特殊防護服でさえも貫通して、胸には大きな火傷痕ができた。

呼吸することも難しい。


「ヒュー…ヒュー…!(コイツ、バリア解除の隙間を狙って撃ってきやがった!)」


火傷の痛みに耐えながらも立ち上がると同時に盾を構えるが『クラーケン』が一手早かった。

墨が盾に当たる直前に墨は軌道を変え、彼の肩を直接狙い爆発。

肩が抉れ、左腕が千切れかけていた。


「コイツ、まだ生きているのか…化け物め!」


「化け物はてめぇだろうが!」


残った右腕の盾で必殺技・“砕”を放ち、その衝撃波で大ダメージを与え“武装”を解除させることに成功した。


骨が何本か折れ全身から血を噴き出した『クラーケン』は煙幕代わりに地面に墨を放ってその爆煙で姿をくらました。


「待ちやがれ…!ぐっ!」


肩も抉れ、左腕も千切れた凱はついに気を失い、その場で倒れてしまった。



そこから5分後、鴉丸からの信号を受け取った風雅が『クラーケン』と戦った場所にバイクに乗って到着した。


そして倒れた凱を発見し、すぐに駆け寄った。


「おい、凱しっかりしろ!おい!」


「ん…なんだ兄弟か?くそ、あのイカ野郎…ぜってぇ殺す!」


風雅が声を掛けることで凱は目覚めた。しかし風雅は何か違和感を感じた。


鴉丸からの情報では、凱は左半身と胸に重傷を負ったとのことだったが、

風雅が見た凱の姿は肩も左腕も完治し、胸を見てみると特殊防護服は焼けて肌が露出しているが、火傷痕など無かった。


縫ったわけでも移植したわけでもない。傷跡が完全に無くなっていたのだ。

そして思わず口に出してしまう。


「お前…なんで傷ないの…怖。」


            EPISODE 34「墨吐きの奇人」完

           次回 第35話

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